概要
それまで使用されていたシーキング対潜哨戒ヘリコプターの後継機としてイギリス軍の要望によりイギリスのウェストランド社が開発を計画し、イタリアのアグスタ社がパートナー企業として参加して共同開発した大型の汎用ヘリコプター。
当初はEH101と称されていたが、2000年に両社が合併してアグスタウェストランド社となった後、2007年に現在のAW101に改称された。ちなみにイギリス軍での愛称は「マーリン(英語でコチョウゲンボウの意)」。
掃海・対潜哨戒・輸送を主任務としており、大量の機材を搭載可能な積載量と長い航続距離の両立を図った結果、3発のエンジンと巨大な床下燃料タンクを備えた大型機として開発された。一方でシーキングの後継機として開発された都合上、機体サイズはシーキングと同程度に収まっており、またテールブームとメインローターの折り畳み機構をオプションとして備えることによって艦載機としての運用は容易になっている。
さらに開発国のイギリスとイタリアでは、クイーン・エリザベス級空母などの航空母艦に搭載する早期警戒機として、本機にレーダーを装備した早期警戒型も運用している、
開発国のイギリス・イタリアを始め、これまでにデンマーク、ポルトガル、カナダ、アルジェリア、日本が採用した。
アメリカ合衆国も本機をアメリカ海兵隊の大統領専用輸送ヘリコプター「マリーンワン」向け仕様としたVH-71の導入を計画したが、財政難により2009年に発注をキャンセル。後にシコルスキー社製S-92をベースとしたVH-92を採用した。
日本では
日本では海上自衛隊がMH-53Eの後継となる掃海・輸送ヘリとしてMCH-101(メイン画像)の名称で導入した他、後に南極観測船「しらせ」の艦載機として極寒冷地仕様機がCH-101の名称で導入されている。
MCH-101は全機が海自唯一の航空掃海部隊「第111航空隊」に、CH-101は全機が「しらせ飛行科」に配備され、どちらも岩国基地を拠点とする。また、しらせ飛行科では第111航空隊と第31整備補給隊の支援のもとで運用している。
最大36人が搭乗可能という高い輸送力を誇りつつも、飛行甲板を有する全ての自衛艦に着艦可能という使い勝手の良さから輸送任務で大活躍しており、東日本大震災などの災害派遣でも投入されている。
掃海ヘリとしても、AN/AQS-24A曳航式ソナー捜索システムやAN/AES-1レーザー捜索システムによって上空から機雷を探知する、という前任のMH-53Eには無かった機能が追加されている。一方で掃海具は音響掃海用のMk-104のみであり、磁器掃海も行えたMH-53Eと違って直接的な掃海能力は低下している。
また、海自に導入される以前の1999年に警視庁航空隊が民間型を世界で最初に導入しEH101-510として2018年まで運用されていた。運用終了後はあいち航空ミュージアムにて展示中である。
関連動画
海上自衛隊公式のMCH-101搭乗動画。
【前編】
【後編】