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T・Pぼん

たいむぱとろーるぼん

藤子・F・不二雄による、タイムパトロールとなった少年「ぼん」と仲間たちの活躍を描いたマンガ。
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概要編集

藤子・F・不二雄によるマンガ作品の一つである。


1978年に潮出版社系列で連載開始されたが、作者が逝去したため明確な完結のないままとなっている。全35話だが第2部以降は不定期掲載となったため、連載期間は1986年までの8年間と長期に及び、連載末期には福沢諭吉の一万円札も登場している。連載が途切れたのは作者に胃がんが見つかったためで「最後の一話」を執筆する意欲も見せていたが適わなかった。

歴史を扱う漫画になったのは掲載誌が創価学会系列の出版社だったからとされる。


ひょんなきっかけでT・P(タイムパトロール)の隊員となった平凡な少年「並平凡」が、歴史を(大筋で)変えないようにしながらも、不幸な死に方をした人々を救う活躍を描いた物語。


この作品でのタイムパトロールは、『ドラえもん』で登場するTPのような警察的な存在というよりレスキュー隊のような位置付けであり、様々な時代で不幸な災難で命を落とした人々を助けることを目的としている。ちなみに書き分けはTPの間の中黒(・)の有無で、中黒があるのが本作になる。


ただしそれは「歴史を変えない範囲」でのみ許されることであり、歴史に少しでも関わるような人物や動物を助けてはならないという非情の掟があり、それゆえの苦悩も描かれている。

また、歴史を変えないようにするため、おおっぴらに便利な未来の道具を使うことはできず、いかに自然に「思われる」形で人々を助けるかに創意工夫を凝らす展開が見どころである。

なお、これを誇大解釈すると「T・Pが何か行動する度に、何かしら歴史が変わるじゃん」になってしまうのだが、そこら辺は藤子・FのSFワールドでは「一般人結婚相手変わる程度は、『歴史の復元力』が働くので未来に殆ど影響しない」らしい。大長編などで地球や宇宙・異世界を何度と救ったの活躍を考える限り一般人の範疇なのかは微妙だが……。尚、そこまでしてわざわざ過去に行き、歴史を少々変えても死んだはずの人間に対し人命救助をする事の根幹的理由・背景は不明である。


また、残酷・大人向け・グロなどの描写が目立ち、主人公ふくめメインキャラクターは皆最低一回は任務中に死んでいる


この手の作品では「異文化の民族とも会話が普通にできてしまう」というあるあるが存在するが、本作では圧縮学習で外国語が簡単に習得できるという設定で克服している。


本作では第1部で主人公のぼんが、第2部でぼんの助手となるユミ子がそれぞれT・Pに入隊しているが、その入隊理由がそれぞれ「リームのうっかりミスでぼんにT・Pの存在を知られてしまったのを揉み消すため」「ぼんのうっかりミスでユミ子にT・Pの存在を知られてしまったのを揉み消すため」というもので、T・Pの入隊理由は隊員のうっかりミスの揉み消ししかないのかという状態になっている。


第3部は長らく一部作品の未収録が続いていたが、藤子・F・不二雄大全集でめでたく全エピソードが単行本化された。


日テレ版アニメ編集

安川ユミ子

1989年にアニメスペシャルとして、原作「消されてたまるか」「バカンスは恐竜に乗って」「ピラミッドの秘密」「通り魔殺人事件」「T・P隊員の犯罪」の各エピソードを一編のストーリーに翻案した2時間の長編アニメが日本テレビ系でテレビ放映された。本アニメではユミ子がリストラされて陽子が「安川ユミ子」を拝命したが、そのぼんとユミ子の中の人がまんま上杉達也浅倉南であり、やはり阿吽の呼吸の名(迷)コンビとなっている。


エピソードの中では、当時の大河ドラマで話題だった春日局が登場した。


物語ラストの「ぼんとユミ子が命令違反を犯したままエンディング(懲戒解雇かな、とぼやきつつ帰還)」というある意味尻切れトンボな終わり方は、一説には「スポンサーが付けば、レギュラー化する構想があった」らしいが、真偽の程は不明である。


