概要
藤子・F・不二雄原作の漫画・アニメ作品『ドラえもん』の登場人物。野比のび太と源静香の孫の孫(のび太本人から数えて5代目、玄孫)、ノビスケの曾孫。その為、のび太のことを「おじいちゃん」と呼ぶ(これは原作でもアニメ版でも同じ。ただし正式な続柄としては高祖父にあたる)。
原作では髪の色は少し薄め(のび太の孫でノビスケの息子、つまりセワシの祖父は金髪)だが、アニメ版ではのび太と同様に黒髪になっている。
ちなみに改変前も改変後も彼の語った理論(後述)によるとジャイ子も必ず彼の祖先にあたるはずなのだが、セワシ自身はジャイ子の名前すら曖昧だったりとかなりジャイ子に対しての扱いはそっけなかったりする。ちなみに作中では一度もジャイ子を「おばあちゃん」と呼んだりはしていない(アニメ版ではしずかの方を「おばあちゃん」と呼んだことがあり、未来の自分の事を知らないしずかが困惑したこともある)。
のび太が事業に失敗して遺した野比家の借金が、約150年経った彼の代になってもまだ返済できず、お年玉を50円しかもらえないほど貧乏だった為、一族の未来を変えるべく子守ロボットのドラえもんをのび太の元へ送り込んだ。
どうもしずか・ノビスケ系列の血が強いのか、割と喧嘩も強く(藤子・F・不二雄大全集1巻参照)、129.3㎏のドラえもんを抱えて運んだこともあり、宿題なども言われる前に自発的にやっていたときは「おじいちゃん(←のび太の事)じゃないんだから」とドラえもんに言うほど。
未来の世界ではミエ吉やアントンという友達(恐らくジャイアンやスネ夫の子孫の1人)がいるが、やっぱり一番貧乏らしく、友達が家族旅行に行っている中一人だけインベーダーゲームをやっていたりしていた(貧乏が原因ではなく、野比家が旅行する習慣の無さがセワシの代まで続いてるせいで、のび太にもっと家族旅行しろと訴えるエピソードも存在する)。
なお、水田わさび版アニメオリジナルエピソード「22世紀で夏休み」では、ジャイアンそのままのジャンボという名前の少年と、スネ夫そのままの名前非公開の少年が登場し、互いに自作ロボットを戦わせていた。
連載初期には何度かドラえもんやのび太の元に現れている。初期はドラえもんが頼りなかったことあって、間違って渡してしまったひみつ道具(欠陥品)を回収しようとしたり、「ドラえもんの歌」ではジャイアン以上にひどい歌を無理矢理聞かせようとしたドラえもんをひみつ道具で気絶させたりと、出番は結構多い方だった。
また、学年誌連載版では、ドラえもんは「セワシの子分」という設定だった。
「セワシ生まれない問題」について
『ドラえもん』には物語の根幹を揺るがす矛盾がある。それは、のび太の子孫にあたるセワシにまつわる問題である。
そもそもセワシとは?誰の子?
『ドラえもん』の物語の起点にもなっているセワシ。上記の通りのび太の孫の孫にあたる(のび太から数えて5代目)。
22世紀の未来からドラえもんと一緒に「タイムマシン」で現代にやって来て、ドラえもんとのび太を引き合わせた重要人物である。セワシがいなければ、『ドラえもん』の物語は始まらなかったといえる。
そんなセワシには、重大な矛盾点が存在する。
野比一族の未来を変えるためにやってきたセワシ。
その目的は「野比家の未来を変える」こと。セワシによれば、大人になったのび太は事業に失敗して借金を抱えてしまう(就職活動に失敗して、会社を立ち上げるも社屋が全焼。多額の借金を抱えてしまうという経緯)。
のび太の遺した借金は、約150年経過した今でも、まだ返済が残っているというのだ。
一族が貧乏なため、セワシはお年玉を50円しかもらえない。そんな貧乏な一族の未来を変えるために、セワシはドラえもんを過去に派遣して一族の未来を変えようとしている。
ジャイ子と結婚する未来から、しずかと結婚する未来へ。
では、どのようにのび太の人生を変えていくのか。セワシは、のび太の結婚相手を変えて人生を変更しようとしている。
セワシによると、のび太はジャイアンの妹・ジャイ子と結婚する予定になっている。そして、二人の子孫がセワシということになっている。
セワシは、のび太の結婚相手をジャイ子ではなくしずかに変えることでのび太と野比一族の未来を好転させようとしている。そのサポート役として、ドラえもんをのび太の側に置いておこうと考えた。
ジャイ子と結婚すれば多額の借金を負う未来が待ち、しずかと結婚すれば輝かしい未来になるというのだ。
セワシは、のび太の人生を変えることで一族全体の未来を改変しようとしている。しかし、ここに『ドラえもん」最大の矛盾点が生まれている。
のび太とジャイ子の子孫であるセワシは生まれないのでは?
