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T・Pぼん

たいむぱとろーるぼん

藤子・F・不二雄による、タイムパトロールとなった少年「ぼん」と仲間たちの活躍を描いたマンガ。
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概要

藤子・F・不二雄によるマンガ作品の一つである。


1978年に潮出版社系列で連載開始されたが、作者が逝去したため明確な完結のないままとなっている。全35話だが第2部以降は不定期掲載となったため、連載期間は1986年までの8年間と長期に及び、連載末期には福沢諭吉の一万円札も登場している。連載が途切れたのは作者に胃がんが見つかったためで「最後の一話」を執筆する意欲も見せていたが適わなかった。

歴史を扱う漫画になったのは掲載誌が創価学会系列の出版社だったからとされる。


ひょんなきっかけでT・P(タイムパトロール)の隊員となった平凡な少年「並平凡」が、歴史を(大筋で)変えないようにしながらも、不幸な死に方をした人々を救う活躍を描いた物語。


この作品でのタイムパトロールは(『ドラえもん』で登場するTPのような)警察的な存在というよりレスキュー隊のような位置付けであり、様々な時代で不幸な災難で命を落とした人々を助けることを目的としている(ちなみに書き分けはTPの間の中黒(・)の有無で、中黒があるのが本作になる)。


ただしそれは「歴史を変えない範囲」でのみ許されることであり、歴史に少しでも関わるような人物や動物を助けてはならないという非情の掟があり、それゆえの苦悩も描かれている

また、歴史を変えないようにするため、おおっぴらに便利な未来の道具を使うことはできず、いかに自然に「思われる」形で人々を助けるかに創意工夫を凝らす展開が見どころである。

なお、これを誇大解釈すると「T・Pが何か行動する度に、何かしら歴史が変わるじゃん」になってしまう筈なのだが、そこら辺は藤子・FのSFワールドでは「一般人結婚相手変わる程度は、歴史の復元力が働くので未来に殆ど影響しない」らしい。


また、残酷・大人向け・グロなどの描写が目立ち、主人公ふくめメインキャラクターは皆最低一回は任務中に死んでいる


この手の作品では「異文化の民族とも会話が普通にできてしまう」というあるあるが存在するが、本作では圧縮学習で外国語が簡単に習得できるという設定で克服している。


本作では第1部で主人公のぼんが、第2部でぼんの助手となるユミ子がそれぞれT・Pに入隊しているが、その入隊理由がそれぞれ「リームのうっかりミスでぼんにT・Pの存在を知られてしまったのを揉み消すため」「ぼんのうっかりミスでユミ子にT・Pの存在を知られてしまったのを揉み消すため」というもので、T・Pの入隊理由は隊員のうっかりミスの揉み消ししかないのかという状態になっている。


第3部は長らく一部作品の未収録が続いていたが、藤子・F・不二雄大全集でめでたく全エピソードが単行本化された。


1989年にはアニメスペシャルとして、原作「消されてたまるか」「バカンスは恐竜に乗って」「ピラミッドの秘密」「通り魔殺人事件」「T・P隊員の犯罪」の各エピソードを一編のストーリーに翻案した2時間の長編アニメが日本テレビ系でテレビ放映された。本アニメではぼんとユミ子の中の人がまんま上杉達也浅倉南であり、やはり阿吽の呼吸の名(迷)コンビとなっている。

エピソードの中では、当時の大河ドラマで話題だった春日局が登場した。


Netflix版

前作から20年以上を経て、2024年Netflix配信アニメとしてリメイクされる事になった。監督は安藤真裕、音楽は大島ミチル、アニメーション制作はボンズ


ドラえもん』以外の藤子・F・不二雄原作による新作アニメは2004年の劇場版『Pa-Pa-Pa ザ★ムービー パーマン タコDEポン!アシHAポン!』以来、連続アニメでは1995年から1997年にかけて放送された『モジャ公』以来である。


予告映像に旧タイプのタイムボートと制服が登場していることから、諸々アレンジされた前作に比べて原作に忠実な内容になることが見込まれる。リームの肌色が薄くなっているのは海外配信対応か?


