王立宇宙軍
おうりつうちゅうぐん
こことは違う”もう一つの地球”を舞台にした宇宙開発物語。
当時、創設間もないガイナックスは、監督の山賀博之を始め、貞本義行や庵野秀明など参加スタッフの殆どが20代というかなり若々しい布陣であった。制作に際して音楽担当に坂本龍一を起用した。
興行収入は高くなかったが、綿密に作り込まれた世界観やクオリティの高い作画、リアリティのある宇宙開発の模様、そしてその完成度の高い内容から現在でも根強い人気を誇っている。
1986年ごろには月刊ニュータイプの看板作品の一つであり、「わが名はシロツグ」と題した制作日記などが掲載されていた。
上述にもあるようにその世界観の設定を綿密に練り上げている。フォーク、蒸気機関車、送迎の際の儀礼、貨幣のデザイン、などが別個のデザイナーにより作られ、あえて統一性を欠くことでリアリティを出している。
現実世界での1950年代ほどの技術で、ロケットは日本で見慣れない、旧ソ連のクラスターロケット(ジェットノズルが小さくてちまちまついてるの、あとリフトオフの時の映像はCGじゃないからな)。王国空軍には旧日本軍の試作機震電に似た後部プロペラ形状の戦闘機が登場する。
「電子頭脳」なる最新鋭のコンピューターも登場するが、映像を見る限りはリレーで動作しており表示装置はニキシー管、プログラミングは基板上のネジを開け閉めして物理配線で行っているようである。
架空文字も創作されている。文字は仮名文字に対応する50音の音節文字で、ナ行は「ン」+母音、ヤ行は「イ」+母音、ワ行は「ウ」+母音の合字になっている。数字は10進法だが文字は12まで存在する。
街並みは山賀の出身地である新潟市がイメージされているとのこと。ちなみに新潟市内でオーバーアーケードがある古町界隈は、かつては新橋・祇園と並ぶ「三大花街」の一角であった。
声優陣は中堅の実力派を起用。敵国「共和国」の人々の台詞はあえてでたらめに作られた架空の外国語で、声優にオスマン・サンコンら外国人を当てて、日本人にとっての現実味ある外国語を演出している。
のみならず徳光和夫を王国のテレビアナウンサー役で起用するなどリアリティを高める努力が随所でなされている。
オネアミス王国(オネ・アマノ・ジケイン・ミナダン王国連邦)で「何もしない失敗ばかりの軍隊」と蔑まれた「オネアミス王立宇宙軍」。打ち上げロケットの開発を目的にしていたが、計画は失敗続きで隊員達は怠惰な日々を過ごしていた。
部隊に所属する軍士官のシロツグ・ラーダットもその一人だったが、彼は歓楽街で懸命に布教活動をする一人の少女、リイクニ・ノンデライコと出会った。
彼女との出会いから自堕落な生活を捨て、人類初の有人人工衛星打ち上げ計画のパイロットに志願。それに伴って周囲の人々もやる気を起こし、停滞していた計画は本格始動していき、現実・仲間の事故死・政治的謀略・刺客など数々の試練を乗り越え、ついにロケット打ち上げに向かう。
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