概要
全幅は2.16m、全長は4.84mとハイエースのワイドモデルより少し大きい程度のサイズ。乗員は4〜6名でエンジンはV8ディーゼル。水素燃料を用いたり、ハイブリッド化したエンジンを搭載したものもある。ステアリングの切れ角が大きく、ボディサイズの割には小回りが利くが4WSを搭載した高機動車ほどではない。
汎用製が高く、特殊部隊などが作戦に応じて、対応できるように改造された車両も多く存在する。車体後部は屋根のターレット(銃座)から死角とならないよう斜めにカットされている。
シャーシ等を流用し、民間型としたものがH1ハマーである。
開発に際して中型トラックの後継も求められたため、単純な移動用車両としては少々過大との評価もある。
市街地ではその大きさから道路の通行に支障を来すこともあり、大重量のせいで航空輸送も難しくなった。そのため機動力を重視するアメリカ海兵隊や陸軍レンジャー部隊ではしばらく並行運用を続け、現在でもハンヴィーより軽量の車両の運用を継続している。
後継となるJLTVでは更に装甲を強化し、汎用車両と言うよりは装甲車のような有様となってしまったため、ハンヴィーは今後も並行して運用される予定である。
歴史
米軍は第二次世界大戦中にウィリスMB、通称「ジープ」を採用し、軽輸送、偵察、連絡等様々な任務を担う汎用車両として大量に配備した。
その後継であるM151も車体規模やレイアウトは忠実に継承しており、非公式愛称として「ジープ」の名前が使われ続けていた。その新たな後継を軍が意識し始めたのが、1960年代のことになる。
一方少し進んで70年代、米軍は中型トラックの後継を探し求めていた。
第二次世界大戦以降、ジープと並んで米軍の輸送を支えてきたダッジWCシリーズは、ジープの系譜とは対照的に後継の開発が上手くいっていなかった。
M715、M880などの新型が作られるものの諸問題により完全な後継はできず、徒に車種を増加させる結果に終わっていた。
そこで70年代後半、米軍はM151を含めた小型から中型までの輸送車両をまとめて代替できる汎用車両を求め、その結果開発されたのがハンヴィーである。
AMゼネラルが試作。これが採用され、1985年より量産が開始された。
初の実戦投入は1989年のパナマ侵攻であった。
以上のように元々は輸送、偵察用途の車両であり、戦闘は全く考慮されていないので装甲は存在しなかったのだが、90年代以降の非対称戦争増加に伴ってハンヴィーが戦闘に用いられるケースが増加するようになる。
ソマリア内戦にてこれが問題視され、後付の装甲追加キットや強化改良仕様車が開発されることとなった。
イラク戦争では地雷や即席爆発装置(IED)に対する脆弱性も問題となり、装甲等の強化に限界があることからそれらに対応したMRAP(耐地雷待ち伏せ防護車輌)への置き換えが一部で進められている。(最もイラクから撤退しつつある現状では汎用性や走破性の低いMRAPはそこまで必要な装備というわけではなく、新生イラク軍等の現地組織への供与や売却等が行われている)