あらすじ

武蔵野のとある共働き家庭で育つ中学生並平凡(なみひら ぼん)は、ある日友達との口論から取っ組み合いになり、ベランダから転落させて死亡させてしまう。


あまりのショックに呆然となるぼんだったが、謎の少女の干渉により時間が逆戻りし、友人は生還。ノイローゼになったと思い込んだぼんは友人宅を後にし近所の野原に向かう。


そこで不思議な乗り物を目にしたぼんは、テキトーにいじったせいで鎌倉時代までタイムスリップしてしまう。謎の少女・リームに助けられて現代に戻ったぼんだったが、T・Pの秘密を知ったことで過去を改変され消滅させられるハメに。


必死で抵抗するぼんだったが、そこにT・P本部からの通達により、ぼんは(間接的に)人類史上最大の偉人の命を救うことが判明し、処分は中止となった。


かくして口封じ代わりにT・Pの新米隊員に選ばれたぼんは、リームと共に不幸な死に方をした人々を救うため、古今東西のあらゆる時空間を旅することになったのだった。


主要登場人物


エピソード

話数サブタイトル舞台背景
1消されてたまるか鎌倉時代武蔵野元寇襲来
2見習いT・P終戦直後の東京昭和22年カスリーン台風
3ピラミッドの謎エジプト古王朝時代ジェセル王の階段ピラミッド
4古代人太平洋を行く紀元前のフィリピン渡来人
5魔女狩り17世紀南フランス魔女裁判
6白龍の吠える谷王朝時代のシルクロード玄奘三蔵法師旅路パラレル西遊記に非ず
7暗黒の大迷宮古代ギリシャクレタ島クノッソス宮殿ミノタウロス伝説
8戦場の美少女太平洋戦争末期の沖縄神風特攻隊
9妖狐那須高原に死す平安時代九尾伝説の犠牲となった玉藻前の真実
10バカンスは恐竜に載ってジュラ紀前期三畳紀ジュラ紀古生物たち
11OK牧場の近所の決闘西部開拓時代アメリカ黄金狂時代
12マラトン大合戦紀元前5世紀ギリシャペルシア戦争
13シンドバッド最後の航海アッバース朝時代のオリエント千夜一夜物語ドラビアンナイトに非ず
14超時空の漂流者環境破壊で放棄された遠い未来の地球神隠し
15通り魔殺人事件1979年の武蔵野連続通り魔殺傷事件
16チャク・モールのいけにえ古代マヤ太陽王伝説に非ず
17平家の落人平安時代末期の長門壇ノ浦の戦い
18ドラキュラの館15世紀ワラキア串刺し公ヴラド・ツェペシュ
19最初のアメリカ人氷河期ベーリング海モンゴロイドネイティブアメリカン
20シュメールの少年シュメール王朝楔形文字と車輪の発明
21武蔵野の先人たち古墳時代の武蔵野大和朝廷ができるまで
22T・P隊員の犯罪18世紀イギリスセミクジラ捕鯨の歴史
23魔獣デルブ石器時代のフランス旧石器時代の暮らし
24奴隷狩り18世紀アメリカ南北戦争
25トロイが滅びた日トロイア王国トロイア戦争
26浦島太郎即日帰郷古墳時代の北九州浦島太郎伝説
27誰が箱舟を作ったか7千年前のメソポタミアギルガメシュ叙事詩
28死神の行列14世紀フランス黒死病の大流行
29鉄の町の秘密紀元前オリエント鉄の国ヒッタイト
30古代の大病院紀元前トルコ古代の医療とメンタルセラピー
31十字軍の少年騎士12世紀末期エルサレム十字軍遠征
32神の怒りローマ帝政時代の地中海ローマ帝国によるキリスト教弾圧
33ローマの軍道紀元前4世紀ローマ共和制下のローマ
34王妃ネフェルティティエジプト新王朝アメンホテプ4世
35翡翠玉の謎11世紀北アメリカ翡翠美術とヴァイキングの新大陸上陸