のび太とジャイ子の間に生まれた子孫がセワシ。のび太の結婚相手をジャイ子からしずかに変更してしまうと、当然セワシは存在しないことになる。のび太もその点を指摘していた。
「ぼくの運命が変わったら、きみは生まれてこないことになるぜ」
セワシはのび太とジャイ子の遺伝子から生まれた子供なので、のび太としずかが結婚すれば生まれない存在ということになる。
この矛盾点に対してセワシは、以下のように説明している。
「心配はいらない。ほかでつりあいとるから。
歴史の流れが変わっても、けっきょくぼくは生まれてくるよ。
たとえば、きみが大阪へ行くとする。いろんな乗りものや道すじがある。
だけど、どれを選んでも、方角さえ正しければ大阪へ着けるんだ」
時間の流れを、東京と大阪間の移動を例にとって「道すじ(のび太の結婚相手)は違っても方角さえ正しければ大阪(セワシ)へたどりつける」と説明している。かなり強引な理論なので、ファンからは「大阪理論」などと呼ばれて疑問視されている。
またそもそも歴史の修正というのはドラえもん世界で犯罪行為であり、度々タイムパトロールに捕まっている。セワシの修正は犯罪行為という指摘もよくされる。
セワシにはどこかしらでジャイ子の血が入るからOK
原作で説明されている大阪理論によると、例えばのび太としずかが結婚する未来では、二人の息子・ノビスケがジャイ子の娘と結婚することになる。そうすることで、セワシにとってはどちらになってもジャイ子は祖母の祖母となる。
どちらの未来でも、ジャイ子の血が入っているので自分が生まれてくるというのだ。
また逆説的に考えると明言されてないがジャイ子と結婚する未来でもどこかしらで静香の子孫と繋がる可能性が示唆されているという事でもある。
セワシの矛盾を解消する有力な説
「パラレルワールドなのではないか」「歴史の修正力が働くのではないか」など、大阪理論の矛盾を考察する説はいくつもある(尤も、パラレルワールドについては『パラレル西遊記』という例外中の例外を除いて、基本的に『ドラえもん』の世界で過去を改変した場合は未来が上書きされる為、前者の指摘は誤りと言えるが)。
セワシが嘘をついている説
大阪理論の矛盾点を解消する説の中で、最も納得がいくと言われている説が「セワシが嘘をついている」というもの。
セワシの説明によると、のび太とジャイ子が結婚することになっており、しずかとのび太が結婚する未来に変えようとしている。ここで矛盾が生まれているが、全ての説明が嘘だったとすれば矛盾は解消される。
本当はのび太とジャイ子が結婚する未来などなく、しずかとのび太が結婚する未来しかない。そう考えると矛盾は無くなり、セワシが生まれないのではないかという疑問も解消できる。
のび太とジャイ子が結婚する写真も存在するが、現代の技術でもかなり精巧なものは作れるのだから、未来の技術ならより完成度の高いの合成写真は簡単に作れるだろう。
ならなぜセワシは現代にドラえもんを連れてきたのか。のび太の未来を変えるという目的ではないとすれば、他にどんな目的があるのか…。
セワシが現代に来た本当の意味
セワシが現代に来て、ドラえもんとのび太を引き合わせた本当の目的として考えられるものは、
目的①「ドラえもんを処分したかった」
不良品で故障の多いドラえもんを処分したかったのではないか。耳もかじられて無くなっており、他にも故障個所の多いドラえもんが不要になって、現代に捨てにいったのではないかという説。
22世紀の未来で製造されたネコ型ロボットのドラえもん。トーキョーマツシバロボット工場で生まれるが、不良品として判定されてジャンク品と一緒に特売品として売られていたのを購入したのが(『2112年ドラえもん誕生』では、セワシが偶然ドラえもんをスカウトしたことで、そのままドラえもんが野比家に居候するという展開になっているが)、セワシのいる野比家。購入したのが2115年1月19日。タイムマシンでのび太に会いに行ったのが2123年4月5日。購入から8年以上経過している。新しいロボットの購入を検討していたと考えても不思議ではない。そもそもセワシからも「できが良くない」と言われるほど欠陥品であったドラえもんを、のび太の世話役に任せるのは不自然である。
感情の機能も搭載されているロボットなので、単にスクラップにするには気が引けたのかもしれない、というものと、
目的②「もっと重大な任務があった」とする説。
セワシは実は政府機関のエージェントで、「のび太の結婚相手を変える」という目的ではなく、もっと大きな歴史改編の任務を抱えていたのではないかというもの。
セワシは借金で貧乏生活を送っていると言っているものの、セワシはタイムマシンを持っていたり、子守ロボットを2体も所有していたりと、今ひとつ貧乏そうには見えない。時間移動が当たり前になった未来世界ではタイムマシンやロボット等は二束三文で手に入るのかもしれないが、それにしてもそんな代物が安価で手に入るとは思えない。また、そもそも「セワシは本当にのび太の子孫なのか?」という疑惑まで浮上している。
実際、ドラえもんが現代に滞在し、のび太達と行動したことで、現代ではあり得ない出来事を引き起こしている。
- 6500万年前に落下した彗星から恐竜を救う
- 絶滅したモアやドードーを別の島に移住させる
- 江戸時代の悪い殿様を改心させる
- 文明を作り上げる
- 鉄人兵団から地球を救う
大長編及び映画『海底鬼岩城』『雲の王国』等では、人類の滅亡を救ったこともある。セワシが現代にドラえもんを連れてこなければ、人類はそのまま滅亡していたかもしれない。
セワシは、地球を救うためにドラえもんを現代へつれてきた。本来の目的を伝えないのは、そうすることでまた未来が変わるから……
③のび太への忠告
いくらしずかと結婚する未来でものび太の駄目さは治らないと思って、忠告の意味でジャイ子との結婚写真を見せた。という説。
なお、全ては『説』の域を出ていない。