解説
東京ムービーが初めて原作無しで製作したSFテレビアニメ。
1980年4月4日から同年9月26日にかけて日本テレビと福井放送にて放送された。
非ロボットアニメの珍しい作品であった。
本作の双子の姉妹が敵味方に分かれるという設定は、後に同じチームが製作した『六神合体ゴッドマーズ』でも使用された。
海外への輸出も視野に入れて作られた作品であり、イタリアや台湾などでも放送されている。
ストーリー
1982年3月、惑星直列が起こり、世界各国に異常現象が相次いで発生。その原因は、太陽系に3万年の時を超えてアトランティス大陸が出現したためであった。
そして、時を同じくして、太平洋海底でも巨大なものが目覚めていた。
3万年前、地球上には平和を愛し白鯨をシンボルとする海の民が住む「ムー大陸」と、好戦的でコンドルをシンボルとする山の民が住む「アトランティス大陸」とがあった。
アトランティスの帝王ザルゴンは、科学を発展させるオリハルコンの力を用い、軍事国家を設立していた。ムーの指導者「ラ・ムー」は、アトランティスとムーとの対決が地球を滅ぼすものと案じ、自らの力と引き換えにアトランティスを異次元へと飛ばす。が、同時にムーも海底に没した。
現代に蘇ったアトランティスは、オリハルコンを求め地球侵攻を開始。
そしてラ・ムーもこの事態を予測しており、自身の脳を巨大な白鯨に移し、3万年の時を超えて蘇る。
かつてのムーの戦士たちの生まれ変わりである少年少女は、イースター島に集められた。彼らはラ・ムーと白鯨、そしてラ・ムーの娘マドーラとともに、アトランティス帝国に立ち向かうのだった。
登場人物
- 白銀剣(ケン) - CV:武岡淳一。ムー戦士長・ケインの生まれ変わり。
- 白城譲(ジョ―) - CV:井上和彦。ムーの戦士。元サッカー選手。
- 白鳥麗(レイ) - CV:千々松幸子。ムーの戦士。元テニスプレーヤー。
- 白風信(シン) - CV:鈴置洋孝。ムーの戦士。動物好きの巨漢。
- 白川学(ガク) - CV:つかせのりこ。ムーの戦士。5人の中では最も年下だが知恵袋役。
- マドーラ - CV:吉田理保子。ラ・ムーの娘。
- ラ・ムー(白鯨) - CV:杉田俊也。白鯨に姿を変えたムーの指導者。
- ミュー - CV:栗葉子。ラ・ムーやマドーラの付き人のような存在。キューピッドのような姿。
- ザルゴン - CV:渡部猛。アトランティスの帝王
- コンドラ - CV:沢田敏子。ザルゴンの妻。
- ゴルゴス - CV:伊武雅刀。ザルゴンの長男。
- プラトス - CV:古川登志夫。ザルゴンの二男。
- ラ・メール - CV:小山茉美。アトランティスの親衛隊隊員。プラトスの副官的な立場。
白鯨
劇中に登場する「白鯨」は、全長200mの巨大なシロナガスクジラそのもの。海中のみならず、飛行能力も有する。後に宇宙航行能力も有するようになる。
実際のクジラを改造したものなのか、あるいはクジラに似た生物もしくは人造生命体なのかは不明(後に形状が変化し、宇宙船となったり、様々な武装を有したりするため、人造生命体である可能性が髙い)。
白鯨の体内には、ムーの指導者ラ・ムーの脳が移植されている。そのため、一種のサイボーグであると言える。
体内に操縦席となる球体カプセルがあり、テレポートで内部にムーの戦士たちが入り込み操縦する。操縦者が五人集まらないと、真価を発揮できない。
当初は武装が無かったが、劇中で主人公たちの力を受けて強力な武装を有するようになり、外観も変化していく(下記参照)。
※名称は、設定画に記載されていたもの。
- 白鯨マーク1
