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73式大型トラックは、自衛隊で使用されている整地/不整地兼用の3.5トン積みの大型トラック。

開発・納入はいすゞ自動車

愛称は「カーゴ」「3トン半」や、メーカーが付けた型式名から採った「SKW」など。

概要

3軸6輪のキャブオーバー型トラックで、不整地などでは総輪駆動とすることも可能である。

1973年に、従来使用されていたボンネット型総輪駆動の2トン半トラック(いすゞ製)に代わる車両として採用された。(結局この車両も1990年代まで航空自衛隊向けに製造が続けられた)

大きく分けて、初代とその改良型、1999年度から納入が始まった新型の3世代に分類されるものの、基本的な要目は変わっていない。

車体

キャビンが前輪の上となるキャブオーバー型でボンネット型に比べると整備性に劣る一方で、同じ全長とする場合にデッドスペースが少なく、積載効率に優れている。

荷台は幌屋根が張れる通常仕様、いわゆる「平ボディ」の他に、ダンプ車給水車地対空誘導弾を載せた車両や、自衛隊内での運転資格を取得するための教習車…等などバリエーションは色々。

定員 積載量

貨物の場合は3.5トンが一つの目安だが、あくまでも不整地などでの最も厳しい条件で運用する場合の数値で、舗装路など条件次第では更に積み込む事も可能。

人員を乗せる場合は、荷台に向かい合わせに凡そ20名程度、キャビンには2名乗車出来る。「この手のトラックならキャビンに3人入るんじゃないの」という疑問も有ろうかと思うが、キャビンのど真ん中にはエンジン変速機(を覆うでっかいカバー)がいらっしゃるので不可能。

これは、走破性を確保する為にエンジンと変速機が普通のキャブオーバートラックの位置よりもかなり上に上げられているからである。

このため、運転席と助手席の間を移動したり助手席から運転操作を補助するのは難しく、教習車には運転席と助手席(教官席)の両方にハンドルがある。

シャシ

シャシは、前1軸後2軸の3軸6輪で、3軸ともリーフリジッドサス。不整地では総輪駆動とすることもできる。

既に述べた3世代のうち、1970年代に開発された初代、1980年代後半から配備された改良型は副変速機付きのマニュアルトランスミッション、1999年から配備が始められた新型は教習車を除いてオートマチック車である。

灯火など

特例で道路運送車両法等が適用されない車両であるものの、同法の定める保安基準に準じた灯火が備わっている。

前照灯は、初代とその改良型は丸型の規格型ライトが左右に1つで合計2灯、1999年から配備が始まった新型から前照灯が上向き灯とすれ違い灯を別体とした角型の規格型4灯に変わった。

一方で、1999年までは大型貨物自動車にはキャビン上の緑色の3つの灯火で速度を示す速度表示灯を備える義務があったため、この規則が廃止されるまでに納入された車両には速度表示灯が載せられていた。(この規則も前述のとおり自衛隊車両は対象ではない)

業務車などを除いた自衛隊車両に共通する装備である灯火管制用ランプ(B.O.ライト)も備わっている。

これは、灯火管制中に使用する前照灯、車幅灯、尾灯(テールランプ)、制動灯で、明るさが暗いため一定以上の距離からは見えず、また照射方向が限定されているため見る事ができる角度がごく狭い(上方、側方からは見えない)という特色がある。

灯火管制のレベルに応じて、運転用の標識灯以外の灯火も運転席のスイッチで一括管理できる。(当然全く点灯させないことも可能である)

また、距離に応じて灯火の見え方(輪郭)が変化するため、灯火管制中に移動する際にも前後の車両との車間距離を知ることができるという優れものでもある。

  • 米軍のジープの尾灯の場合、片側のライトユニットに赤い光が4つ見えれば概ね距離18m以内、2つ見えれば概ね18~55m程度、1つに見えれば55m以上離れているとされる。

2003年からは「制式化」の対象から外れて『3 1/2トントラック』となった。

余談

  • 藤沢のいすゞ自動車の展示場「いすゞプラザ」では、エルガ(LV290)と共に3 1/2トントラックが展示されており、キャビンや荷台に乗ることができる。
  • 東日本大震災で水没しながらも稼働し続けたとして話題になった。

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