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データ編集

名称
  • ホッキョククジラ
  • 北極鯨
  • Bowhead Whale
  • Polar Whale
  • Arctic Whale
  • Greenland Right Whale
  • 北極鯨・北极露脊鲸・格陵蘭露脊鯨・格陵兰鲸・巨极地鲸
分類
  • ヒゲクジラ亜目
    • セミクジラ科
      • ホッキョククジラ属
分布
全長
  • 16 - 21m(24m以上に達する可能性もある)
体重
  • 60 - 100t
寿命
  • 200 - 268年
特技
生息状況
名前の由来
  • 大きな口をした北極圏のミステリアスな鯨(学名)
  • 弓なりの頭をした鯨(英名、中国語名)
  • 北極圏の鯨(和名、英名、中国語名)
  • 北極圏やグリーンランドのセミクジラ(英名、中国語名)

概要編集

他の多くのヒゲクジラ類が採餌や繁殖のために移動を行うのと異なり、一生のほとんどを肥沃な北極海オホーツク海などの寒い海で過ごす。近縁種にセミクジラ属がいる。


オホーツク海の個体群は完全に他と隔離されており、他の個体群と比べると体も小さく、頭部が体に対して他の個体群よりも小さくよりセミクジラ属に近いプロポーションをしている可能性が指摘されている(つまり亜種の可能性がある)。


形態編集

(『世界の果てまでイッテQ!』に何度か出演しているカメラマンの動画。この動画は全世界で一億回以上も再生されている。)


体格はがっしりしていて暗色の体色をしている。通常は13~17m前後だが、最大では全長20~21mまたはそれ以上に達し、信頼のおけるであろう24m級、体重100t級の記録もある。雌は雄よりも大きくなる。肉の脂肪層は他のいかなる動物よりも厚く、平均43-50cmに及ぶ。背びれをもたず、強く湾曲した下顎と細い上顎をもつ。髭板の長さは3mを超え、これはヒゲクジラの中でも最も長い。この髭板は水中の小さな獲物を濾し取るために用いられる。


頭がとても大きく、なんと全体長の1/4~1/2もあり、近縁種のセミクジラ属のプロポーションをより尖らせたものになっている。つまり、リアル2頭身が成り立つこともあるのだ(ある意味では、魚に最も近い進化を遂げたと言えるのかもしれない)。


胸ビレはセミクジラ属よりも小さくより流線型になっている。成獣の目の周りは白くなっている場合が多く、まるでジャイアントパンダと逆の様になっている。イッカクに似る尾びれ裏の白い模様は個体ごとに差があり、全くない個体も多い。

ホッキョククジラ

このクジラは非常に骨太な頭蓋骨をもち、呼吸する際にこれを使って厚さ1mもの氷を下からぶち破って砕き穴を開けている。このため、ベルーガなど他の哺乳類から重宝されており、とくにベルーガは遊びの意味も含めてよく一緒に行動している。なおイヌイットによると、彼らはこの方法で60cmの氷の下から浮上することが出来るらしい。また、水中の餌を空気中の匂いから追跡することができるとも言われている。これはイヌイットの伝説だと思われていたが、近年、科学的に判明した。また、鳥の動きを観察しているのかもしれないという意見も。


さらに近年、餌の少ない極海に適応するためか、骨や体の成長を一時的にストップさせて、その分の栄養をヒゲの成長につぎ込む、一時的ではあるが脂肪が体重の半分を占める時期がある、など離れ業を持っていることも判明している。


セミクジラ属と違いコブ(ケロシティ)が存在せず、頭身も短いのは捕食者が(温暖化以前は)生息地にそんなにこなかったため、武器も素早さも必要なかったのだ。というか、対捕食者のための極地付近の分布に適応したのだ(後述の通り、オホーツク海の個体群は例外的にシャチと戦ってきたともされる)。


分布と生態編集

(陸上から簡単にホエールウォッチングができる)

