概要
鮮新世後期(約370万年前)から更新世末期(約1万年前)のブリテン諸島やユーラシア大陸、日本列島などに生息したサイ科の哺乳類。
正式な属名は「中空の歯」を意味するコエロドンタ(Coelodonta)。
現在までに4種が命名されており、最期の種であるアンティクイタティス種はケブカサイ(Woolly rhinoceros)と呼ばれている。
遺伝子調査の結果では、現存する5種のサイの中では、同じく顕著に体毛を持つスマトラサイが最も近縁だと判明している。
特徴
ケブカサイことアンティクイタティス種は、体長4.6m、体高2m、体重3tとシロサイと同じ大きさに達したと推測される。
共存したマンモスと同様に寒冷地仕様に進化した結果、名前通りフサフサの長い毛に覆われていた。但しマンモスとは異なり、シベリア・アラスカ経由で北アメリカには進出することはなかった。
- サイ科は、テレオケラスなど数種類が鮮新世までは北米に生息していたが、更新世以降は北米に至っていない。一度北米で絶滅した理由や、その後に北米に再度至ることがなかった理由は不明。
クロサイやシロサイと同様、鼻先に長い2本の角を生やしていたが、現生種とは異なり前方に傾いて生えており、左右に平坦化しているのが特徴。角には前縁に摩耗痕が見られたことから、餌を探して雪をかき分けるのに使われたとされている。
また、永久凍土から状態の良い化石が発見されており、ケラチン質故に通常化石に残らない角も保存されている。また、永久凍土からは他にも「コリマ」と名付けられた丸々一頭分の巨大な冷凍された個体も見つかっている。