概要
UH-60Jとは航空・海上自衛隊で運用されている救難ヘリコプターである。アメリカのシコルスキー・エアクラフト社が開発した汎用ヘリコプター「UH-60 ブラックホーク」を日本が救難用途へ独自に改修した機体。生産は三菱重工業(ライセンス生産)。通称・ロクマル。無線でのコールサインは空自がレスキューヒーロー、海自がレスキューラーク。
※尚、原型機UH-60(米本国型)の救難型はHH-60Dナイトホーク、その発展型HH-60Gペイブホークが存在する。更にそれらの後継としてHH-60W ジョリーグリーンⅡの調達が開始されている。
海上自衛隊機は部隊改編等により、除籍が予定されている。後継は救難仕様に改修したSH-60K。
航空自衛隊向けと海上自衛隊向けでは仕様・装備に一部差異が見られる為、全備重量に100kg程の差異がある。
また、航空自衛隊向けのUH-60Jは生産中に何度か仕様変更・近代化が為されている。
- 2004年生産分からはそれまで搭載されていなかった自己防衛装置(チャフ・フレアディスペンサー、ミサイル警報装置)を搭載したモデルである「UH-60J(SP)」を調達開始。
- 2009年生産分からはプローブ・アンド・ドローグ方式(先端が漏斗状になったホースに受油側がパイプを突っ込んで給油する方式)の空中給油装置を装備。またこの頃から機上自衛用の5.56mm軽機関銃MINIMIの調達が始まる。
- 2011年生産分からは事実上の後継機としてエンジンを出力向上型のT700-GE-401Dへと換装、HIRSS(Hover InfraRed Suppressor Subsystem. 赤外線排出抑制装置。別名IRサプレッサー。エンジン排気に外気を混合して排気温度を下げる装置。)の搭載、ワイヤーカッターの搭載、ミサイル警報装置と赤外線前方監視装置(FRIR)を新型へ更新、救助用ホイストをデュアルホイスト(その名の通りホイストを2つ装備)に変更した「UH-60JⅡ」の調達を開始。
機体性能諸元
「令和二年度版 防衛白書」、「三菱重工HP」、「航空自衛隊HP」、「海上自衛隊HP」及び「ヘリコプター誘導マニュアル 静岡県危機対策課」より
※空白個所は編集時データ未発見
UH-60J(海上自衛隊向け) | UH-60J(航空自衛隊向け) | UH-60JⅡ | |
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全長 | 19.8m(ローター回転時) | 同左 | 同左 |
同体長 | 15.64m | 同左 | 同左 |
全幅 | 16.4m(ローター回転時) | 同左 | 同左 |
胴体幅 | 5.43m | 同左 | 同左 |
全高 | 5.1m | 同左 | 同左 |
搭載機関 | GE/IHI T700-IHI-401Cターボシャフトエンジン×2 | 同左 | GE/IHI T700-IHI-401D ターボシャフトエンジン×2 |
エンジン出力 | 1,662軸馬力×2 | 同左 | 1,716軸馬力×2 |
最高速度 | 140kt(260km/h) | 同左 | |
巡航速度 | 135kt(235km/h) | 同左 | |
航続距離 | 約1,295㎞ | ||
実用上昇限度 | 約4,000m | ||
全備重量 | 約10,000kg | 約9,900kg | |
乗員 | 4名 | 5名 |
・メインローター最低地上高 0.58m
・ダウンウォッシュ(吹きおろし)風速 約32m/毎秒(高度15m/ヘリから20m)
関連イラスト
旧塗装空自機。視認性向上のため下半分が黄色、上半分が白に塗装されている。
現行塗装空自機。戦闘捜索救難(CSAR)を意識した洋上迷彩。旧塗装より順次、塗り替えられている模様。
海自機。こちらは下半分が蛍光オレンジ、上半分が白。2021年8月現在、海上自衛隊では洋上迷彩のUH-60Jは運用されていない。
別名・表記ゆれ
レスキューホーク 改修元のUH-60、ブラックホークより。
UH-60JA 姿・名とも似ているため混同されやすいが、こちらは陸上自衛隊が運用する汎用・多用途ヘリコプター。