概要
概要
相手勢力の戦線の後方へ輸送機で歩兵を送り込み、パラシュートやグライダーで歩兵を降下させること。
ジリジリと地上を攻め進む手間をさっくり省いて敵の重要拠点に兵士を送り込むことができ、非常に奇襲効果が高く、上手く使えば戦況をひっくり返すこともできる。
要塞を急襲して地上部隊の進撃に対し無力化したり、上陸作戦時に守備側の背後に投入して混乱を狙ったり、油田を無傷で奪ったりと、第二次世界大戦で多用された。
しかしながら、パラシュート降下に当たって隊員が携行できる装備重量には制限がある。大型車両を投げ落とすわけにもいかないので(M551のように研究は行われているが様々な困難を抱えた)、基本的には生身と軽武装、あっても非装甲の車両程度が関の山の貧弱な武装しか与えられない。
潤沢な装備を活用できる機械化歩兵に対し、空挺兵はあらゆる事態に身一つで対処しなければならない。攪乱任務などの場合後方との通信が禁じられることもあるため自己裁量に頼る部分が大きく、一般歩兵よりも優れた判断力を求められる他、極力戦闘を避けるために隠密性も高くなければならず、一旦戦闘になれば多勢に無勢の状況下でも生存する戦闘力も必要になる。航空支援、砲撃支援の要請が前提であれば、歩兵としての技能だけでなく航空兵器、火砲に関する知識も求められる。
このため空挺兵は特殊部隊並みの練度が求められる精鋭であり、実際特殊部隊として扱う国家、あるいは特殊部隊の前身となった空挺部隊や空挺兵も多い。
また、使いどころも難しい。
特別に丹精込めた精鋭兵士を最も危険な鉄火場にほぼ生身で投げ込まなければならない。下手をすれば着地直後を滅多打ちにされて金と命の浪費に終わる。そのため天候、地形、敵の戦力図、ありとあらゆる情報を考慮した戦略的判断、航空優勢の確保や近接航空支援、砲撃支援の準備等々潤沢な支援が必要となる。
また精鋭であるために、戦後フランスでアルジェリア独立戦争が政治上の大事でもあったのだが、これへの対応をめぐり政情が混乱、その中で「空挺部隊が急襲してくる」という噂も飛び交ったりもした。
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