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SH-60

えすえいちしっくすてぃ

アメリカの中型艦上ヘリコプター。軍艦に搭載され、対潜哨戒などに用いられる。愛称は「シーホーク」だが、他にもさまざまな名前で呼ばれている。
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概要編集

UH-60シリーズの海軍型であり、対潜哨戒や水上艦の監視、救難活動、垂直補給(物資を吊るして船から船への補給活動)などに用いられる。これらの任務を纏めてLAMPS(軽空中多目的システム)と言い、SH-60はその三代目(LAMPS Mk.Ⅲ)にあたる。

軍艦の狭い格納庫に収納するため、テールコーンは手動、メインローターは電動による折りたたみが可能になった他、軍艦の狭い甲板にも着艦できるように、尾輪がテイルブームの根元へ移動している。

搭載するレーダーソナーなどのセンサー情報は母艦とデータリンクで繋がっているため、得た情報はダイレクトに母艦へ伝える事ができる。

武装として対潜魚雷や対艦ミサイルを装備可能な他、小型の不審船対策としてドアガンを装備する事もある。


世界各国の海軍に輸出されており、装備品は各軍の要求によって若干異なる。一部の国ではメーカー側の形式であるS-70Bと呼ばれている。

派生型編集

以下はアメリカにおいて運用されているもの。

SH-60B「シーホーク」編集

SH-2シースプライトの後継として駆逐艦フリゲートに搭載される「軽空中多目的システム(LAMPS)」。


母艦と連携して広い範囲の探索を行い、なおかつ「何でも屋」として多目的に使われる関係上、対潜機材には広範囲に散布でき、なおかつ場所を取らないソノブイが採用されている。


SH-60F「オーシャンホーク」編集

SH-3シーキングの後継として空母艦隊内周の水中警戒を担う「CVヘイロー」。

専ら空母に搭載され、外周の対潜防衛網を突破した相手から空母を守る事と墜落した艦載機パイロットの救助程度しか想定していないため、レーダーなど不要な装備は撤去され、その分を燃料タンク増設に充てている。対潜機材には探知範囲が狭い代わりに精度に優れる吊り下げ式ソナー(ディッピングソナー)を搭載している。


HH-60H「レスキューホーク」編集

撃墜された空母艦載機のパイロットが敵の支配地域に降下した場合の救難を担う戦闘捜索救難機。SEALsを敵地に侵入させる任務も担っている。


HH-60J「ジェイホーク」編集

沿岸警備隊の救難機。こちらはより純粋な救難機となっている。

武装は可能だが、必要になる事はまず無い。


MH-60R「シーホーク」編集

SH-60B/Fの後継となる最新型。通称ロメオ。

装備品がアップグレードされたのはもちろん、装備の換装によってLAMPSとCVヘイローのどちらの任務にも対応できる。


MH-60S「ナイトホーク」編集

CH-46に代わる垂直補給用だが、MH-53に代わる機雷掃海機、HH-60Hに代わる救難機としても使用される多目的機。通称シエラ。

海軍型では唯一陸軍タイプをベースにしているため、尾輪は元々の位置に存在する。また、MH-60Rと同時期に導入されたため、MH-60Rと共通規格のコックピットを採用している。


自衛隊では編集

海上自衛隊が運用している。

SH-60J編集

SH-60Bの日本向け。通称「ホワイトホーク」。

電子機器の殆どは国内で開発されたもので、見方によれば半国産機。

ソノブイとディッピングソナーの両方を備え、本家SH-60Bが担当する広域対潜哨戒とSH-60Fが担当する近接対潜哨戒を1機種で賄う、本家MH-60Rの能力を先取りした機体とも言える。

SH-60Kへの更新のため、2020年代には運用機数もかなり少なくなったが、一部は機齢延伸を施して運用が続けられている。


SH-60K編集

SH-60K 哨戒ヘリコプター

SH-60Jを独自に改良した後継機で、エンジン出力の向上や搭載電子機器増加に伴う機首の延長、更にキャビンの拡大を行い搭載電子機器の内容を整理して機内容積をうまく稼いでいる。

キャビン拡大に伴う重量増加に対応する為にエンジンをJ型のT700-IHI-401Cからより高出力のT700-IHI-401C2に変更し、更にホバリング効率を上げた新形状のローターを採用。

しかしこのメインローターの形状の変更によりホバリング効率は上がったものの、空気抵抗による影響で速度は従来よりも低下してしまった。

J型では自衛用の機関銃とMk.46魚雷程度しか武装を搭載できなかったが、スタブウィングなどの改設計によりそれらに加えて国産の短魚雷である97式魚雷と対潜爆弾、AGM-114MヘルファイアⅡ空対艦ミサイル(対舟艇ミサイル)の搭載が可能となった。

用途は更に広がっているが、予算の関係で配備は中々進まなかった。その為、J型の機齢延伸予算も併せて計上されている。

2020年代にはようやく数が揃いつつあるが、2023年に初の用途廃止機が出ており、減勢が始まっている。救難用のUH-60Jの全廃が決まったため、一部機体は救難ヘリに改修される。


SH-60L編集

近隣諸国の潜水艦の高性能化や、海外派遣時の経験のフィードバックとして更なる高性能化・多用途化が求められるようになり、開発が開始された最新の派生モデル。

機体構造や駆動伝達系の強化が行われている。

またミッションシステムの強化も図られ、僚機との連携能力の向上や搭載電子機器の高性能化や武装面に関してもK型の搭載品目に加えて12.7mm重機関銃M2や新型短魚雷「12式短魚雷」の搭載にも対応した。

試験機であるXSH-60Lが2021年9月に防衛装備庁に納入された。2023年度まで試験を行い、部隊使用承認を受ける見通し。

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