TPの装備

  • タイムボート……本作でTP隊員に支給されるタイムマシン。バイクのように跨って操縦する。詳細はリンク先参照。
  • 制服……簡易的なバリヤーが張られ、温度気圧水圧の変化から守ってくれる。作中では水中での活動を可能にしたり、煮えたぎる熱湯に入っても何ともない…などの描写があったが、第1話でリームが溺れたり、矢が刺さってT・P隊員が倒れる描写もあり、防御効果がどのように、どれだけあるのかは不明瞭。第2部で支給されたユミ子の制服はぼんやリームのものとはデザインが異なっており、第3部からはぼんの制服もリニューアルされた。
  • ヘルメット…爆発にも耐えられる(ただしヘルメットは核爆発に耐えられても制服は耐えられるのかは不明)。またヘルメット自体についても、ヘルメットの上から槍で叩かれて倒れる描写がある。リニューアルされた制服ではヘアバンド状の装備品に変更され、ヘルメットはなくなった。アニメでは登場しない。
  • ブーツ……踵部分が「引き出し超空間」になっていてタイムコントローラーなどの多くのものが入る。
  • タイムシーバー……バッジ状の通信機。時間を超えた通信が出来る。通信可能な時間範囲は設定上では前後14時間前後に限られるとなっているのだが、作中の描写ではリームが2016年からぼんに連絡している描写があり、正確な通信可能な時間範囲は不明。呼び出し音が腹を壊したときの音に似ているらしく、呼び出し音を聞いた周りの人がぼんの健康を気遣って、彼が席をはずすのを容認するくだりが何度かある。『ドラえもん』でもトランシーバー型の同名の道具が登場している。
  • タイムコントローラー……正隊員にのみ支給されるステッキ型タイムマシン。本人や世界の時間の流れを変えることができる。要するにジョジョのラスボス。周囲の時間を遅くさせる「スローモーション」、逆に加速させる「コマ落とし」、一時停止させる「タイムロック」(限度は30分)、時間を逆転させる「巻き戻し」などの操作を行うことができる。なお、これらのうち「巻き戻し」の機能はタイムボートでも使用可能だが、いずれでの使用も時空間に綻びを生じさせる原因となる為、気軽に使用することは推奨されない。
  • ホログラム……未来技術によって臨場感たっぷりに作られた立体映像。TP隊員の依頼に応じて作成される。「自動反応装置」によって、周りで起こった物理現象に自動で合わせる(ホログラムの怪物が、打ち込まれた矢に合わせて倒れる、など)こともできる。現場の文化圏で信仰されている神格の映像を使って、救助対象を助けるための「神託」を演出するという使い方が多いが、リーム曰く「大抵の人間は『自分の信じたいことだけ信じる』ため、めったに効果はない」とのこと。
  • フォゲッター……TPが着用する腕時計型装置。スイッチをオンにするだけで、周囲の人間から自身に関する記憶を風化させることができる。要するにMIBニューラライザー。もちろん写真動画を撮られた場合は「証拠」として残ってしまう為効果が無い。TPが活動中は、この装置を必ず起動させておく規則になっているが、任務達成に現地の人間の協力が必須な場合は敢えてフォゲッターのスイッチを押さないこともある(その場合は現地人に変装し、未来人だとバレないようにする必要がある)。ぼんやリームは「スイッチを押し忘れる」というドジを踏むことが頻繁にあり、そのおかげでトラブルに巻き込まれることも多い。逆に「スイッチを切り忘れた」ため、協力を取り付けた現地人がその記憶をなくしてしまい任務達成の計画に狂いが生じたこともある。
  • 生体コントローラー……拳銃型の機械で、動物電極を打ち込むことで、自分の脳からの指令を相手の筋肉に伝え、行動をコントロールする。動物を乗り物として利用したり、「困っている人を動物が助ける」という状況を演出するのに使われる。フォゲッターは記憶は消せても記録や痕跡までは消せない為、T・Pの隊員は自身の存在の秘匿のために『救助対象に対して隊員が直接干渉をせずに救助すること』が求められる。その手段の一つに『近場にいる動物を操って救助対象を助ける』選択肢がある。
    • 当然ながら、操る動物自体も未来の歴史に関与している可能性が有るため、コントローラーを使う前にチェックカードで確かめる必要がある。
  • チェックカード……「安全カード」と呼ばれることもある。対象物にかざすと、歴史に影響を与える存在であれば光って知らせる。光の強さは対象の歴史に対する重要度に比例し変化する。TP隊員が本来の救助対象以外の人物を救助するとき、あるいは生体コントローラーなどで相手を利用するときは、このカードで相手が歴史上影響がない存在かを必ず確認しなければならない。当然光らなければ相手は歴史に影響を与えない人間ということになるので接触しても大丈夫ということになる。逆に強く光った場合は極力干渉してはならない。
  • エイシャ錠……老化を防ぐ薬。特定の時代に長期間とどまって任務を行う際に飲む。ただし飲み過ぎると赤ん坊になってしまうので適量を定期的に飲まなければならない。
  • ルーツ探知機……2つのプラグを1人1つずつ握ると、その2人の共通の祖先がわかる。
  • 系類ガス……小さな球状の物体で、投げて当てると破裂してガスが出て、その煙を浴びた人同士はマインドコントロールされてお互いを肉親だと思い込む。(ただし相手からは若干不自然に思われる)。TPが任務中の時代の人物になりすます必要があるとき、現地で肉親を作るために使用される。ただし効果は両方に及ぶ為、効き目が切れるまではTPの方もその人に対し家族への情を感じてしまうと言う難点がある。
  • ねむくならない薬……夜間任務などの際に眠くならないように飲む薬。
  • 時空ガン……タイムトリッパーを追跡する際に標識を打ち込む。標識はタキオンが放射されているため、センサーで探りながら対象者を自動追跡(オート)に設定したタイムボートで追いかける。