:1~6話登場。飛行能力とバリア展開能力を有する。バリアで全身を包み込み、体当たりで敵を撃破する。バリアは小型戦闘機程度なら、触れただけで破壊できるほど強力。形状はシロナガスクジラそのもの。
- 白鯨マーク2
:7~15話登場。頭部の突起からオーロラ状の光の帯を放つ『オーロラビーム』が加わった。このビームは、対象を凍結させる事ができる。クジラの前肢のヒレおよび尾ビレが、戦闘機や宇宙船の翼のようなメカ的な形状に変化した。
- 白鯨マーク3
:16~18話登場。頭部にムーの紋章、胴体部に虹色の模様が、それぞれ浮び上がった。同時に、オリハルコンパワービームを跳ね返す能力が付加される。
- 白鯨マーク4
※上記イラストはクロスオーバー。ゴッドマジンガーを乗せている、もしくはヤマトとブルーノアに挟まれているのが白鯨マーク4。
:19~26話登場。完全な宇宙船の形状に変化し、シロナガスクジラの面影はほぼなくなっている。オーロラビームに加えて『熱球ビーム砲』7門を装備。熱球ビームは単発でも強力だが、一斉発射することで更に威力を増すことができる。ただし、一声発射は5発が限度。
※最終回の決戦では、白鯨マーク4はザルゴンに屈しそうになるも、白鯨マーク1の姿となって復活する。
ムーバル
ケンをはじめとする、ムーの戦士たちが搭乗する戦闘飛行艇。非常に運動性が良く、超低速の浮遊も可能。14話ではアトランティス戦闘機には不可能な、コンドル要塞内部での戦闘をこなした。
水中でも自在に行動でき、水深500mまでは潜れるらしい。その一方、宇宙に飛び出すことは搭乗者の命にかかわる様子。
ナスを縦に切ったような形で、ボート型胴体の船尾部分に半球形のコクピットが載っている。白鯨同様に推進機関らしきものが見当たらず、その飛行原理は不明。
高速飛行時には、胴体側面を形成している主翼を展開する。
艇内に熱球ビームが格納されており、戦闘では上甲板から砲座が突き出て発射する。
挿話
本作の制作ホスト局は読売テレビなのだが、件のテレビ局(と広島テレビ)では、日本テレビ(と福井放送)からは1日遅れで放送された。
また、放送時間帯がローカルセールスであったため、日本テレビ系列局でも秋田放送、北日本放送、日本海テレビ、四国放送、南海放送が放送を見送った(ただし北日本放送は本放送終了から1年3ヶ月後に放送を開始してはいる)一方、TBS系列局約7局、フジテレビ系列局約1局、テレビ朝日系列局約3局でも放送されている。
関連動画
関連タグ
海のトリトン・黄金バット・ふしぎの海のナディア:此方はアトランティス大陸を題材にしたファンタジーアニメ
勇者ライディーン:ムー大陸を題材にした日本初のファンタジーロボットアニメ。しかし、諸事情で後半はゴッドバードヘッドカッター等の科学的要素を採り入れた。
六神合体ゴッドマーズ:同一スタッフによるロボットアニメで、前述した通り、双子が敵同士となる設定が流用された。
ゴッドマジンガー:同様にムー大陸を設定に盛り込んだ東京ムービーのTVアニメ。
ドラえもんのび太の海底鬼岩城:7000年前から続くムーとアトランティスの争いが背景になっている。
勇者警察ジェイデッカー:37話「鯨神狩り」に、サイボーグ化された鯨「ゴッドホエール」が登場。人間の脳ではないが、人間の心をコピーした超AIが内蔵されており、ボディも改造が施され、本作の白鯨と似た存在と言える。ただしこちらは平和の使者ではなく敵方。人類のエゴで改造された後、過激な環境テロリストに利用されて密猟者を襲い、やがては暴走する。
白鯨:ハーマン・メルヴィルの著作でジョン・ヒューストンに映画化された方の『白鯨』と本作との共通点は白いクジラが出てくることだけで内容に関係性は無い。
アオイホノオ:登場人物の1人が本作の大ファン