曖昧さ回避
- ハーマン・メルヴィルによる小説作品。本項で解説
- ライトノベル『Re:ゼロから始める異世界生活』に登場する魔獣。→白鯨(リゼロ)
メルヴィルの『白鯨』について
主人公・イシュメルが語る、白いマッコウクジラ「Moby Dick(モビーディック)」を巡る悲運と恐怖の物語。『白鯨』は多重的な象徴的表現を用いた作品とされ、また内容の大半は筋を追う事よりも「鯨に関する科学的な叙述」「作者が捕鯨船に乗船して体験した捕鯨技術の描写」に費やされており、物語であると同時に当時の捕鯨に関する生きた資料となっている。
また日本の鎖国についても触れられており、「近い将来、捕鯨船の補給地を確保するため日本を開国させることになるだろう」という趣旨の文がある。後にこの予言は的中した。
あらすじ
19世紀のアメリカ東部の捕鯨基地・ナンタケットにやってきたイシュメイルは、木賃宿で知り合った南太平洋出身の巨漢の銛打ち・クイークェグと共に、捕鯨船ピークォド号に乗り込む事になった。ピークォド号の船長エイハブは、嘗てあらゆる船乗りに「海の悪魔」と呼ばれ畏怖された白いマッコウクジラ「モービィ・ディック」に片足を食いちぎられた過去を持っていた。
スペイン金貨を報償に、モービィ・ディックの発見と追跡を命じるエイハブ船長。エイハブ船長の狂気に感化されモービィ・ディックへの報復を試みる船員達。やがてピークォド号は、日本近海の太平洋でモービィ・ディックを発見するが・・・。
後世への影響
「"神"との戦い」「復讐に命を懸ける男」といったキャッチャーな内容であるためか、『白鯨』をモチーフにした作品も数多く存在する。
前者はスピルバーグ監督の大作映画『ディープ・インパクト』、後者は人気ステルスアクションゲームシリーズの『メタルギアシリーズ』等、様々なジャンルにわたって『白鯨』が物語に厚みを持たせるための要素として用いられている。
ちなみに大手コーヒーチェーンであるスターバックスの店名は、本作に登場する航海士スターバックが由来である。本来はピークォド号から名前を取るはずであったが、pee(小便)を連想させるとして今の名前になった。
実際の「白鯨」について
モデルとなった巨鯨「モカ・ディック」はチリ沖に棲んでいた。
また、発見数は少ないが、白いクジラは過去に幾度か見つかっている。所謂アルビノ現象によるものと見られているが、そうではない白化個体もいる。日本の沿岸でも瀬戸内海などでは昔から発見されてきた。たとえば、1957年に北海道の厚岸で見つかった「白鯨」はメルヴィルの小説を体現するかのような白いマッコウクジラだった。
また同族・異種族間での闘争で傷を負ったクジラはその傷跡が白くなる。そのため全身に白い傷跡のあるクジラは数多の死線を乗り越えた猛者ということになり、強いのも賢いのも道理である。事実、捕鯨で有名なラマレラ島では全身に白い斑模様のあるクジラによって捕鯨船二隻を失う大損害を被ったことがあった。
他にもザトウクジラやシロナガスクジラ(つまり白いシロナガスクジラ)シャチ、ハナゴンドウ、カマイルカなどで確認されている。関連画像を見つけたいお方は頑張って英語で調べてみてはどうだろうか。
ちなみに、少なくともホッキョククジラには、『白鯨』が書かれた当時から2017年現在も生きているだろう個体の存在が判明している。
関連タグ(名前だけのものも含める)
白鯨をベースにした作品
トムとジェリー:白鯨を原作とした「白いくじら」というエピソードには「ディッキー・モー」という鯨が登場。
貝獣物語(中ボスにモビービックという鯨モンスターがいる)
ジャバウォッキー:19世紀末を舞台にした仮想歴史漫画で、エピソードの一つのモチーフになっている)
サイボーグクロちゃん:初期にエイハブという漁師が漁場を荒らすモービーディックという白鯨と戦っている港町に迷い込むエピソードがある。
Limbus_Company:ゲーム内にてイシュメールという囚人(いわゆる仲間)が存在。本項の作品をモチーフとしており、地獄編5章はまさに「白鯨」を踏襲したエピソードとなっている。
ONEPIECE:白ひげ海賊団の船の名前がモビー・ディック号であり、白鯨の見た目をしている。
白鯨をモデルとしたキャラクター
アイガイオン ウォッチャー(Fate/strangeFake) 風のさかな キングホエーモン 鯨神(大映作品) グランドケトスT125RS ケートス(DQ11) 白鯨星座のモーゼス 白鯨星座のメンカル ハルクジラ 白闘気白鯨 マック(ポポロクロイスシリーズ) ルドラサウム U-シャーク スナクジラ/オカマッコウ(サンサーラ・ナーガ2)