セミクジラ属同様に沿岸や浅瀬を好み、流氷の上から足の下を泳ぐホッキョククジラやスキンシップのできる距離で眠るホッキョククジラ、海岸から数mのところに泳ぐホッキョククジラなどを観察することも可能である。


ホッキョククジラはヒゲクジラの中で唯一、生涯を北極海およびその周辺で過ごす種であり、ベーリング海南西部で冬季を過ごしている様子がアラスカ沖で見かけられる。ホッキョククジラは春になると流氷の開口部を追って北へ移動し、オキアミや動物プランクトンを餌としながらチュクチ海ボーフォート海へ向かう。泳ぐのが遅く、たいていは単独または最大6頭程度の小さな群で移動を行う。


セミクジラ属同様、社会性で攻撃的ではなく、脅威を感じたときには氷の下に逃げこむ。一度の潜水で40分ほど海面下に潜っていられるものの、深くまで潜水を行うとは考えられていない。彼らの天敵は人間シャチのみである。

普段の生息圏から離れることは少ないが、日本では1969年6月23日に幼獣が大阪湾に迷い込んだ事もある。また、何とちょうどピッタリ46年後2015年6月23日、一頭が知床で確認され、国内初の生存記録となった。それ以前から、化石は北海道で産出しており、流氷の到達範囲には出現する事が知られていたので、「いつか知床にも現れるんじゃないか」と予想していた人もいたらしい。


また、近年では知床と同じ程度の緯度のアメリカカナダイギリスアイルランドベルギーオランダフランスにも出現しており、16~17世紀に北米大陸セントローレンス川)の捕鯨記録でタイセイヨウセミクジラだと思われていたものが実はホッキョククジラと判明するなど、世界レベルでも意外なほど南に下ってくる事があると判明した。

  • 16~17世紀は今よりも寒かったが、これが関係していたのかは不明である。

(脱皮の光景)

「海のカナリア」と称されるベルーガにも似たカナリアに似た美しい声色で鳴き、高度な発声能力と歌をもつ。これらを移動(数十km単位で流氷の情報を共有する)・採餌および集団行動の際のコミュニケーションのために水中音を使用している。長く繰り返される音声を発することもあり、これは求愛の歌であると考えられている。


習性としては他に、水上に飛び上がって体を水面に打ちつけるブリーチング(60回連続の記録も)、尾びれで水面を打つテール・スラッピング、体を垂直にして水面から顔を出すスパイホッピングなどがある。繁殖行動は一つがいの間、あるいは数頭の雄と1-2頭の雌からなる集団内で行われる。


繁殖は3月から8月にかけて観察される。繁殖活動は10-15歳程度になった頃から行われるようになる。メスは3~4年に一度、13~14ヶ月間の妊娠期間の後に出産する。ホッキョククジラの新生児は全長4.5m、平均体重1tほどで、最初の一年で9mほどに成長する。


ホッキョククジラは独り立ちした直後はひげ板が短く、北極圏での食事に向いていない。それを克服するために、なんと骨の成分をひげ板の成長に還元させ、一時的に身体の成長をストップさせるという前代未聞の戦略を取っているということである。


寿命編集

寿命はかつて他のクジラと同程度の60-70年ほどと考えられていたが、最近の詳細な研究により少なくとも数頭の個体は150-210年程度生きているという信頼のおける結論が得られた。その証拠に、2006年に捕獲された個体に、1890年代が刺さっていた。別の報告によると、90歳の雌が繁殖可能であるらしい。

  • 他のヒゲクジラ類も、実は従来の考えよりも長生きすることが判明しており、事故で死亡した可能性のあるナガスクジラが140歳以上だと判明した事例がある。
  • 基本的に、哺乳類は体が大きいほど長生きであるが、ホッキョククジラはとくに、シャチサメが少ない環境に住んでおり、低緯度と高緯度の回遊を行わず、ほとんど年中食事を取れ、さらに海水温が少なく細胞分裂が遅くなっている、などの理由が考えられる。

