概要
納税義務者がその義務を果たさず、税金の一部ないし全部を故意に支払わない行為。日本では納税は国民の義務であるため、脱税は犯罪として処罰の対象となる。その場合、行政的な制裁として追徴課税が科されるほか、悪質な場合(意図的な資産隠し等)は逮捕され起訴される。処罰する規定は刑法ではなく、所得税法違反などのそれぞれの税法による。
大抵の場合「納税出来ない」貧乏人よりも、「納税したくない」金持ちや政治家が犯行に及ぶことのほうが多い。また、風俗嬢や水商売にインフルエンサーのような泡銭を得ることがある商売も目をつけられることがあり、果てはギャラ飲みやパパ活のような違法脱法かそのスレスレをいくような行為での収入を得ている者が摘発されることもある。ニュースで大々的に報じられるような脱税事件は軒並み潤沢な資産のある後者の側であることが多く、そのため金額も必然的に高額になる傾向にあり、大物資産家や政治家、裏社会絡みの犯行ともなると脱税額が億円単位になることも珍しくない。過去の判例では億越えがラインとされており、脱税額が1億を超えると大脱税事件として扱われ、刑事処分も執行猶予が付かずに即座に懲役を科され刑務所送りとなる。
脱税は起訴される確率が極めて高く、特に強制捜査などが入った場合は告発から起訴までを前提にする日本の法制度上、100%に近い確率で起訴され有罪となる。前述の通り億を超えていると懲役も確定であるため億を超えないよう脱税額を調整する故意犯も数多い。捜査は通常1年程度を通して行われ、その後に関係者の逮捕と起訴が行われるため、体力のない企業などが対象であればほとんど再起不能となる。
なお、「支払うべき税金を、不正な手段を用いて故意に支払わない」行為は「脱税」となるが、「貧困などにより払いたくてもお金が無くて払えない」場合は「滞納」や「未納」というまた違った扱いとなり、こちらはいきなり処罰されることはそうそう無く、役所や税務署などで正しく申告すれば納税期限の猶予や納税額の軽減といった救済措置を受けることも可能な場合が多い。所得を誤って少なく申告したり申告し忘れた場合は「申告漏れ」であり脱税とは別の扱いとなる。申告漏れは追徴課税で済む場合が多いが、脱税は刑事罰を科されるため、罪の重さは雲泥の差である。
申告漏れは通常個人で起こる。企業や会社といった法人はまともならば税理士や会計士がついているため、申告漏れが起こらないためである。そのため、個人による所得隠しは「申告漏れ疑惑」、法人が絡んだ所得隠しは「脱税疑惑」として捜査が開始されると言われる。個人と法人が同時に告発されるケースはあまりないが、よほど法人による脱税に一個人の関わりが明らかな場合、いわば捜査後には逮捕と起訴が前提という極めて悪質なケースでは起こりうる。
イートイン脱税
2019年10月1日に消費税率が10%となったが、飲食物は8%のまま据え置き(軽減税率の対象)となったが、酒と食玩と店の敷地内で食べる場合は10%となった。
テイクアウトする場合は従来通り8%なのだが、それを悪用して店内で食べるつもりだけど会計時に持ち帰ると虚偽の申告をして、支払う消費税をごまかすのがイートイン脱税である。
それを防ぐためにマクドナルドやKFC等のファストフード店では、テイクアウト時の価格を若干上げてイートインする場合の価格と同じにしている。