概要
日本庭園において、水を張らずに水やその流れを表現する様式。大量の砂などを地面に敷いて、それを水に見立てる。水に見立てる関係で砂は白っぽいものが多いが、白と別系統の色のものもある。流れの表現として、多数の同心円や渦巻き、 平行線の模様がつけられることもある。
本当の水を使わないことの利点として、管理コストの低下、水を得にくい場所にも作れることの他、水を張ることで不衛生な状態が起こるのを回避できる点が挙げられる。
平安時代から、造園で水を使いにくい個所を砂で代用する手法は枯山水という名で知られていた。だが枯山水がもっとも盛んになったのは、室町時代の禅宗寺院である。禅寺の庭は元は白砂を敷いて儀式を行う場であったが、後に儀式の場は室内に移り残された白砂の庭は抽象化された風景を水を用いずに砂と岩などで表現することが盛んになった。あえて抽象的に表現された自然を鑑賞し瞑想することで、禅の教えを知る一助に用いられたという。代表例は龍安寺、大徳寺 大仙院、建仁寺中庭などが挙げられる。名声の高まりにつれ、武家や民家の造園にも活用された。江戸時代には造園の主流は植物を配す手法に移るが、現代も枯山水造園が行われる事がある。