原作漫画の『T・Pぼん』は対象となる年齢層に合わせたテーマ性や残酷・無常なストーリー描写などが影響して、子供からの人気は同時期にアニメ化された『キテレツ大百科』と比較しても大きく劣っていた(当時の親御から見ても残虐な描写はあまり望ましくなく、余計に子供の読者が減少したと思われる)。また原作のストックも原作者の体調不良によって中断されたことから少なく、当時の原作者は体調面から「大長編ドラえもん」に注力していたことから、日テレ版の『T・Pぼん』にはフランチャイズとしても拡大する余裕がなかったのであろう。

  • そのためなのか、この日テレ版は原作から大きく内容を変更・削減して作られており、ぼんとリームの恋愛的な描写、リームの兄ルイの登場、安川ユミ子白木陽子の統合、柳沢の未登場などの大幅な変更も制作上の都合に起因した可能性がある。
  • 『T・Pぼん』と『キテレツ大百科』がこの時期にぎゃろっぷで制作された背景には藤本弘安孫子素雄の解散が関係しているとされ、結果的にこの2作品は同時並行で制作されてキャラデザも「ぎゃろっぷ風」になっている。ちなみにぼんとトンガリ中の人が同じである。
  • 原作から大幅な変更が加えられた他の藤子アニメとしては「日テレ版ドラえもん」や『ポコニャン』などがある。


Netflix版アニメ編集

安川ユミ子の髪型が変わってる件

原作から45年、日テレ版アニメから35年を経て、2024年Netflix配信アニメとしてリメイクされる事になった。監督は安藤真裕、音楽は大島ミチル、アニメーション制作はボンズ。『ドラえもん』以外の藤子・F・不二雄原作による新作アニメは2004年の劇場版『Pa-Pa-Pa ザ★ムービー パーマン タコDEポン!アシHAポン!』以来、連続アニメでは1995年から1997年にかけて放送された『モジャ公』以来である。


2024年5月2日にシーズン1となるリーム編の12話が配信開始、同年7月17日にシーズン2となるユミ子編の12話が配信開始された。配信エピソードは「エピソード」に示す。


Netflix版はぼんの住む現代を昭和から令和に刷新し、それに合わせて各種設定を再構築した上で原作のエピソードを進行するリブート的作品となっている。スマホが普通に存在する世界がベースとなることから、登場するガジェット類もデザインは原作を踏襲しつつ、タイムボートのモニターがホログラム式になったり、フォゲッターにタッチスクリーンが搭載されたりと色々ハイテク化されている。細かいところでは、シーズン2では2024年7月に発行されたばかりの新紙幣が登場している。


また本作はNetflixによる世界同時配信を前提に製作されており、音声および字幕により多言語対応されているほか、一部言語はオープニングがオリジナルのものになっている。


本作のリリースによりT・Pぼんは昭和(原作漫画)、平成(日テレ版アニメ)、令和(Netflix版アニメ)の三世代が並行して存在する世界となった。



あらすじ編集

武蔵野のとある共働き家庭で育つ中学生並平凡(なみひら ぼん)は、ある日友達との口論から取っ組み合いになり、ベランダから転落させて死亡させてしまう。


あまりのショックに呆然となるぼんだったが、謎の少女の干渉により時間が逆戻りし、友人は生還。ノイローゼになったと思い込んだぼんは友人宅を後にし近所の野原に向かう。


そこで不思議な乗り物を目にしたぼんは、テキトーにいじったせいで鎌倉時代までタイムスリップしてしまう。謎の少女・リームに助けられて現代に戻ったぼんだったが、T・Pの秘密を知ったことで過去を改変され消滅させられるハメに。


必死で抵抗するぼんだったが、そこにT・P本部からの通達により、ぼんは(間接的に)人類史上最大の偉人の命を救うことが判明し、処分は中止となった。


かくして口封じ代わりにT・Pの新米隊員に選ばれたぼんは、リームと共に不幸な死に方をした人々を救うため、古今東西のあらゆる時空間を旅することになったのだった。


主要登場人物編集

  • 並平凡(ぼん)…主人公。ひょんなことからT・P隊員となり、時空を越えて人命救助を行う。
  • リーム・ストリーム…第1部のヒロイン。ぼんの時代よりも未来に住む少女。
  • ブヨヨン…第1部のマスコット。超空間に生息するゼリー状の生命体。
  • 安川ユミ子…第2部・第3部のヒロイン。ぼんと同時代の武蔵野に住む少女。

