「私がダダだ。生命の仕組みは全てわかった。私の体を構成するために、お前たちの炭素ユニットを頂く」
データ
別名 | 三面怪人、コンピューター生命体 |
---|---|
身長 | 0~55m |
体重 | 0~1万t |
出身地 | コンピューター内部・電脳世界 |
スーツアクター | 不明(ウルトラマンパワード)、永地悠斗(ウルトラマントリガー) |
CV | 不明(吹:田原アルノ) |
デザイン | 前田真宏 |
概要
A | B | C |
---|---|---|
第8話「侵略回路」に登場。
天才だったが性格が悪かったため、医療器具用コンピューター制作会社「ニューロネット・インダストリー社」を解雇された元社員のリチャード・マーリンが逆恨みからコンピューターウイルスを製作中、偶然生み出した電子生命体。
よって原典のような宇宙人ではなく、本質的には原典のダダに姿形が似ているだけの怪人ということになる。そもそも『パワード』にはM78星雲人やバルタン星人を除いた宇宙人は登場していない。
顔が異なる三体の個体が存在し、合体して巨大化することができ、一度倒されてもすぐに復活してしまう。両手からは物体の時間を止めるニュートロン光線やアームレーザーを発射し、サイコキネシスを操る。ニュートロン光線は防護服越しや静止物が対象でも効果を発揮し、着弾すると回路のようなエフェクトが発生する。さらに体を透過させる事で敵の攻撃を回避できる。
また、初代ダダとは異なりAタイプの目は黄色く、逆にCタイプの目は赤くなっている。
生命と体の構成モデルを分析し、パソコンや電子制御の自販機の中から現れて人間を襲い、電子に変えてコンピューター内の特殊空間「ダダ・フィールド」の中に引きずり込み、シリコンを残して炭素ユニットを奪い取り肉体を得る。
出現するときは液晶画面に「ダダ・パターン」と呼ばれる幾何学模様が発生するが、厄介なことに催眠効果があり、これによって被害者の抵抗力を削ぐ効果を持つ。
復讐のためにマーリンによってニューロネット関係者を次々と襲撃し炭素ユニットを奪っていったが、やがて独自の自我に目覚めて「自分の体を得る」ことに目的を変更。
主であるマーリンから離反し、炭素ユニットを奪い殺してしまった。
その後はニューロネット社によって電子の檻の中に閉じ込められ、研究対象にされそうになったがダダ・フィールドを展開して逆に同社を占拠し、重役二人の細胞構造を自分と同じダダに変えると救援にやってきたW.I.N.R.を3人で翻弄し、ダダ・フィールド内に閉じ込めた。
ウルトラマンパワードが現れると三体で合体し、送電線を通って巨大化。サイコキネシスで車や岩を浮かばせてパワードにぶつけ、ニュートロン光線で応戦するが、本体がコンピューターであることを見抜いたパワードによってメガスペシウム光線で発電所を壊されると消滅した。なお、その際にこれまで奪った炭素ユニットが雨のように降り注いだ。
しかしパワードが破壊したのはあくまでも炭素ユニットで構成された「肉体」であり、コンピューター生命体である本体は無傷であった。
ラストでは破壊処分が決まり、配線を外されたはずのコンピューターから、閉じ込められたと思しきダダの鳴き声が再び響いていた。
「ダァダ~……!!」
初代の時点でかなり怖いキャラ扱いされていたダダであるが、それ以上にパワードの方がトラウマな方も多いはず(初代は人間臭さのお陰で怖さが中和されていた一方で、パワード版にはプログラム特有の冷徹さや不気味さがついて回る為であろう)。
なお、当初予定されていたラストは、解体されたパソコンのメインフレームのパーツをリサイクルして作られた無数のパソコンがアメリカ中の学校に出荷されるというものだったという。
もしそのラストが採用されていたら、無数のパワードダダが誕生するという恐ろしい事態になっていたことだろう…。
ウルトラマン超闘士激伝
第三部にてパワード流派門下生として登場。名称はPダダ。
Pテレスドン、Pザンボラー、Pガボラらとともにゴーデス細胞を療養中のPバルタンとPレッドキングを引き取り、その後はパワードをウルトラマンキングの下に連れてきた。
ウルトラマントリガー
第8話「繁殖する侵略」に登場。
“ダダ因子”という謎の因子から生まれたコンピューター生命体であり、原点同様3つのタイプが存在する。
正式名称はそれぞれPDO-3A、PDO-3B、PDO-3C。ただし、劇中でテロップが表示されたのはPDO-3Aのみ(PDO-3BとPDO-3Cの名称は公式サイトなどで確認できる)。
“PDO-3”は「パワード」の頭文字Pと使用されたマスクの出典のゲームハードである「3DO」のアナグラムと思われる。さらにメタ的な視点から補足すれば「作品名が『(ウルトラマン)トリガー』なのに何故『パワード』が含まれているのか?」という(特にシリーズに疎い視聴者達への)無用な混乱を避ける配慮もしているとも解釈出来る(勘の鋭い視聴者なら「P=パワード」とすぐに見抜けると意図しているのは想像に難くない)。
