概要
自衛隊法第83条に定められている、自衛隊の行動の一つ。
基本的には自治体の長からの要請を受けてからの出動であるが災害の規模や状況によっては防衛大臣より「大規模震災災害派遣命令」が出されたり、「自主派遣」といって要請無しでの出動を行うケースもまれにある。
豪雨・豪雪、大規模な震災から海難事故、口蹄疫等の家畜伝染病の蔓延や地下鉄サリン事件などの際にも出動した事がある。
仕事の内容は多岐にわたり、行方不明者の捜索や瓦礫・流木・雪などの撤去から、援助物資の輸送、断水地域での野外入浴セットを用いた入浴サービスの提供、断水時の給水車の派遣、医官や看護師等による傷病人の手当などがある。
また離島のように通常の消防による救急搬送が困難な地域(例えば小笠原諸島の場合、島内どころか半径650km以内にヘリポートを含む民間の空港が存在せず、東京消防庁の航空隊では自力搬送不能)での急患搬送も災害派遣扱いとして自衛隊が担当している。実は災害派遣で最も高頻度に行われているのがこの急患搬送だったりする。
2011年の東日本大震災では人員が足りず予備自衛官を招集して派遣が行われた。
また、自衛官自らも被災で家族や住居を失いながらも業務に当たった者も多く、殉職した者もいた。
余談
あまり知られていないが、災害派遣でも自衛隊は武器・弾薬を使用できる。「自衛隊の災害派遣に関する訓令第18条」では、救援活動に必要ならば武器や弾薬を使用できるとしているのである。
過去にも、2014年の御嶽山噴火に際しては噴石対策で4輌の89式装甲戦闘車が投入されたほか、2011年の福島第一原子力発電所事故では放射線対策にNBC防護力のある74式戦車がブルドーザーの代わりとして派遣された。
1974年、東京湾でタンカーが炎上した第十雄洋丸事件では、災害派遣で出動した海上自衛隊が、安全を確保するためにロケット弾や魚雷でタンカーを撃沈した事例も存在する、
また、かつて上位組織がまだ防衛庁だった頃、頭の体操として、もしもゴジラが日本を襲った場合を想定した机上研究をおこなっていたことがある。
その結果、自衛隊は災害派遣として出動可能で、ゴジラを退治するのも「有害鳥獣駆除」の目的で、武器・弾薬の使用も可能という結論に達したとのこと。これらの研究は、後年、映画『シン・ゴジラ』製作の際に大いに役立てられた。
仮にゴジラでなくともネズミ、ゴキブリ、ヒグマが大量発生して社会インフラが麻痺した場合も自衛隊は災害派遣で出動し、同様に武器・弾薬を使用できるとしている。
中にはゾンビが現れた場合も、自衛隊は災害派遣で対処するだろうと考察するものまである。
→公共機関などの対応:自衛隊編 - ゾンビ災害対策 Wiki*