概要
1996年7月13日に東宝系列で配給された怪獣映画で、平成ガメラ三部作第2弾。前作『ガメラ大怪獣空中決戦』の正式な続編。
前作より引き続き監督は金子修介、特技監督は樋口真嗣が務めた。
前作のガメラとギャオスの戦いから1年後を舞台に、宇宙から襲来した群体生物レギオンと人類の、そしてガメラの戦いを描く。
本来は前作同様昭和作品の敵怪獣をリメイクするはずだったが、「自由な発想を」ということでオリジナルの怪獣、レギオンが登場した。レギオンの造形は非常に繊細かつ大胆なもので、国内外問わず人気が高い怪獣の一体である。
1996年の第17回日本SF大賞受賞作品であり、1997年の第28回星雲賞映画演劇部門・メディア部門賞も受賞。特撮映画初の日本SF大賞受賞作品となったように、SF作品としての評価も高い作品とされる。
配給収入は封切直後は目標としていた10億円に届く勢いだったが失速してしまい、最終的に7億円となった。観客動員数は120万人。
キャッチコピーは「消滅するのは日本か、レギオンか」。
あらすじ
ギャオスとの戦いから1年後の冬。地球には流星雨がふりそそぎ、その内の一つが北海道の恵庭岳近くへ落下した。恵庭岳付近の落下地点に陸自の部隊が出動して調査が行うが、そこには隕石の残骸はなく、むしろ隕石が制動をかけたかの様な痕跡が残されていた。
その後、恵庭岳から札幌にかけて、怪事件が起きる。日本ではまず見れない緑のオーロラ、NTTの光ファイバーの喪失、謎の電波障害、そしてビール工場での瓶の大量消失と、そこのガードマンが見たという「怪物」の影。隕石が落下してから5日後の札幌でその元凶は姿を現す。
突如、ビル街に出現した数百メートルはあろうかという巨大な植物と地下鉄を襲撃する虫の様な節足動物の様な奇怪な生物たち。それらは隕石によって地球にやってきた宇宙生物であった。人間に襲いかかり、周辺の大気すら変質させるこの生物群との共存は不可能と自衛隊は断定。徹底抗戦の構えで作戦に挑む。
そして、植物が宇宙に向けて種子を発射しようとすると札幌は壊滅するほどの爆発が起きると予想される中、太平洋からガメラが飛来。種子の発射を止めるが、地下に居た生物達からの攻撃を受けて撤退を余儀なくされる。
「主が、『おまえの名は何か』とお尋ねになると、それは答えた。『我が名はレギオン。我々は、大勢であるがゆえに』」(マルコ福音書第5章より)
そう、彼らは「レギオン(軍団)」。地球を存亡の危機に陥れるレギオンと地球の守護神ガメラ、そして、レギオンが突き進もうとするこの国を護る自衛隊との戦いの火蓋が切られたのであった。
登場怪獣
レギオンの襲来に呼応して参戦。自己進化をしており、前作では隠し武器であった肘のツメが常時展開し、より高速で飛行するために腕を翼状に変化させる飛行形態を得ている。また、頭も小さくなり、転倒しても自力で起き上がれるようになった。
地球の生態系を根本から破壊しかねないレギオンを排除すべく、血みどろの戦いに挑むことになる。
隕石に乗って北海道に飛来した地球外生命体。草体と呼ばれる巨大植物と共生関係にあるケイ素生物であり、主である大型レギオン(マザーレギオン)とその兵隊である夥しい数の小型レギオン(ソルジャーレギオン)とで一つの生態系を構築している。非常に攻撃的な生物であり、地球の生態系とは相容れない侵略生物である。
怪獣映画の中でも珍しい”数の暴力”で攻めてきた怪獣であり、その圧倒的な物量でガメラと人類を極限まで追い詰めた。
主要キャスト
- 渡良瀬佑介:永島敏行
- 穂波碧:水野美紀
- 草薙浅黄:藤谷文子
- 花谷:石橋保
- 帯津:吹越満
- 佐竹一等陸佐:長谷川初範
- 大迫力(おおさこ つとむ):螢雪次朗
- 真野(まの):梶原善
- 石田(いしだ):田口トモロヲ
- 雪乃(ゆきの):坂野友香
- 北海道大学獣医学部の教授:養老孟司
- NTT名崎送信所職員:ラサール石井
登場兵器
- 90式戦車
- 74式戦車
- 87式偵察警戒車
- 82式指揮通信車
- 73式大型トラック
- 73式中型トラック
- 73式小型トラック
- 1/4tトラック
- 化学防護車
- 除染車
- 偵察用オートバイ
- 87式自走高射機関砲
- 75式自走155mmりゅう弾砲
- 11/2t救急車
- 救難消防車I型
- 10000リットル燃料タンク車
- 牽引車(航空機用2t)
- ボンブ・リフト・トラック
- 業務車1号
- あさぎり型護衛艦「うみぎり」
- F-15J戦闘機
- F-1支援戦闘機
- AH-1S対戦車ヘリコプター
- OH-6D観測ヘリコプター
- UH-1H多用途ヘリコプター
- CH-47J大型輸送ヘリコプター
- SH-60J哨戒ヘリコプター
- 79式対舟艇対戦車誘導弾
- ハイドラ70ロケット弾
- 89式5.56mm小銃
- 9mm拳銃
- 21.5mm信号けん銃
- 微光暗視眼鏡 JGVS-V3
その他
冒頭で北海道が舞台になった関係から、CREATIVE OFFICE CUEのタレントがモブとして出演している。具体的には…
- 住民に注意を呼びかける札幌市の職員:鈴井貴之
- ソルジャーレギオンに襲撃される地下鉄の乗客:大泉洋(鈴井のミスでクレジットなし。リマスター版などの冊子で大泉の出演について触れられている…が、暗いため映像からの確認は困難)
- 隕石落下を伝える自衛官:安田顕
- ガメラ対策特設本部のオペレーター:北川久仁子
- 隕石落下時に穂波と身を寄せ合っていた少女:西島まどか(現在フリー)
また、本作のBGM「ガメラ出現」と予告編で使われていた前作のBGM「ギャオス逃げ去る」は、大泉と鈴井の出演するHTBのバラエティ番組「水曜どうでしょう」でもおなじみのBGMになっている…というより、どうでしょうの予告編が毎度毎度本作の予告編のパロディになっていたりする。
関連項目
ブルース・リー:ガメラを演じた大橋明によると、G2ガメラにはブルース・リーのイメージを投影してあるとのこと。また、11月27日は共にガメラとブルース・リーの誕生日でもある(参照)。
ガメラ大怪獣空中決戦←ガメラ2→ガメラ3