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OH-6

おーえいちしっくす

1963年に初飛行したヒューズ社(現在はボーイングに吸収)のヘリコプター。非常に小型・軽量なヘリコプターで、もちろん軽快な運動性が特徴。その小ささは即「発見されにくさ」に直結しており、偵察機や隠密作戦(特殊作戦)の輸送機などに用いられている。
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概要編集

正式名称は「カイユース」だが、その小ささから「リトルバード(小鳥 特殊部隊用の名称)」、胴体の形状から「フライングエッグ(空飛ぶ卵)」、開発計画名LOH(軽観測ヘリコプター)から転じて「ローチ(ドジョウ)」とも呼ばれている。


元はベトナム戦争中に開発された偵察・観測ヘリだが、生産コストの高騰で早々にOH-58へ偵察・観測ヘリの座を譲る事ととなる。しかし、加速・急停止・急旋回などの運動性に優れていることから、現在でも特殊部隊の移動手段として使用されている。ただ、乗客2人しか乗れないキャビンの狭さが難点で、特殊部隊員を運ぶ際は両側面に簡易ベンチシートを追加してそこに4人を座らせる。


見かけによらず意外と頑丈でもあり、ベトナムでは600機以上もの損失を出したが乗員の生存率は高かった。


名前のOHは観測ヘリコプターの意味だが、民間モデルもある。(後述)

軍用機の命名規則 (アメリカ合衆国) - wikipedia


バリエーション編集

  • AH-6「キラ-エッグ」(戦闘ヘリ型)
  • MH-6「リトルバード」(攻撃/輸送兼用型)
    • AH-6X(遠隔操作無人攻撃機型)
  • EH-6(電子戦/指揮官機型)

などがある。

中でも珍しいのは500MD/ASWという台湾/スペイン向け対潜哨戒型で、明らかに小さな機体に無理やり詰めこんだような外見のとおり、能力的にはかなり不満のある機体であるもよう。しかし、こんなものでも立派に短魚雷を搭載できる、いっぱしの対潜ヘリコプター。他のヘリは大きすぎて積めない小型艦で活躍した。


最新型のAH-6iはAH-64のものを流用したアビオニクスを装備し、さながらミニ・アパッチとも言うべき能力を持つ戦闘ヘリとなっている。


武装編集

基本的には非武装だが、攻撃型は胴体両側のハードポイントに

など、様々な武装の搭載が可能。これらを搭載したものはAH-6と呼称される。

機種により搭載可能な装備は異なるが、そもそも小型なので搭載量そのものは非常に限られている。


攻撃力で押すよりも、軽快な運動性で翻弄して的確な一撃を叩き込む方が得意である。


民間モデル編集

民間用モデルはヒューズ369と呼ばれ、現在はMDヘリコプターズによってMD500という名称で製造されている。

こちらにも武装型が用意されており、そちらは「ディフェンダー」とも。

現在生産されているモデルは機種がとんがった形状になっているのが特徴で、これにより操縦席の面積や下方視界を向上させている。


自衛隊では編集

かつては日本の自衛隊でも運用されており、川崎重工業がライセンス生産を行い、OH-6Jとして陸上自衛隊に観測ヘリコプターとして導入された。

その後改良型のOH-6Dが導入され、こちらはT字尾翼になっているのが大きな違い。また生産途中から、暗視ゴーグル対応操縦席、赤外線監視装置、赤外線照射装置が追加されている。練習機として使われた事もある。


OH-6Dは海上自衛隊でも練習機として使用されていた。なお、海上自衛隊にはOH-6DAというモデルも存在したが、これは川崎での生産が終了してしまった事を受け代わりにアメリカから輸入したものである。


