概要!
本作は竹書房刊行「燃えよペン」の続編に位置する作品である。「漫画家を主人公にした漫画」というジャンルを確立した作品であり、少年ジャンプの「バクマン。」の先輩格に当たる存在とも言える。
島本和彦らしい熱く燃える展開が繰り広げられている反面、漫画家の現状などは(ギャグを交えつつも)非常にリアルに描かれており、漫画家という職業の裏側が垣間見れる作品となっている。加えて、前作である「燃えよ~」ではリアル路線のストーリーのみであったが、「吼えろ」シリーズからは「タイムトラベルした未来人が来る」「暗殺者に狙われる」「秘密のお助けお姉さんがアシスタントや資料の提供をしてくれる」など、かなりキた内容のストーリー展開が入る。
2004年より「新吼えろペン」に改題し、若き才能が多数現れる中で漫画界の行く末を考える炎尾の姿が描かれた。
ちなみに、最終話が二つ存在する。これは初期稿があまりにリアルな小学館の内情をネタにしてしまったため、一時的にボツになったからである。
登場人物!
炎尾燃(ほのお もゆる)
本作の主人公。炎プロダクションの主で、連載を何本も抱えて四苦八苦している普通の漫画家である。詳しくは炎尾燃の項を参照されたし。
前杉英雄(まえすぎ ひろ)
もう一人の主人公で炎尾のアシスタントの一人。炎尾に引けを取らない熱血漢だが、その若さ故に突っ走って失敗することも多い。後にプロデビューして炎尾のもとから独立することと成る。
ヤス
炎尾のアシスタント。何かと暴走しがちな炎尾とその取り巻きをコントロールできる調整役である。
大哲(だいてつ)
炎尾のアシスタント。特撮好きでオモチャを大量に買い込んでたり、人に何かアドバイスするときでも特撮番組から台詞を引用したりする特撮マニア。
萌(もゆ)
炎プロの臨時アシスタントをしている女性漫画家。熱烈な炎尾ファンだったが為に炎尾自身になろうとしていたが、直接対決を経て本物への敗北を悟る。後、彼に認められて和解し、兄貴と慕うようになった。炎尾とそっくりの絵柄を持つ。
富士鷹ジュビロ
炎尾燃最大のライバルにして親友の漫画家。炎尾とは異なる哲学の持ち主だが、漫画に対する情熱は人一倍熱く、ファンとの交流も大切にしている男である。そのためか炎尾は常に彼をライバル視しており、結構頻繁に張り合っている。モデルになっているのは妖怪漫画家藤田和日郎である。
星紅(ほし くれない)
炎尾が連載している漫画雑誌の編集デスク。キツイ性格で仕事に対しては情け容赦がないためか炎尾にとっては天敵である。何故か常に仮面をかぶっている。
関連シリーズ
燃えよペン
炎尾燃を主役に据えた最初の作品。漫画家のリアルな内情を誇張表現を交えつつ描くという、後のシリーズに受け継がれる要素はこの作品で確立されたと言える。題名は言わずもがな、司馬遼太郎の名著「燃えよ剣」のパロディである。全一巻。
アオイホノオ
炎尾燃の若かりし日を描いた作品。最初は週刊ヤングサンデーにて連載されていたが、同誌の廃刊によって月刊サンデーに移籍した。正し、本作は炎尾燃をアバターにした島本和彦の半自伝的作品であり、実在のアニメーターや漫画家を描くという吼えペンシリーズのフォーマットからは外れた内容となっている。なので、前日譚というより、主役を同じくしたパラレル作品と言った方が正しい。
吼えろペンRRR
2020年代からサンデーGXで不定期投稿している新作シリーズ。本作は吼えペンの続編というより、島本和彦の身の回りで起きた出来事をネタにした短編連作であり、どちらかと言えば、島本氏がコミケなどで発行していた近況報告漫画に近い内容である。