概要
1956年10月20日に初飛行して以来、世界で広く使用され続けている汎用ヘリコプターの傑作にしてベストセラー。
大きなキャビンと2枚のローターブレードを持ったメインローターが特徴的。
軍用はもちろんのこと民間型(本記事ではモデル○○と記載)も世界に普及している。
正式名はイロコイだが、「ヒューイ(HU-I)」の愛称で呼ばれる。これは元々の「HU-1」という型番のアナグラムで、形式番号の付与基準の変更に伴い、現在は「UH-1」となっている。
経緯の関係上、UH-1をそのまま読んだ『ウヒィ』は有り得ない。
無知な人しか使わないネタなので注意。
本機が一躍有名となったのは、ベトナム戦争での活躍からである。
ヘリボーンが注目されたのだ。
ヘリボーンとは、ヘリコプターとエアボーン(空挺)を組み合わせた造語であり、歩兵をヘリコプターで輸送し、戦場に直接降下させる作戦行動の事である。
タービンエンジンを搭載したUH-1によってヘリボーン作戦は現実的なものとなり、軍用ヘリコプターの有用性を再認識させた功績は大きいといえよう。
第一世代型(モデル204)
初期型のUH-1Aは兵員5名を輸送可能で、UH-1Bは胴体を延長して8名を輸送可能になった。
側面ドアの窓が一つしかないのが特徴。
第二世代型(モデル205)
1960年代に登場したUH-1Dではさらに胴体が延長されて兵員14名を輸送可能になり、より輸送ヘリコプターとしての性格が強くなった。
このエンジンをさらに強化してテールローターの位置を左から右に変更したUH-1Hはシリーズのひとつの完成形となり、現在も多数が使用されている。
双発型(モデル212/412)
UH-1は単発エンジンだが、双発型も存在する。
UH-1Nツインヒューイと呼ばれるこれは、洋上飛行が多いアメリカ海兵隊で重宝され、現在もUH-1Yヴェノム(画像)に改修されて現役にある。
民間でもモデル212として販売され、現在はメインローターを4枚に増やしたモデル412が現行モデルとなっている。
さらなる改良
多くの国ではUH-60などの新型機への更新が進んでいるが、新型機は軒並み高価な為、日本の自衛隊をはじめまだまだ現役な国も多い。
そして本国の海兵隊以外の軍では、UH-60が登場した為にそれ以上の改良は行われなかったが、開発元のベル社は未だ世界各国で現役のUH-1がある事から日本の富士重工業と組んで、UH-1Hを基礎とした更なる発展型(モデル205B-2)を開発した。
共同開発とか言いつつ、実際は8割方富士重工が主導の設計となっている。
富士重工とベル社生産分で微妙に呼称が違っている(富士重工:UH-1J、ベル:UH-1HP)が、この改良型は第3世界での採用が徐々に増えている。
AH-1
また、本機の派生型として、キャビンの幅を狭めて武装を大量に搭載出来るようにした攻撃ヘリコプターのAH-1がある。
ベトナム戦争では当初、ヘリボーンの援護の為、同じUH-1に機関銃やロケット弾を装備した機体を投入したが、あくまで汎用ヘリコプターであるUH-1に武装した程度では能力が不足しており、専用の攻撃ヘリコプターとしてAH-1が開発される事となったのである。
外観は2枚のローターブレードとテールの形状くらいしか共通点がないほどの別物。
ただし、内部のパーツは互換性が取られており、UH-1のパーツを流用した整備が可能。
AH-1は最初の型からG型となっているが、これはUH-1の派生型記号を引き継いだからである。
陸上自衛隊での状況
富士重工のライセンス生産により、1960年からUH-1B・UH-1H・UH-1J・UH-2の四種類を順次導入した。
UH-1B
最初に導入され、ヘリボーン作戦の主役として活躍した。
UH-1H
1973年から133機導入された。
偵察用オートバイを搭載可能なほか、地雷散布装置やヘリテレシステムを搭載した機体も存在した。
UH-1J
高価すぎるUH-60JAを補うため一般部隊向けに1991年から130機導入。エンジンをAH-1と同じものに換装し機首を延長した。ワイヤーカッターを装備。
UH-2
UH-1Jの後継として、紆余曲折の末ベル412を元にした共同開発機が選定され、2018年12月25日に初飛行した。ベル412同様にメインローターが4枚かつ、エンジンも双発となったほか、独自開発のトランスミッションやギアボックスの採用によりパワーが大きく向上している。