概要
アメリカ合衆国で発行している通貨で、現在の日本円との為替レートは1$=100円~150円の間で推移している。
世界中の貿易決済で使われる基軸通貨としての地位を占めており、多くの国々が外貨準備金として米ドルを保有している為、おそらく世界で一番信頼されている通貨である。
世界でも最も流通している通貨故に欧州のユーロと同じく偽造が多い点は注意してほしい。
通貨の一覧
アメリカでは通貨としてドルとセント(1/100ドル)が使われている。
連邦準備銀行 (Federal Reserve Banks) が発行している紙幣は1、2、5、10、20、50、100$紙幣。
硬貨は1、5、10、25、50、100¢硬貨である。またおもな硬貨に名前がついており、25¢=クォーター・10¢=ダイム・5¢=ニッケル・1¢=ペニーとなっている。
歴史
独立当初は親仏政権だった事も有り、同盟国フランスの更に同盟国であるオーストリア帝国の対外決済用通貨であったマリア・テレジア28gターラー銀貨を英語風に訛らせた「ドル」として採用した。
品質と製造が安定していたこの銀貨は東地中海や紅海周辺や北米大陸に広く出回って国際決済通貨として信用が高く、何と21世紀の現代でも製造が続いている程の長寿銀貨である。
1791年には最初の中央銀行として第一合衆国銀行がフィラデルフィアで創設されたのが始まりである。1913年に連邦準備制度が成立して合衆国に近代的な中央銀行が成立するまでは各地の銀行が各々に米国債などを使ってドルを発行していた。
建国当初は銀本位制に基づいた貨幣であったが、フランス同様に金銀価格比1:16とする金銀複本位制に移行し、電解精錬法の普及によってネバダ州で銅や亜鉛、鉛精錬時の副産物として銀が抽出された事によって銀価格が暴落し、結局金本位制に完全移行した。
中央銀行が成立したあとに発生した第一次世界大戦から戦間期にかけて強力な経済を背景に英ポンドに代わって基軸通貨の地位を占めるようになり第二次世界大戦の直後は世界最強の通貨となった。
第二次大戦後は日本や欧州の復興のための資金援助やベトナム戦争の戦費によって準備金が流出したため1971年に変動相場制へと移行(ドルショック)した。
米ドルの「強さ」
米ドルは安定性が高いため小さな国では自国通貨を放棄して代わりに米ドルを使用する「ドル化政策」(ドラリゼーション、英: dollarization)を行う国が存在する。同様に、自国通貨をドルと連動させる「ドルペッグ制」を採用する国も複数存在する。
こうした信頼の厚さもあり、為替相場では「有事のドル買い」と呼ばれ、有事(戦争・紛争など)が起こった場合「国際通貨である米ドルを買っておけば安心である」という経験則があるほどである(ただし有事にユーロや円の方が上がる場合もあるので、過信は禁物である)。
そんな覇権を築いてきた米ドルだが、近年はユーロと共に国によっては米ドルと共に貿易決済で除外される傾向があり、特にロシアやイラン、中国等といった欧米諸国と対立関係にある国では、米ドルやユーロを除外する事で欧米による制裁の被害を、ある程度躱している。