ぼんのクラスメート編集

藤子作品でおなじみ「主人公の仲良し四人組」の面々。メインストーリーには絡まないが、話のきっかけや時にT・Pの任務のヒントになる。

なおジャイアンとスネ夫に似た性格の同級生キャラが、第1話にてワンポイントで登場する。


エピソード編集

上述した通り、原作の文庫版・通常版は第3部の一部エピソードが未収録であったが、完全版には第3部が完全に収録されている。

第1部は、ぼんがタイムパトロールに加入してリームの元で見習い隊員として活躍するのがメインストーリーとなり、第2部は新たに安川ユミ子が見習い隊員として加入し、彼女を相棒として活躍するのがメインストーリーとなる。第3部では、安川ユミ子が正隊員となり、彼女と共に活躍するのがメインストーリーとなる。


第1部 リーム・ストリーム編編集

話数サブタイトル主な舞台背景
1消されてたまるか鎌倉時代武蔵野元寇襲来
2見習いT・P終戦直後の東京昭和22年のカスリーン台風の被害
3ピラミッドの謎エジプト古王朝時代ジェセル王の階段ピラミッド建築
4古代人太平洋を行く紀元前のフィリピン渡来人の日本到来
5魔女狩り17世紀南フランス魔女裁判とその犠牲者
6白龍の吠える谷王朝時代のシルクロード玄奘三蔵法師旅路パラレル西遊記に非ず
7暗黒の大迷宮古代ギリシャクレタ島クノッソス宮殿ミノタウロス伝説
8戦場の美少女太平洋戦争末期の沖縄神風特攻隊
9妖狐那須高原に死す平安時代九尾伝説の犠牲となった玉藻前の真実
10バカンスは恐竜に乗ってジュラ紀前期三畳紀ジュラ紀古生物たち
11OK牧場の近所の決闘西部開拓時代アメリカ黄金狂時代の無法者たち
12マラトン大合戦紀元前5世紀ギリシャペルシア戦争及びマラトンの伝令
13シンドバッド最後の航海アッバース朝時代のオリエント千夜一夜物語の冒険譚。ドラビアンナイトに非ず
14超時空の漂流者環境破壊で放棄された遠い未来の地球神隠し

第2部 安川ユミ子見習い編編集

話数サブタイトル主な舞台背景
15通り魔殺人事件1979年の武蔵野連続通り魔殺傷事件
16チャク・モールのいけにえ古代マヤマヤ時代の生贄。太陽王伝説に非ず
17平家の落人平安時代末期の長門壇ノ浦の戦い
18ドラキュラの館15世紀ワラキア串刺し公ヴラド・ツェペシュの恐怖政治
19最初のアメリカ人氷河期ベーリング海モンゴロイドネイティブアメリカンの到来
20シュメールの少年シュメール王朝楔形文字と車輪の発明
21武蔵野の先人たち古墳時代の武蔵野大和朝廷ができるまで
22T・P隊員の犯罪18世紀イギリスセミクジラ捕鯨の歴史
23魔獣デルブ石器時代のフランス旧石器時代の暮らし
24奴隷狩り18世紀アメリカ南北戦争と黒人奴隷の歴史

第3部 安川ユミ子正隊員編編集

話数サブタイトル主な舞台背景
25トロイが滅びた日トロイア王国トロイア戦争
26浦島太郎即日帰郷古墳時代の北九州浦島太郎伝説
27誰が箱舟を作ったか7千年前のメソポタミアギルガメシュ叙事詩
28死神の行列14世紀フランス黒死病の大流行
29鉄の町の秘密紀元前オリエント鉄の国ヒッタイト
30古代の大病院紀元前トルコ古代の医療とメンタルセラピー
31十字軍の少年騎士12世紀末期エルサレム十字軍遠征
32神の怒りローマ帝政時代の地中海ローマ帝国によるキリスト教弾圧
33ローマの軍道紀元前4世紀ローマ共和制下のローマ
34王妃ネフェルティティエジプト新王朝アメンホテプ4世
35翡翠玉の謎11世紀北アメリカ翡翠美術とヴァイキングの新大陸上陸

