地質時代の一つ。中生代の初期にあたり、年代は2億5000万年前から2億年前。恐竜、翼竜、首長竜、魚竜、そして哺乳類が誕生した時代。
自然環境
北極から南極にかけて巨大なパンゲア大陸が広がっていた。生命誕生以来最悪の大絶滅であるP-T境界(ペルム紀末期の大絶滅)の後の時代であり、地球環境は引き続き陸海共に低酸素・高温の過酷な環境であった。生物の多様性回復には1000万年近くを費やしたとされる学説もあるほど。
海は低酸素状態に対応したわずかな生き物だけが生息していた。
陸上は乾燥化が著しく、パンゲア大陸の大半は荒涼とした風景が広がっていたと考えられる。大気中の酸素濃度はペルム紀に30%あったが、P-T境界で激減。もっとも低い時期で11%程度まで低下し、ジュラ紀頃までの約1億年間、低酸素状態が続いた(現在の大気中の酸素濃度は21%)。現在の(低地に住む)人間が当時に行ったら高山病になるだろう。
このように非常に過酷な環境であったが、後期になるにつれ乾燥化と高温化に適応した多彩な生物が出現していく。
生物相
爬虫類では、リンコサウルス類、トリロフォサウルス類、タラットサウルス類など現在では絶滅した多彩な系統が生息しており、特にワニの祖先であるクルロタルシ類が大いに繁栄した。有鱗目(トカゲ・ヘビ)、恐竜、ワニ、翼竜が出現し、これらは次のジュラ紀で大繁栄を迎えることになる。またこの時代の初期にカメ類が出現する(三畳紀のカメは全て陸上性である)。これらの爬虫類は皮膚をウロコや硬い甲羅でおおうことによって、乾燥した気候に適応していた。両生類は無尾類(カエル)の系統が出現した。
P-T境界で単弓類は大打撃を受けたものの、テロケファルス亜目、キノドン類、ディキノドン類が生き延び、特にリストロサウルス類は大いに繁栄した。末期にはキノドン類の中から哺乳類が出現する。
昆虫類は、当時の低酸素環境を背景に、メガネウラなどの大型種が姿を消している。鱗翅目(チョウ、ガ)の系統が出現した。
海洋生物では、アンモナイトのセラタイト類の最盛期である。爬虫類が海洋に進出をはじめ、魚竜や板歯目(ウミガメのような外見・生態の爬虫類)が出現する。また、海底ではP-T境界で壊滅状態となった腕足動物に代わって軟体動物である二枚貝類が、棘皮動物ではウミユリ類に代わってウニ類が著しく多様化した。
陸上の植物ではシダ植物や裸子植物が著しく分布域を広げ、針葉樹が出現した。
末期には地球規模の噴火活動により4度目の大量絶滅が発生し、ワニ類を除くクルロタルシ類が絶滅。哺乳類とトリティロドン科を除く単弓類の大半も姿を消した。しかし、この絶滅が当時はまだ小型種が多かった恐竜が一気に台頭する契機となった。