練習機として使われてはいたものの、敏感な操縦性を持つので、ただでさえ経験の浅いパイロット候補生達はホバリングを安定させるのにさえ苦労したんだとか。


※ちなみに航空自衛隊においては練習機はなくいきなりUH-60に乗る。


現在、自衛隊のOH-6は2020年3月をもって全機退役している。


映画のヒューズ編集

民間企業や軍・警察、自家用のヘリコプターとして、非常に多くの映画に登場する。

その一例を挙げよう。


ブラックホークダウン編集

屋上にMH-6が隊員を降下させていたり、また夜戦ではAH-6が赤外線ストロボのマークに従って攻撃するシーンがある。なお、劇中では支援は1回だけだが、実際には夜通し出撃を繰り返しており、夜が明ける頃までには被弾により1機が飛行不能に陥っている。


アパッチ編集

砂漠でAH-64との空戦をくり広げるこの映画では、コロンビア麻薬組織の雇われパイロットがディフェンダー500MD/TOW(劇中ではスコーピオン攻撃ヘリコプターと呼ばれていた)に搭乗し、主人公にトラウマものの強さを見せつけている。なお、TOWミサイルの照準装置を装備しているが、武装は明らかに12.7mmガンポッド(左)とロケット弾ポッド(右)になっている(この配置もシーンによってはまちまち。左にロケット弾があるときも)。


また、件の雇われパイロット・ストーラーは一人で操縦と射撃をこなしていたが、本来はAH-64と同様にこちらも分業で、射撃は左、操縦は右の搭乗員が担当する(ただ、無誘導のロケット弾や機関銃を撃つなら一人でも可能)。小さな機体で狭い渓谷を自在に飛び回って翻弄する姿は、OH-6シリーズが登場する映画としては随一のかっこよさだと思われる。敵役なのがもったいない。


ブルーサンダー編集

機関銃を装備した機体が登場し、ロサンゼルス上空で主役ヘリ「ブルーサンダー」と激しい空中戦を繰り広げる。

実際にロサンゼルス上空にて撮影された、ビルの合間を縫いながらの空中戦は必見モノ。


デルタフォース2編集

チャック・ノリス主演のシリーズ第2作、『デルタフォース2』では、コロンビア軍を裏切って麻薬組織に協力しているオルメド将軍が、武装したヒューズ369(初期のモデルでOH-6A相当)に搭乗し、チャック・ノリスことマッコイ大佐追撃に加わる。操縦は彼の部下ではあるが、前述のとおりこのテのヘリコプターでは作業を分担するので、劇中のようにミサイルを発射するなら本来は大佐自身が照準しなくてはいけない(しかもTOWは有線誘導式である)。


ディフェンダー500MD/TOWに似せて改造しているが、よく見ると尾翼の形状がT字型になってなかったり、TOWミサイル用の照準装置が機首左側の風防ガラスを塞いでおらず、かわりに機首中央部に設置されていたりする「なんちゃって仕様」となっている。また、TOWミサイルのランチャーも、本物と見比べてみるとやや細く、また機体から十分に離していない偽物。

よく見ると相違点は多いが、全体的にはかなりよく似せており、努力賞ものといえるだろう。


なおオルメド将軍はこの後、マッコイ大佐をみごと追い詰めるが、勝利を確信しているうちに後方に忍び寄ったデルタフォースの戦闘ヘリに撃墜される。


デルタフォースのヘリコプター編集

余談だが、このデルタフォースの戦闘ヘリはフランス・エアロスパシアル社のSA360「ドーファン」のようで、これは現在よく知られているSA365「ドーファンⅡ」の前身ともいえるもの。アルエットⅢの後継として開発されたが、その後エンジンを双発化してパワーアップを図った「ドーファンⅡ」が開発されたため、試作2機と先行量産機34機という少数生産に終わった。


生産した機は皇家香港輔助空軍とニューヨークヘリコプター社に売却された。

この機はニューヨークヘリコプターから借り出した機ということになるだろう。撮影終了後に復帰させやすくためか、機体左右にTOW風ミサイルランチャーを直付け、ドア後部の簡単な機銃架にM60を装備。ちなみに編者自身は長年、この機はSA365だと思いこんでいた。

参考ウェブサイト

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