Netflix版アニメ編集

シーズン1は、原作第1部のエピソード全14話の内、「妖狐那須高原に死す」と「シンドバッド最後の航海」の2話が削られて全12話のエピソードとしてまとめられている。


シーズン2は原作第2部から7話、第3部から3話が一部アレンジの上でアニメ化され、さらにオリジナルストーリーとなる最終2話が加わり全12話となっている。

原作から変更された点として、ブヨヨンが引き続きレギュラーとして登場する。また、第3部で変更されるぼんのコスチュームが、見習いになったユミ子に制服が支給されるのと一緒に変更され、逆にユミ子が正隊員に昇格した際に支給されるタイムボートが旧デザインのままとなっている。

Netflix版オリジナルの最終エピソードではリームが再登場を果たしている。クライマックスの「処罰の対象になっても正義を貫く」という展開は、日テレ版アニメと共通する。


シーズン1

話数サブタイトル主な舞台救助対象
1消されてたまるか鎌倉時代及び令和の武蔵野事故死する中学生、白石鉄男
2見習いT・Pカスリーン台風の直撃した終戦直後の東京台風被害で死亡する老婆、山田ハナ
3ピラミッドの謎ピラミッドを建築し始めたエジプト古王朝時代ピラミッドの秘密を知る技師、トト
4古代人太平洋を行く紀元前のフィリピン単身で航海する渡来人、トッケー
5魔女狩り17世紀魔女裁判の盛んな南フランス魔女裁判にかけられた女性、セリーヌ
6白龍の吠える谷王朝時代のシルクロード玄奘三蔵法師旅路に付いていく少年、チャムク
7暗黒の大迷宮古代ギリシャクレタ島クノッソス宮殿ミノタウロスの生贄となった男女
8戦場の美少女太平洋戦争末期の沖縄神風特攻隊に配属された兵士、桜木健男少尉
9バカンスは恐竜に乗ってジュラ紀前期(救助すべき人物は無し)
10OK牧場の近所の決闘西部開拓時代のアメリカ、トゥームストーン決闘で殺害される青年、ジェームス・ライト
11マラトン大合戦紀元前5世紀ギリシャマラトン合戦での戦死者、多数
12超時空の漂流者環境破壊で放棄された遠い未来の地球神隠しにあった作家、アンブローズ・ビアス

シーズン2

話数サブタイトル主な舞台救助対象
1(13)通り魔殺人事件令和の武蔵野通り魔に刺殺される女子中学生、安川ユミ子
2(14)チャク・モールのいけにえ古代マヤ文明生け贄にされる少女、リーシェ(画家タラ子タラ夫)
3(15)平家の落人平安時代末期の長門平家の生き残りの少年、加茂丸
4(16)シュメールの少年シュメール王朝盗賊に襲われて壊滅する村全体
5(17)最初のアメリカ人氷河期ベーリング海アメリカに到達した最初の狩人
6(18)T・P隊員の犯罪18世紀イギリスT・P隊員に殺される水夫、ザブロック
7(19)魔獣デルブ石器時代のフランスバンド※から追放されたクロマニヨン人の少年
8(20)トロイが滅びた日紀元前13世紀と19世紀のトルコ王妃つきの奴隷の少女、メノア
9(21)死神の行列14世紀黒死病流行下のフランス黒死病に感染したユダヤ人アイザックとその娘リベカ
10(22)神の怒りローマ帝政時代のポンペイキリスト教を信仰する奴隷、ラザロ
11(23)雨に沈む遺跡古代インドのモヘンジョダロバザールに出店する青年、アムリ
12(24)タイムパトロールぼん世界中の時空間T・P隊員リーム・ストリーム及び不特定多数の人間