余談

  • 中華圏では「時光巡邏隊」(中国・香港)「T・P時光特警」(台湾)のタイトルで出版されている。台湾で出版されているのは「藤子・F・不二雄大全集」を翻訳したもの。ちなみに「時光巡邏隊」はTime Patrolだが「時光特警」はTime Swatの意味になる。
  • 「並平凡がある事件にかかわる役割を果たす」というアイデアがそのまんま「ドラえもんTVスペシャル」で使われる。また、大山ドラ1998年には本作のエピソード「バカンスは恐竜に乗って」をリメイクしたと思われる「ジュラ紀でドラミが大ピンチ」という中編が公開されている。
  • 新ドラえもん(いわゆるわさび版ドラ)ではアニメ本編に他の藤子キャラ(パーマンウメ星デンカ等)に混じり登場。台詞はなく1,2秒程度の出演だった。
    • 映画『新・のび太の日本誕生』にて、リーム・ストリーム、並平凡、安川ユミ子をモデルとした人物(若しくは本人)たちがタイムパトロールとしてして登場している。僅かな描写ながら(性格はほぼ同じであることが窺えるが)、『T・Pぼん』と『ドラえもん』とではタイムパトロールの活動や設定に違いがあるのでドラえもんと同じ世界観ではない可能性が高い(単に違う部署なのかもしれないが)。なおタイムマシンを使用した密猟者は『T・Pぼん』においても登場している。
  • 「T・P隊員の犯罪」では、原作でもアニメ版でも、とあるタイムパトロール員(アニメ版ではリームの兄)がセミクジラの絶滅を防ぐために規律を侵したことになっており、そんな彼等への説得の方便として「20世紀でもセミクジラが生き残っているし、未来は明るい」という説明が使われたが、(ミナミセミクジラ以外は)現実には絶滅寸前という状況になってしまっており、規律違反を侵した隊員達が間違っていなかった、つまり、悪い意味で予言者と化している状況である。
    • この「レビヤタン」は劇中で「悪魔の鯨」と呼ばれていることから、『鯨神』へのオマージュもあると思われる。
  • 第1部が終了したのは掲載誌の『月刊少年ワールド』休刊により打ち切りが決まったため。その後、後継誌の『月刊コミックトム』にて連載が再開され第2部に続いたが、再開の受け皿がなければ、ぼんが正隊員に昇進して俺たちの戦いはこれからだ!で終わりになっていた。つまりリームとブヨヨンは『月刊少年ワールド』休刊の煽りでリストラされたことになる。

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