概要
重篤な家畜のウイルス性の急性伝染病のひとつ。
偶蹄類(牛、スイギュウ、山羊、羊、鹿、豚、猪など)やハリネズミ、象などが感染する。
症状としては、元気がなくなる・発熱・大量によだれが出る・口内や蹄周辺などに水膨れができて破れ傷になる・それが原因で食事や歩行が難しくなる…といった具合。
日本では家畜伝染病予防法において家畜伝染病に指定されている。人への感染は、ウィルスの蔓延する現場でも人の発病がないことからもわかるように、滅多なことでは起こらない(絶対に感染しないとは言えないが、問題にならない程度)。犬や猫、馬などの偶蹄類以外の動物にも感染しない(上に記したゾウやハリネズミなど一部例外を除く)。
また、感染が確認された農場から一定の距離の範囲は、感染の有無を問わず全ての牛・水牛・豚などの感染の可能性のある家畜や、病原体を広げる可能性のある物品の搬出が制限される。県や国、その他の公的機関が告知しているように、人には感染しない、感染した動物の肉や乳は流通しない、万が一、食べることがあっても健康被害はないと言える。
これらの知識がない事による不安や憶測から、風評被害が発生することも問題となっている。
この病気は、人の国際獣疫事務局 (OIE) リストA疾病に指定されている。感染した動物について、本疾病の治療が選択される事は基本的に無いと言ってよい。偶蹄類が感染する伝染病の中でも特に伝染力が強いものの一つで、蔓延すれば畜産業界に経済的な大打撃を与えかねない疾病でもある為、患畜として確認され次第家畜伝染病予防法に基づいて全て速やかに殺処分される。この殺処分は、発病している患畜だけでなく、その農場に居る全ての家畜を感染が疑われる疑似患畜として、例外なく行われる。そのため、一頭の発病が認められると、農場内全ての家畜が処分されることとなり、農家の被害は甚大なものになる。
伝染は患畜との直接接触や、人・道具・鳥・車などを介した多様な間接的接触、ウィルスに汚染された飼料などの摂取、風による飛散など、非常に多くのケースがある。人や車等による媒介を防ぐためには、適切な消毒剤で十分な消毒が必要となる。
2010年春、宮崎県で爆発的な猛威を振るい、多数の家畜を殺処分せざるを得ない状況となり地域の畜産に大打撃を与えた。ただし、野生動物への感染や越県感染は食い止められている。
なお、この当時の農水大臣であった赤松広隆にも激しい批判が寄せられ、赤松口蹄疫とまで呼ばれた。
Pixivにおいては、これにより被害を受けた畜産業者へのチャリティー用作品もいくつかアップされている。