※村よりも小さい共同体



T・Pの装備編集

  • タイムボート……本作でT・P隊員に支給されるタイムマシン。バイクのように跨って操縦する。詳細はリンク先参照。
  • 制服……簡易的なバリヤーが張られ、温度気圧水圧の変化から守ってくれる。作中では水中での活動を可能にしたり、煮えたぎる熱湯に入っても何ともない…などの描写があったが、第1話でリームが溺れたり、矢が刺さってT・P隊員が倒れる描写もあり、防御効果がどのように、どれだけあるのかは不明瞭。第2部で支給されたユミ子の制服はぼんやリームのものとはデザインが異なっており、第3部からはぼんの制服もリニューアルされた。
  • ヘルメット…爆発にも耐えられる(ただしヘルメットは核爆発に耐えられても制服は耐えられるのかは不明)。またヘルメット自体についても、ヘルメットの上から槍で叩かれて倒れる描写がある。リニューアルされた制服ではヘアバンド状の装備品に変更され、ヘルメットはなくなった。日テレ版アニメでは登場しない。
  • ブーツ……踵部分が「引き出し超空間」になっていてタイムコントローラーなどの多くのものが入る。
  • タイムシーバー……バッジ状の通信機。時間を超えた通信が出来る。通信可能な時間範囲は設定上では前後14時間前後に限られるとなっているのだが、作中の描写ではリームが2016年からぼんに連絡している描写があり、正確な通信可能な時間範囲は不明。呼び出し音が腹を壊したときの音に似ているらしく、呼び出し音を聞いた周りの人がぼんの健康を気遣って、彼が席をはずすのを容認するくだりが何度かある。『ドラえもん』でもトランシーバー型の同名の道具が登場している。
  • タイムコントローラー……正隊員にのみ支給されるステッキ型タイムマシン。本人や世界の時間の流れを変えることができる。要するにジョジョのラスボス。周囲の時間を遅くさせる「スローモーション」、逆に加速させる「コマ落とし」、一時停止させる「タイムロック」(限度は30分)、時間を逆転させる「巻き戻し」などの操作を行うことができる。なお、これらのうち「巻き戻し」の機能はタイムボートでも使用可能だが、いずれでの使用も時空間に綻びを生じさせる原因となる為、気軽に使用することは推奨されない。
  • ホログラム……未来技術によって臨場感たっぷりに作られた立体映像。T・P隊員の依頼に応じて作成される。「自動反応装置」によって、周りで起こった物理現象に自動で合わせる(ホログラムの怪物が、打ち込まれた矢に合わせて倒れる、など)こともできる。現場の文化圏で信仰されている神格の映像を使って、救助対象を助けるための「神託」を演出するという使い方が多いが、リーム曰く「大抵の人間は『自分の信じたいことだけ信じる』ため、めったに効果はない」とのこと。
  • フォゲッター……T・Pが着用する腕時計型装置。スイッチをオンにするだけで、周囲の人間から自身に関する記憶を風化させることができる。要するにMIBニューラライザー。もちろん写真動画を撮られた場合は「証拠」として残ってしまう為効果が無い。T・Pが活動中は、この装置を必ず起動させておく規則になっているが、任務達成に現地の人間の協力が必須な場合は敢えてフォゲッターのスイッチを押さないこともある(その場合は現地人に変装し、未来人だとバレないようにする必要がある)。ぼんやリームは「スイッチを押し忘れる」というドジを踏むことが頻繁にあり、そのおかげでトラブルに巻き込まれることも多い。逆に「スイッチを切り忘れた」ため、協力を取り付けた現地人がその記憶をなくしてしまい任務達成の計画に狂いが生じたこともある。
  • 生体コントローラー……拳銃型の機械で、動物電極を打ち込むことで、自分の脳からの指令を相手の筋肉に伝え、行動をコントロールする。動物を乗り物として利用したり、「困っている人を動物が助ける」という状況を演出するのに使われる。フォゲッターは記憶は消せても記録や痕跡までは消せない為、T・Pの隊員は自身の存在の秘匿のために『救助対象に対して隊員が直接干渉をせずに救助すること』が求められる。その手段の一つに『近場にいる動物を操って救助対象を助ける』選択肢がある。
    • 当然ながら、操る動物自体も未来の歴史に関与している可能性が有るため、コントローラーを使う前にチェックカードで確かめる必要がある。
  • チェックカード……「安全カード」と呼ばれることもある。対象物にかざすと、歴史に影響を与える存在であれば光って知らせる。光の強さは対象の歴史に対する重要度に比例し変化する。T・P隊員が本来の救助対象以外の人物を救助するとき、あるいは生体コントローラーなどで相手を利用するときは、このカードで相手が歴史上影響がない存在かを必ず確認しなければならない。当然光らなければ相手は歴史に影響を与えない人間ということになるので接触しても大丈夫ということになる。逆に強く光った場合は極力干渉してはならない。
  • エイシャ錠……老化を防ぐ薬。特定の時代に長期間とどまって任務を行う際に飲む。ただし飲み過ぎると赤ん坊になってしまうので適量を定期的に飲まなければならない。
  • ルーツ探知機……2つのプラグを1人1つずつ握ると、その2人の共通の祖先がわかる。
  • 系類ガス……小さな球状の物体で、投げて当てると破裂してガスが出て、その煙を浴びた人同士はマインドコントロールされてお互いを肉親だと思い込む。(ただし相手からは若干不自然に思われる)。T・Pが任務中の時代の人物になりすます必要があるとき、現地で肉親を作るために使用される。ただし効果は両方に及ぶ為、効き目が切れるまではT・Pの方もその人に対し家族への情を感じてしまうと言う難点がある。
  • ねむくならない薬……夜間任務などの際に眠くならないように飲む薬。
  • 時空ガン……タイムトリッパーを追跡する際に標識を打ち込む。標識はタキオンが放射されているため、センサーで探りながら対象者を自動追跡(オート)に設定したタイムボートで追いかける。

