埼玉県所沢市に存在。軍医に相当する医官および看護師を養成するコースがある。
医官養成
医師養成は医学科で行われる。(ただし歯科医官(歯科医師)の養成はしていないため一般大学の歯学部出身者の中から試験し各自衛隊が採用。)
修学期間は一般の大学の医学部医学科と同様の6年であり一般の医師と同じく卒業後に医師国家試験を受験し医師の資格を取得する。
合格後は陸・海・空曹長に任命されて幹部候補生学校に入学、その後二等陸・海・空尉のいずれかに任官し、部隊勤務もしくは自衛隊病院に勤務する。
入学金と授業料は無料で、学生は防衛省職員として位置づけられ毎月の学生手当(給与)と年2回の期末手当が支給され、全寮制で学生隊として編成され規則正しく厳しい生活を送る。
通常の大学の医学部と大きく異なる点は、自衛官養成目的でもあるため日本国籍を持たない者および、受験する年度に18歳以上21歳未満でない者は受験資格が無いということである。
(普通の大学の医学部は外国籍の生徒や22歳以上になってから入学する者も普通にいる)
防衛大学校生や通常の自衛官の教育隊よりは体術の訓練時間は少ないが、自衛官としての基本教練や遠泳、マラソンや硫黄島などでの訓練もあり、普通の医学生よりはだいぶ体力の必要な学生生活である。
授業料がタダ等のメリットもあり、近年は医官の災害派遣などの活躍が報じられることもあり入学の競争率は毎年高く、各地域のトップクラスの進学校出身者が多い。
しかし自衛隊関係の学校の例にもれず規則や上下関係の厳しい生活を送らなければならず、幹部候補生学校時代を合わせると6年半にも及ぶハードな全寮生活を余儀なくされる。
さらに忙しいスケジュールの中で医学生としての勉強量も多いため、並みの根性ではやはり務まら図、ドロップアウトして一般大学の医学部に入りなおす者もいる。
最近女性の割合が高い医師業界において全国の医学科の中では自治医科大学と並んで男子が未だ多い学校と言われているが、それでも近年は女性の資格職志向の高まりもあり4割近くが女性である。
卒業後は9年の自衛隊関連病院での勤務が義務づけられ、これを待たずして退官すると大学校卒業までの経費(最高5,021万円)を国庫に返還しなければならない。
しかし自衛隊病院だけではどうしても9年でこなせる症例の数やパターンが少なく医師としてのスキルアップに不安を覚え、あえて経費返還をしてまで早期に退官する者も少なくない。また自衛隊に在籍しつつ先を見据えて民間の病院に無給の研修という形で退官前から出入りしている者もいる。
男子制服は防衛大学校と似ているが女子の制服は防衛大学校と異なり、ブレザータイプである。
看護師養成
自衛隊の看護師養成施設としては従来高等看護学院・自衛隊中央病院看護学院があったが、平成26年4月に防衛医科大学校医学教育部に4年制の看護学科が設置され、自衛隊の看護師養成は26年の入学生から所沢市の防衛医科大学校キャンパス敷地内に移った。
従来の3年制の高等看護学院および自衛隊中央病院看護学院は既に募集を停止しており2017年で廃止される。
防衛医科大学校の現在の看護学科は「自衛官コース」「技官コース」の2区分がある。
(上記の動画は「自衛官コース」のものである)
自衛隊関係の学校の中では珍しく女性が多数派を占める学校だが男子生徒もいる。
共通しているのは
- 4年制であること、特別職国家公務員扱いであり学費はタダで給料が出る
- 看護師および保健師の国家試験を受験すること
- 卒業後は6年の自衛隊関連病院での勤務が義務でこれより早く退職する場合は医官と同様経費返還が必要である。
違う点は
- 受験資格は「自衛官コース」が21歳まで、「技官コース」が24歳まで
- 「技官コース」は非常勤職員扱いで、給料は「自衛官コース」より安い
- 「自衛官コース」は全寮制、「技官コース」は自宅通学が可能
- 「技官コース」はほぼ一般の看護師の養成過程と同じで、自衛官としての体術訓練は行わない
- 「自衛官コース」は卒業後に幹部自衛官となるため、自衛官としての体術訓練が行われ、卒業後は幹部候補生学校に入校し、その後各地の自衛隊病院に配属である。
関連タグ
医師 医官 自衛隊 看護師 防衛大学校 高等工科学校 災害派遣