概要
「ありえない生き物」の一つである海辺の工場に現れた節足動物のクモを連想させる怪獣。学名は「クモンガ・サイトーデス」。大滝のおやっさん曰く「クモの化け物」であり、工場のスタッフによる呼び名がそのまま定着した。
大まかなシルエットはいかにもクモ(またはヤシガニ)のようではあるが、前足はドリルのような形状をしており、尾部にはカブトムシのような角が生え、アゴがヤゴのように展開するなど昆虫や甲殻類など様々な節足動物の特徴を兼ね備えている。
全長2.8mで大量に群生しているほか、口から出したよだれのような粘液はクモらしく糸状にすることも出来るようであり、海辺の工場に異様な形状の巣を作っていたばかりか人間も積極的に獲物とみなしており、巣の中には糸状の粘液に絡まれ体液を吸われてミイラ化したスタッフの死骸が備蓄されていた。
(ちなみに劇中で「怪獣が捕食目的で人間を襲う」、「怪獣による犠牲者」が明確に描写されたのはクモンガが初めてである。)
最大の特徴は体が半分になっても活動を継続できる強い生命力。しかも、真っ二つになった体どころかそこから零れ出た青い体液がスライムのような姿となって動き、失った部位を形成したのち体を再生できるという不気味すぎるほどの代物であるため、「再生怪獣」の別名を持つ。
さらに再生時により強力な姿へと変態することもでき、前腕に胴体とほぼ同じサイズの巨大な鎌をもったカマンガと、背中に2対の羽を備えた飛翔能力を持つハネンガ、さらには3種全ての要素を合わせたゼンブンガが出現した。
劇中での活躍
出処は不明。近くにゴジラに腹を食い破られたマンダの死骸が打ち上げられていたことからその腹の中から出てきたものと推測されるが、実際の所は明らかにされていない(劇中では単にその死骸を漁ってたと考えられている)。
8話にて、ゴジラ退治に出向いたオオタキファクトリーの面々が道中で一晩にして異形の巣と化した海沿いの工場の調査に出た際に遭遇。ジェット・ジャガーβ(JJ)の振るう「アンギラスの槍」で一刀両断にされるもなお生きており、さらに複数の個体が現れてJJを包囲、それらもまもなくJJも活躍で駆逐されるが、残った1体が工場スタッフの一人を拐い姿を消してしまう。彼を助けるべくファクトリーの面々が巣となっていた建物に近づいた所、そこにはさらに多数の個体が潜伏しており、さらに倒したハズの個体も体液を動かしながら活動を再開しJJおよび有川ユンらに襲いかかった。
9話にて、建物内の部屋に逃げこんだユン達。攫われていた人を助けている間に、彼らの相手を請け負ったJJに大群で迫り、さらに斬られた個体がカマンガにハネンガ、ゼンブンガに変態してJJを追い詰める。
しかし、戦闘の最中に漏れた船の燃料が、カマンガの鎌とアンギラスの槍のつばぜり合いで生じた火花に引火して巣は炎上。ユン達もJJもどうにか巣から脱出に成功する中、クモンガ達は巣を守るかのように燃え盛る工場に留まり続けたため、おそらくそのまま全滅したものと思われる。
余談
PV3弾にて存在が判明したが、額の青い単眼と八本足はともかく頭部や前足などその細部のデザインはむしろメガロに近く、名称が判明するまでクモンガかメガロか不明であった。
しかしメガロが意識されているのは間違いなく、ジェット・ジャガー(ユング)が予告編でメガロについて明言している。
今作の怪獣のデザインには過去の東宝怪獣がオマージュとして取り入れられているが、このクモンガはざっと上げてみても…
- 前足や頭部、尾部などのデザイン…メガロ
- ヤゴのようなアゴ、武器状の腕+足3対、複数体が人を襲う…メガヌロン
- 口の中に第二の口構造、群生…デストロイア
- 大型怪獣の養分を漁り、人間を襲ってミイラにしてしまう、侍の「超巨大フナムシ」の話題、尾甲の形状…ショッキラス
- 半透明の青い触手(体液)…ドゴラ
- スライム状のボディに大きな目(体液)…ヘドラ
- 体内に青い不定形の生物が入っている…ゲゾラ、ガニメ、カメーバ
- カマンガの巨大な鎌…カマキラス、ガイガン
- 飛翔能力を備えて群れで襲い掛かるハネンガ…メガニューラ
…などと、今作のゴジラやサルンガ以上に東宝怪獣のオマージュが濃縮されている。しかもゼンブンガに至っては名前通り上記全てが該当する。
また、ガバラやバラゴンのオマージュが入ったサルンガが今作オリジナルの怪獣であったため、これもオリジナルだと思った人も少なからずいた模様(一応カマンガらはオリジナル怪獣のカテゴリーに入っているが)。
第9話放送後に公式サイトで期間限定で遊べたミニゲーム「逃ゲロ!電波怪獣ラドンダ!」にて中盤からハネンガとともに追加された。
第11話放送後の日曜日に突然ゼンブンガとともにクモンガたちの学名が追加され、放送後に出版されたファンブックにてクモンガの派生種が同属別種どころか「再生時に変態したもの」であることが判明した。
ちなみにクモンガの種小名「サイトーデス(Scytodes)」は、ヤマシログモという実在のクモの一種。口から粘液を吐く唯一のクモである。
2020年にイランで発見された新種にScytodes kumongaという名前が登録されたが、SPクモンガはこの種の属名と種小名を逆転させたものとなっている。
すなわち、怪獣クモンガが由来の実在のクモを、怪獣の名前に逆輸入するという何とも珍しい事態となった。
また、カマンガのファルペシスは「鎌の足」、ハネンガのアラトゥースは「翼」、ゼンブンガのウルティマは「究極」という意味。
後にニジゲンノモリ「ゴジラ迎撃作戦」にて開催されたゴジラS.Pコラボイベント会場内に掲載された設定画にて、クモンガの実態がクラゲのような単細胞生物が集合して形作られた「群体」であることが判明。単体でも一個の生命体として機能し、繋がった集団で役割を決めいろんな組織の働きを行い、体内に満たされている体液が切断時び空気に触れると急速に硬化し始めて皮膚や甲殻に変化するという。
また、オーディオコメンタリーによると上記の異様な再生能力はゴジラの属性を受け継いだものだと語られた。
その後発売された円城搭監修の小説版にて、ゴジラアクアティリスに食い破られ死亡したマンダの体内に寄生していた生物が、たまたま浜辺を歩いていた蜘蛛のDNAを利用して発生したのが虫型怪獣クモンガであると判明した。
虫型怪獣は我々の世界の生物や植物、プラスチック・金属などを捕食する事により紅塵の補給の手間を省き、営巣して卵を産み繁殖する事によって勢力図を拡大する。
虫型怪獣たちは通常の物質を取り込んで増殖し、死んだ後は紅塵へと分解されて、怪獣生態系の土台となる役割を果たす。