「二人のヒロイン」について編集

リームとブヨヨンは漫画では第一部にしか登場しておらず、2024年のNetflix版アニメでも安川ユミ子への実質的なヒロイン交代が行われている。また、第二部の途中から「タイムパトロール隊員は二名での行動が原則」という設定が突如として登場したことから、安川ユミ子は見習い終了後もぼんとのコンビを継続している。


これは掲載誌の『月刊少年ワールド』の休刊により連載(第一部)が一旦打ち切られ、後継誌の『月刊コミックトム』で連載が再開(第二部)したことが関係していると思われる。その後、藤子・F・不二雄の体調悪化によって第二部と第三部の連載が不安定化して(これによってFは大長編ドラえもんの執筆のみを行うようになった)、そしてFの逝去によって事実上の打ち切りになっている(関係者によれば、Fは自分の死の直前にも作品の継続を望んでいたとされている)。なお、第二部以降はユミ子の登場に伴い白木陽子の登場機会も大幅に減っている。


2024年のNetflix版アニメでは、もはや作者(故人)の監修や了承を得ることは不可能な状況となっていたが、シーズン1のピラミッド回では日テレアニメ版を彷彿させる「酸素不足」の描写が登場した(こっちは寸前でリームが「ちょっと無理~」となり酸素供給は未達)。シーズン2では最終エピソードでリームが再登場するが、ぼんとのロマンス的なシーンが描かれることはなかった。

  • Netflix版アニメのリームは、T・Pの秘密を知られたぼんを消すのに罪悪感の片鱗も見せなかったり、時には漫画よりも頑固でつっけんどんな態度を取るなど、原作や日テレ版アニメよりもドライな人物として描かれている。また些細な点ではあるが、リーム編の最終話である『超時空の漂流者』エピソードでは、泣き出したリームをぼんが慰めるのに(と言っても、ぼんがさんざん愚痴って泣かせたのであるが)、原作漫画では二人のスキンシップがあったのが(ぼんがリームの肩に手を置いたり両手で握手をしたりしている)Netflix版アニメでは描かれていなかったりしている。
  • 逆にNetflix版アニメのユミ子は、『平家の落人』エピソードが原作漫画と異なり斬首されておらず、最終話(Netflixオリジナルで原作漫画にはないエピソード)では、ぼんとユミ子が恋人つなぎをするなどのスキンシップが描かれてたりもしている。