両腕からのニュートロン光線やサイコキネシスは今作でも健在であり、今作では攻撃を受けると粒子状に飛び散り、多少の攻撃ならば瞬時に再生するようになっている(ウルトラマントリガーによって腹部に風穴を開けられても、構わずニュートロン光線を発射していた)。ただし、体内に正八面体型の核と思われるパーツがあり、ここを破壊されると再生できずに肉体が崩壊してしまう模様。
なお、今回は普通に実体化していたが、炭素ユニットを必要とするかは不明。
ある夜、因子の状態で突如ソラフネシティに飛来し、とあるサラリーマンの携帯端末からネットワークに侵入し、電子機器(携帯端末からVRゴーグル、ドローン、カーナビまでなんにでも干渉している)のコントロールを乗っ取ることで世界中を混乱に陥れる。更には世界各地のTPU支部や本部のシステムも短時間で掌握してしまう。
GUTS-SELECTも対処に乗り出そうとするが、ナースデッセイ号のシステムを乗っ取ることでこれを妨害。ナースキャノンを市街地に発射しようとしたが、1発目はサクマ・テッシンのマニュアル操縦によって砲口を上に向けられたため、街への直撃が回避された。しかし、すぐさま2発目のチャージを開始したため、ケンゴ達はナースキャノンの緊急停止と、システムの奪還に尽力する。なお、この間はネット回線を切断しているため、各自の連絡はアナログな通信機を使っている。
チームの尽力やイグニスの協力もあり、完全なシステム乗っ取りを妨害されたため、侵略達成のためにはGUTS-SELECTが邪魔な存在になると判断、キングジョーストレイジカスタムのシステムを乗っ取り、街を破壊しながらナースデッセイ号の破壊を試みる。
ちなみに、この時ナナセ・ヒマリがシステムから追い出すためにメインシステムの奪還を任されたのだが、何故か昭和の弾幕シューティングゲームのような方式だった(ただし、基地内のシステムを乗っ取った敵をシューティングゲームのような方法で撃退するのは、前例がある)。
これが本来の仕様なのかダダによって改変されたプログラムなのかは不明だが、ダダのハッキング対策にVRゴーグルをアナログ回線で有線接続しており、ラスボス=ダダをメインシステムから追い出す直前まで来ているにも拘わらず、実体化したダダに襲われなかったことから、こじつけになるが相手に駆除プログラムだと悟らせないための偽装の可能性もある(ゲームタイトルにGUTS-SELECTの著作権を示すコピーライトが記されている。また、駆除プログラム実行中、ナナセはスーパーファミコンのコントローラーで操作している)。
更には、PDO-3BとPDO-3Cがナースデッセイ号内で実体化し、直接襲いかかった。手始めにサクマにニュートロン光線を放つが工具で防がれ、そのまま銃撃戦を繰り広げる(ただし、マルゥルやナナセ達を攻撃することはなかった)。
トリガー、ウルトラマンゼットとの戦闘では乗っ取ったキングジョーSCを使い2人を苦しめる。電子生命体であることを利用し、搭乗者がいない故に反動を無視した攻撃が可能であり、セパレートモードを完璧に使いこなしてウルトラマン2人を翻弄する。
しかし、戦いの最中にナナセの256発の射撃によりラスボスを倒され、完全にナースデッセイ号のメインシステムから追い出されたため、PDO-3Aが研究室で実体化し、ヒジリ・アキトを襲おうとするが、シズマ・ユナの中のユザレの意識によって撃退されたため、巨大化しトリガーやゼットと直接戦闘する。
直接戦闘ではキングジョーSCとのコンビネーションの他にサイコキネシスで車を飛ばし攻撃を行った(パワードの時には一度に1台しか飛ばせなかったが、本作では広範囲に無数の車を雨あられの如く飛ばしていた)。そしてサイコキネシス攻撃で隙を作っている間にキングジョーSCとの同化を試みる。しかしこれもタツミ隊長によるナースデッセイ号の砲撃で核と思われる部分を破壊され爆散、キングジョーSCとの完全な同化も阻止された。
キングジョーSCに残されたデータも、最後はゼスティウム光線とゼペリオン光線のW発射によりキングジョーSCごと完全に粉砕された。
しかし、この一件でユナは自分の中のユザレの力に気付いてしまい、アキトに詰め寄ることとなった。
TV本編の映像作品にパワード怪獣が登場するのは『パワード』への登場以来27年ぶりとなる。
それまであまりピックアップされてこなかったパワード怪獣ということもあり、予告で発表された際には多くの視聴者を驚かせ、Twitterにトレンド入りする事態になった。
また、直前の回でウルトラマンゼットが出演した次の回に登場した為、1度に2人のウルトラマンと戦うことになった。
ホラーな雰囲気があれど、実態は中間管理職の悲哀やどこか憎めないコミカルな一面がある宇宙人のダダとは違い、終始「ダァダ~」と一切人語を介すことなく暗躍し、街に甚大な被害をもたらすなどこちらは「恐ろしい怪人」として徹底している。また、キングジョーSCやナースデッセイ号を乗っ取り2大ウルトラマンとGUTS-SELECTを翻弄する等、『パワード』本編以上の脅威となっている。
