この物語はフィクションである!!
2007年に「週刊ヤングサンデー」にて連載開始。
同誌の休刊後は「ゲッサン!」創刊号にて連載を再開、現在に至る。
島本和彦の半自伝的作品だが、所謂「まんが道」ものとはアプローチがまったく異なり、80年代前半の(主に漫画・アニメ業界の)独特の空気感の描写や、増長と挫折に一喜一憂を繰り返す痛い若者たちの、ギャグと紙一重の大袈裟な描写が人気を博している。いや、ジャンルはギャグ漫画でいいのだが…。
単行本の扉の前には必ず「実在の人物・団体等の名称が一部登場するが、あくまでこの物語はフィクションである。」という但し書きがある。
あらすじ
時は1980年代初頭。「大作家(おおさっか)芸術大学」に通う青年・焔燃は近い将来ひとかどの漫画家になろうと目論んでいた。日本漫画界が新人に甘くなってきていると踏んでいた彼は、根拠のない絶大な自信も相まって何一つ行動に起こそうともせず大学生活を送っていたのだが……。
登場人物
焔燃(ほのおもゆる)
地方から大作家芸術大学に進学してきた大学生。通称ホノオ。漫画やアニメに対して並々ならぬ情熱を持つが、自信家で感情の浮き沈みが激しい。己の失敗や周囲の成功に心を抉られながら日々成長してゆく。
年上トンコ
ホノオと同じ下宿に住む、大学の先輩。ホノオのマニアックなトークを面白がる寛容さを持ち、彼から好意を寄せられている。ダイエー(物語ではタイエー)のお好み焼き店でアルバイトしている。
目が悪いのに眼鏡をかけようとしないため(当時はコンタクトレンズは高級品で、現代程普及していなかった)、やたら顔を近付けて話すクセがあるので、ホノオとしては気が気でない。
津田洋美
ホノオが所属するバドミントン部の女子部員。性格は無邪気で明るく、トンコと同じくアニメ・漫画の知識は人並み程度。
庵野秀明
後に「トップをねらえ!」や「新世紀エヴァンゲリオン」を監督する、ホノオの同期生。個人的接点はほとんどないが、アニメ実写問わずハイクオリティの映像作品を作っては、ホノオにショックを与えている(=ホノオが勝手にショックを受けている)。容姿はDAICON FILM版帰ってきたウルトラマンっぽい服装。
赤井孝美
ホノオの同期生。後に「プリンセスメーカー」などを手掛け、また株式会社ガイナックスの取締役となる。情緒不安定ながら何ヶ月もかけてストップモーションアニメを自主制作するなど高い実力を持つ。
山賀博之
後に「王立宇宙軍 オネアミスの翼」を監督、ガイナックスの社長となる男。映像計画学科の課題をきっかけに、庵野・赤井と組むことになる。根拠の無い自信に溢れていて、全く絵が描けずアニメ・漫画・特撮にも疎いが、早いうちからプロデューサー職を狙っている変わり者。
高橋
ホノオの友人。常に自作したヒーローのマスクを被っている(後に素顔を現すが)。現在は仮面ライダー等の特撮の造形に関わる製作会社「レインボー造形企画」に所属しているらしい。
きっちゃん
ホノオの友人。ホノオと二人で東京の出版社へ漫画の持ち込みをする。
ジョウ
ホノオの友人。漫画の実力には自信があり、ホノオとはしばしば挑発し合っているが、作品観においては強いシンパシーを持つ。
矢野健太郎
大作家大学4回生にして、漫画研究会CASの会長。漫画に情熱を注ぐあまり3回も留年していたが、ホノオと出会ったあと程なくしてデビューを飾る。
南雅彦
ホノオと共に映像制作に取り組むプロデューサー気質の学生。後にサンライズを経て株式会社ボンズを設立する。作者の島本とは機動武闘伝Gガンダムや疾風!アイアンリーガーなどの作品でも関わりがある。
岡田斗司夫
後のガイナックス初代社長。完全に頭がおかしいと評される変人ぶりと現実的思考を併せ持つ。ブランド服のパチモノで儲けた刺繍店の息子で、親譲りの自己顕示オーラを発している。
第20回日本SF大会(DAICON3)の運営責任者として庵野らにOPアニメーションの製作を依頼し、それがガイナックスの前身の創作集団「DAICON FILM」へとつながってゆく。
他にも、週刊少年サンデーの作家などを中心に、島本自身を除く多数の著名人が実名で登場する。
その他
- ホノオは一貫して学生時代は下宿に住んでいたが、実際の島本は作中でも描写されているように同じ下宿に住んでいる先輩が絡んでくるのがあった事でうっとうしくなって、別の下宿に実は引っ越していた。アオイホノオでは引っ越しせずにそのままにしたという。
- 年上トンコはどうやらモデルとなった人物が実在するらしい。ただ、トンコが登場した時期の執筆段階では連絡がとれなくなっている様子。その人物と連絡がとれたならばトンコ関係で描けるものがあったらしい。
- 殆ど実名で漫画家(の名前と作品)が作品中に登場するが、一方で詳細は不明だが一部には作品名とペンネームが変えてあるものがある。
ドラマ版
島本原作の映画「逆境ナイン」で脚本を務めた福田雄一監督による実写化作品。
テレビ東京系列で放送。2014年7月19日 - 9月27日(全11回)
平均すると1話で原作1巻分以上を消化するハイペースで物語が展開し、最終話では原作を追い越して大団円を迎えた。
劇中に登場する生原稿やペーパーアニメなどの再現はすべて漫画家の一本木蛮が担当し、「総作画監督」としてクレジットされている。
ちなみに自身もキャラクターとして登場している庵野秀明本人は、2016年のインタビューでこのドラマについての感想を求められ「見たことない」と答えている。
最終話では作者本人も出演している。島本氏がドラマで演じたその人物は原作ではこれといった役柄では無いが、ドラマ版では現在の島本氏が若き日の自分(ホノオ)にエールを贈るようなセリフのシーンとしてアレンジされている。