概要
空気が薄い標高約2,400m以上の高地で発症しやすく、症状として頭痛や吐き気、めまい、むくみ、失神などがある。
悪化すると肺浮腫や肺水腫を起こしたり、呼吸器系や循環器系に持病がある場合は合併症も起こしやすくなり最悪死に至る。
日本国内においては、近年少々行き過ぎた観光PRなどで初心者の登山者の多い富士山などで問題視されている。
症状が軽い頭痛のうちならば市販の頭痛薬を服用しながら山小屋で一泊すれば改善する事が多い。
しかし中度以上の症状が出ると応急処置としては酸素を吸わせて一休みさせるくらいしか対処法がなく、改善が見込めなければ基本的に下山するしかない。
高地における行動パターンからして登山客の場合は予防法も決定的なものはなく、基本的には軽微な症状も含めてほぼ全員が罹患する。
元々体質的にこのような環境が合わない人がいる事も間違いではないが、体格の良い人や普段からよく運動しているような人でも罹りやすい。
ただしゆっくりと体を慣らしながら登る事でリスクをある程度抑えられるため、予防法としては山小屋やテントでの宿泊をしない「弾丸ツアー」を避けて充分な睡眠時間をとって登山する事が非常に重要である。
団体行動としての様々な弊害も重症化のリスクにつながる事から、初級者は経験者のいる数名の小グループでの登山が望ましい。
また高山登山に挑戦する前に2,000m前半までの山で練習したり、ロープウェイやバスなどで頂上近くまで行ける高山を訪れてその自然環境の雰囲気を肌で感じる事も重要である。
海外では高山病の初期症状の対症療法として緑内障用の薬が用いられるが、日本では処方箋なしでは一般販売で購入は不可能である。
ただし先述の通り、頭痛に関しては市販薬でも対症療法にはなる。