解説
文部科学省所管外である省庁大学校のひとつに位置づけられ、大学ではないが卒業時に申請すれば大学改革支援・学位授与機構から学士号が与えられ、学歴としては大学卒業と同等とみなされる。日本国籍を有する高校卒業・卒業見込みの21歳までの者か、23歳までの現役自衛官が受験可能。
幹部自衛官を養成する役割を持ち、諸外国における士官学校の一部課程(後述のように幹部候補生学校まで含めた課程で正式に幹部となるため)にあたる。自衛官としての基本教練や武器の扱い等の訓練を受けたり、各専攻・各学科に応じた専門教育や法学や経済学、語学等の一般教養などを学ぶ。
入学試験(採用試験)の段階では理工学専攻、人文・社会科学専攻のいずれかを志願時に選択する(専攻によって試験科目が違う)が、2年進級時に専攻内の各学科選択とともに陸上・海上・航空の要員に振り分けられる。
大学院に相当する「研究科」もあり、こちらに進学し論文審査に通ると修士号も獲得可能。
修学期間は4年。卒業後は曹長に任官して幹部候補生学校で学ぶが各自衛隊での教育訓練時期、卒業後の訓練課程、及び実質的に自衛官としてのキャリアを始めることになる3尉(他国では少尉に相当)への昇進タイミングにはそれぞれ差異がある。陸上自衛隊では9ヶ月の教育訓練、その後3ヶ月の普通科隊付教育を受けたのち、3尉に昇進し各部隊に配属となる。海上自衛隊では1年間の教育訓練の後、3尉に昇進するとすぐに練習艦に乗り込みそのまま2ヶ月間の近海練習航海、さらに5ヶ月間の遠洋練習航海を行ったのちに、部隊勤務もしくは専門教育を行う術科学校に進む。航空自衛隊では長年にわたって防衛大学校卒業生は半年の教育訓練、卒業後に半年の部隊勤務を経たのちに3尉に昇進していたが、2020年度より一般大学等卒業生と同じように9ヶ月の教育訓練、卒業後に3ヶ月の部隊勤務を経たのちに3尉に昇進するコースに統一された。普通に務めれば二佐以上にはなれ、中には将クラスまで昇進する者もいる。
設立当初は男性のみであったが、現在は女性も入学可能で、毎年約1割前後が女子学生である。
学生は「学生隊」として組織され全寮制で規則正しく厳しい生活を送る。
体力や生活面だけでなく、上下関係も非常に厳しいため卒業までに2割前後はついていけずドロップアウトする。
学費は不要で特別職国家公務員としての身分を持ち、学生手当という形で給料が出るがそのかわりアルバイトなどは禁止。
入学試験は秋頃に行われ、一般の大学と同様の高校までの履修内容を踏まえた学科試験を一次試験、身体検査と論文を二次試験とする。また学校の性質上身体検査等もある。
ちなみに、女子の制服も詰襟である。
その他に、学校敷地内だけで着用出来る簡易版の制服「校内服」がある(上記の動画で学生が授業中着ている青いシャツにネクタイ姿の服である)。制服類は悪用を防ぐため「貸与」の扱いであり、中退するときや卒業にあたっては返却しなければならない。
防衛大学校卒業の有名人
- 宇都隆史(政治家)
- 中谷元(政治家、防衛大臣)
- 佐藤正久(政治家)
- 志方俊之(軍事評論家)
- 田母神俊雄(評論家)
- 森本敏(評論家、元防衛大臣)
- 村井嘉浩(政治家、宮城県知事)
- 惠隆之介(作家)
- 油井亀美也(宇宙飛行士)
防衛大学校を舞台にしたフィクション
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Jドリーム:塀内夏子作の漫画。『完全燃焼編』の登場人物にに防衛大4年生の「伊達勲」が登場。