また、268歳に達する可能性もあり、これが事実ならハーマン・メルヴィルが『白鯨』を執筆する以前や、米国ができる以前から生きている個体がまだいる事になる


その寿命の長さから、雌は更年期障害に陥ると考えられている。しかし、長寿の秘訣の一つがガン細胞に対する抵抗力の強さだという調査結果が出ており、人間の医療に活かせないかと期待されている。


なお、脊椎動物の長寿の記録を、同じくグリーンランド沖に棲むニシオンデンザメが塗り替え、なんと平均寿命が400歳最大で512歳前後大人の階段を登るのは150歳程度になってからというトンデモナイ話になっている。

  • これらの生物は「野生で」この寿命を体現できているのだから凄まじい。

人間との関わり編集

ホッキョククジラは近縁種のセミクジラ属と同様に、海岸に頻繁に現れ、大人しくて人懐っこく、泳ぎが遅くて死亡した後も水面に浮いているという捕獲に適した特性から、アラスカなどの先住民は古くからその捕獲を行ってきた。


欧米ソビエト連邦(およびロシア帝国)による商業捕鯨が行われる以前には、北極圏には推定5万頭以上のホッキョククジラが存在した。商業捕鯨は1611年スヴァールバル諸島グリーンランド付近で開始され、各海域の資源を枯渇させると新たな海域に移動した。北太平洋では商業捕鯨は19世紀半ばに開始され、その後20年間で個体数の6割以上が捕獲される結果となった。


個体数減少の最大の原因であった商業捕鯨は現在は中断しているが、アラスカカナダでも先住民に原住民生存捕鯨の許可枠が与えられている。この捕獲(年に25〜40頭程度)は、個体数回復の妨げになるものではないと見られ、アラスカ沖における個体数は、商業捕鯨停止後は増加傾向にある。

  • ちなみに、詳細は省くが、ホッキョククジラは日本の捕鯨プロパガンダなどにもよく使われてきて、美味しんぼを始めとする創作品による印象操作も行われてきたのは有名な話。

ほとんど絶滅していたとされていたスヴァールバル諸島の個体群が、実は捕鯨船が到達できない流氷の奥地に実は秘密の住処があることが判明し、思ったよりも数が多いことが判明。また、おそらくほかの個体群からの流入があったからなのか急速に確認数が増えている。


おそらく、世界で最も隔離されているのはオホーツク海の個体群で亜種の可能性も。「忘れられたクジラ」と呼ばれ、つい最近までは動向がほとんど不明だった。が、2000年代後半か2010年代に急に「たまたま」再発見され、今では世界で最も陸から観察しやすい個体群となりつつある。その分布から「トロピカル」と冗談で言われ(新緑の木々の脇を泳ぐホッキョククジラが見れる場所もそうそうないのではないだろうか)、極寒でない環境に適応した生態も見られる。また、陸から10m前後の距離でシャチと壮絶な戦いを繰り広げることもあり、時には砂浜に半分だけ体を乗り上げてやり過ごすこともある(参照①)()。


近年は温暖化による氷の減少で、シャチがこれまで到達できなかった北極圏の最深部まで進出していて、シャチの襲撃に免疫の少ないホッキョククジラ、ベルーガイッカクが襲われている。とくに、バレンツ海グリーンランド・北米東海岸に分布していた個体群は残り数十頭とも推測されているので、懸念材料の一つになっている。ただし、オホーツク海の個体群は昔からシャチの襲撃に晒されてきたともされており、この個体群が絶滅危惧であることからも、こちらに関しても懸念材料の一つになっている。


外部リンク編集


関連タグ編集

ヒゲクジラ セミクジラ


長寿


T・Pぼん:この作品に登場するクジラはセミクジラとして描写されているが、見た目は完全にホッキョククジラであった。


鬼灯の冷徹:鬼灯が極寒地獄に住む存在の一角として化け鯨を言及しており、この時鬼灯は他の存在同様に「さん」付けしていた。そして、公式ツイッターによると、ホッキョククジラの霊であるらしい(参照)。

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