概要
クレジットカード、デビットカード、電子マネー、口座振替のほか、小切手、約束手形の振り出しといったアナログな手法も含まれる。海外では偽札が多く出回っている国もあり、高額紙幣の支払いを避けるという意味で、かねてから普及している。特にスウェーデンや韓国での普及率は80~90%にも及ぶ。
日本では手元で実感できる現金には信頼性が充分あるのでキャッシュレス決済比率は低いが、クレジットカードの所有率は高い。キャッシュレス決済が広まった切っ掛けは2014年の消費税率が5%から8%に上がったことで、小銭を出すのが面倒臭くなったことによる。
スマホアプリのコード(QRコード、バーコードを含む)読み取り型も増加している。交通系ICカードなどはプリペイド式で事前に現金を使用してチャージする必要があるので、厳密に(完全な)キャッシュレスと言えるかは微妙なところである。別記事にて解説するが、後払いも同様微妙な感じもする。
利点
消費者・店舗
- 支払いが手早く済む。財布が嵩張らない。
- 他国通貨の両替の手間が省ける。
- 偽札の心配がない。
- ネット売買の決済の手間がかからない。
- 紛失時の利用停止、不正使用などが起きた場合の補償(店舗側の立場から見ると同時に欠点となる)
- 本人確認機能により不正利用が最低限保証される
企業
- 収支が記録される為事務処理が楽になる。
- 現金の保管や運搬などの手間が省ける。
- 割引制度などを導入しやすい。
- 新紙幣・新硬貨の発行による自動販売機の更新の必要がない。
行政
- 脱税の抑止。ただし資産を海外に移動するなどの方法で脱法的に節税する抜け穴は存在する。
- 金銭系の犯罪が起きたときに犯人の特定がしやすい。
- 国民の使う公金受取口座の手続きが簡易化。
欠点
消費者・店舗
- スマホのバッテリー切れ、故障、破損により利用が不可能に陥る。カードも同様に破損で利用不可能になる。
- スマホやカード、携帯型のIC等の紛失・盗難によってお金が全く使えなくなる。
- 貨幣がない為いくら使ったかの実感が湧かず無駄遣いしてしまう。多少の対策はできても、心理的な現象なのでシステムによって解決することが難しい。
- サービスを利用するためにスマホやカードの料金が必要になる。
- カード式の場合残高の確認がしにくい(現在はスマートフォンのアプリと併用することで解消しつつある)。
- 払い間違いなどの場合返金手続きが面倒になる。現金で返金したほうが簡単なことも。
- 不正使用、不正アクセスによる身に覚えのない買い物(顧客は損した分補償される場合もある)。
- 不正使用による損失を負担しなければならない。カード会社が負担しているわけではなく、大抵は店側が負担しなければならないルールになっている。
- 二重決済などの支払いミスが起こりうる。
- 通信事業者側の機器の障害や機械が使えない状況下では支払いが出来ない。
- 事故、天災、テロに弱い(実際に北海道胆振東部地震では停電により支払いが不可能な状況になった)。
- 誰が何を買ったか記録が残るため情報の悪用や流出などが起こりうる。
- 互換性のない支払い方式が乱立しがち。
- 戸籍がない、カードの審査が降りないなど特殊な事情を抱えた人が利用できない恐れがある。
- お賽銭や祭事など、現金を使用した伝統が廃れる可能性がある。最近ではお賽銭もキャッシュレスでできるところもあるが、硬貨でないとできない行事も多数ある。
- 現金ではありえない意外な方法での金銭系の犯罪やトラブルが起こる。例えば「支払い用のQRコードの上に別のQRコードを貼り付ける」「店頭では1万円と表示されているのにカードで支払ったら100万円引かれた」「日本円だと思ったら中国元だった」など。防犯のために現金より複雑な知識が必要になる。
事業者
- 対応機器の費用や決済事業者に支払う手数料がかかる。キャッシュレス導入を見送っている事業者の多くはこれが理由。
- 決済から入金されるまでに時間がかかる。業種によっては致命的な問題で、黒字倒産ということもありうる。医療機関でキャッシュレスが進まないのは、これが大きい。
- サイバー犯罪によって現金ではありえないような大きな金額が奪われてしまう恐れがある。
国家
- 国による貨幣流通量のコントロールがしにくくなる恐れがある(実際にそうなるかは不明)。
- Apple・Googleからアプリが閉め出されたり、クレジットカード会社から締め出されたりすると使用困難になる(ウクライナ侵攻の際のロシアの例)。
- お金の移動が簡単にできるため国をまたいだ犯罪が起きやすい。(ただし犯人を特定しやすい)
コンピュータゲームに登場するもの
- ポケットモンスター スカーレット・バイオレット
- リーグペイ残高の単位はLP。
- ディノクライシスシリーズ
- バイタルクレジット(ディノ2)