そもそも、ニューロネットのネットワークのみを行き来していた当時と比べ、デジタル社会化が進んだ現代では地球のほぼ全土に張り巡らされたネットワークを駆使して短時間で世界中のシステムを掌握したこともあり、正にパワードダダの独壇場と言ってもいい。以前からファンの間ではパワードダダが現在の世界に復活したら大惨事になるだろうと言われていたが、それが現実のものとなってしまった。
劇中では明確な出自や暴れ回った目的が一切不明であり(アキト達は地球侵略が目的だと推測している)、また、上記の電子生命体という設定から、(一応核と思われる部分こそ破壊されたものの)本当に完全に倒され消滅したのかどうかも敢えて暈して表現されているなど、終始底知れない不気味な侵略者として描かれた。
なお、怪獣や宇宙人について知識があるマルゥルやイグニスが、ダダのことについて何も説明していないことを鑑みると、トリガーの世界の宇宙に原典のダダは存在していないか、はたまた存在が確認されていない可能性がある(ダダという名称も、パワードダダの鳴き声からアキトによって命名されている)。
なお、『ウルトラマンデッカー』特別総集編②「テラフェイザーの脅威」ではマルゥルに「コンピューターウィルスみたいな宇宙人」と認識されていることが判明している。原典は純粋に電子生命体なのだが、作中ではどうみても宇宙から飛来したとしか思えない描写をしているので仕方のない話であろう。
余談
オリジナルのダダと比べると頭が大きく、スリムな体つきをしている。また爪先が前後側面の三方に広がっている、肩が無く薄っぺらい腕が体から直接生えていて、手首から五本の棒状の指が平行に生え掌の部分が無いという独特な形状の手足を持つ。
オリジナル同様A、B、Cの3つの顔が登場しているが、Cのみ常に光に照らされているので本編ではよく確認できない。
スーツの体部分の表面はピクセルのような粒子感を表現するため、スパンコールが用いられており、ほぼ撮影当時に近い状態で現存している。一方、『パワード』で使われたマスクは残っていない。
しかし見た目の状態は悪くないがインタビューによると経年劣化でかなり縮んでいたとの事で当初は着れるスーツアクターがいるかどうかも怪しかった程らしいが、現場にたまたま細身のアクターが居た事で試着を頼んでみた所、着る事ができたためこれが登場の切っ掛けの一つとなった。
2017年にBlu-rayが発売された際に開催されたイベントでは既存のスーツに3DOのゲームで使われたマスクを組み合わせる形で展示された。これが後に『トリガー』でも使われるようになる。
インタビューによると『トリガー』登場に伴い、当時のものと同じ造形のマスクを新造するする事も検討されていた。
なお、『パワード』で使われたマスクと3DOのゲームや『トリガー』で使われたマスクは3種類とも微妙に造形が異なっており、後者の方が前田真宏によるデザイン画に忠実なものとなっている。
『パワード』と同じく伊藤和典が脚本を担当した『ガメラ2レギオン襲来』では現場に残っていたシリコンの砂から敵の痕跡を見つけ出すという今作のパロディが行われている。
本編冒頭でダダに襲われた男性職員(演:ウォルフ・ミュザー/吹:平田広明)が「ウルトラマンの歌」の鼻歌を歌っている。
企画段階での名称は「ダダ・プラス」「ダダ2185」。
デザイン画の中にはダダに変えられた犬というものがあった。
『パワード』第8話はビデオ合成が多用されているため、ブルーレイで視聴すると画質が目まぐるしく変わってしまう。
なお、リチャード・マーリンの日記のパスワードはアーサー王伝説の魔法使いの名前に引っ掛けて、ウィザードとなっている(コンピュータ用語としてもウィザードが使われているのでそちらも元ネタなのだろう)。
2021年9月11日にウルトラ怪獣シリーズでパワードダダのソフビが発売されており、その突然の登場に「トリガー本編でパワードダダが出るのでは?」という憶測が飛び交ったが、上述の通りその予想が的中することとなった。
関連タグ
グリッドマン怪獣:こちらも一種のコンピューターウイルスである人工電子生命体。
三面異次元人ギギ:ダダのセルフオマージュキャラクターで、『3種類の顔を持つ3体組で活動する』、『合体して巨大化』する点でパワードダダとも共通する。また『最新鋭機器が役に立たず、アナログ機器が活躍する』という点も、トリガーでの個体とも共通する。
ファイバス:「トリガー」と関連があるウルトラマンティガに登場した電子生命体。
バグスターウイルス:パワードダダ同様、偶然に人間の手で生み出された電子生命体繋がり。
HOS:システムを暴走させるコンピューターウイルスがばら撒かれ、点火装置を銃撃で起動させる等、共通しており、脚本はパワードに参加した伊藤和典が担当。
ディアボロモン:同じくコンピュータに取り憑いて世界を混乱に陥れた電脳生命体。大量に増殖する能力まで備えている。