2024年7月に発売された書籍『T・P本』によると、シリーズ構成を担当した柿原優子氏へのインタビュー記事にて柿原氏は「リームが憎いわけではないが、リームの人気に対抗するためにユミ子に肩入れした」と明確に「ユミ子推し」であることを述べている。また、同様に原作未読であった若い女性スタッフたちも「世間的にリーム派が多いのは納得できない」「ユミ子だって可愛い」と圧倒的にユミ子派が多い。なお、そんな状況に対して監督の安藤氏は「自身はあくまでも中立的な立場である」としている(参照)。


余談編集

  • 中華圏では「時光巡邏隊」(中国・香港)「T・P時光特警」(台湾)のタイトルで出版されている。台湾で出版されているのは「藤子・F・不二雄大全集」を翻訳したもの。ちなみに「時光巡邏隊」はTime Patrolだが「時光特警」はTime Swatの意味になる。
  • 「並平凡がある事件にかかわる役割を果たす」というアイデアがそのまんま「ドラえもんTVスペシャル」で使われる。また、大山ドラ1998年には本作のエピソード「バカンスは恐竜に乗って」をリメイクしたと思われる「ジュラ紀でドラミが大ピンチ」という中編が公開されている。
  • 新ドラえもん(いわゆるわさび版ドラ)ではアニメ本編に他の藤子キャラ(パーマンウメ星デンカ等)に混じり登場。台詞はなく1,2秒程度の出演だった。
    • 映画『新・のび太の日本誕生』にて、リーム・ストリーム、並平凡、安川ユミ子をモデルとした人物(若しくは本人)たちがタイムパトロールとしてして登場している。実際に、字幕等ではリーム隊長・ボン・ユミ子とされている。僅かな描写ながら(性格はほぼ同じであることが窺えるが)、『T・Pぼん』と『ドラえもん』とではタイムパトロールの活動や設定に違いがあるのでドラえもんと同じ世界観ではない可能性が高い(単に違う部署なのかもしれないが)。なおタイムマシンを使用した密猟者は『T・Pぼん』においても登場している。
    • ……という整理になっていたのだが、Netflix版アニメにて「犯罪捜査課」がT・Pに存在することが明らかになったため、実は同一世界であった可能性が一気に高くなってしまった。もう何が何だかわからない(原作とNetflix版は世界観が違う可能性も高いが)。
  • 「T・P隊員の犯罪」では、原作でもアニメ版でも、とあるタイムパトロール員(アニメ版ではリームの兄)がセミクジラの絶滅を防ぐために規律を侵したことになっており、そんな彼等への説得の方便として「20世紀でもセミクジラが生き残っているし、未来は明るい」という説明が使われたが、(ミナミセミクジラ以外は)現実には絶滅寸前という状況になってしまっており、規律違反を侵した隊員達が間違っていなかった、つまり、悪い意味で予言者と化している状況である。
    • この「レビヤタン」は劇中で「悪魔の鯨」と呼ばれていることから、『鯨神』へのオマージュもあると思われる。
    • 偶然にも、シーズン2が配信開始される2日前に「T・P隊員の犯罪」の舞台でもあるブリテン諸島の一角であるアイルランドで、セミクジラが114年ぶりに同国内で確認され、ガーディアンやBBCなどの大手メディアも報じた()()。しかも、アイルランドでの最後の捕獲は1908-1910年と、ジョン・デフォーの主張の「彼の時代におけるブリテン諸島のセミクジラの絶滅」の1912年とかなり近い。
  • 第1部が終了したのは掲載誌の『月刊少年ワールド』休刊により打ち切りが決まったため。その後、後継誌の『月刊コミックトム』にて連載が再開され第2部に続いたが、再開の受け皿がなければ、ぼんが正隊員に昇進して俺たちの戦いはこれからだ!で終わりになっていた。つまりリームとブヨヨンは『月刊少年ワールド』休刊の煽りでリストラされたことになる。

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