SF短編とは
pixivでこのタグがつけられているイラストのほとんどは藤子・F・不二雄の作品に関するものである。
概要
藤子不二雄の藤本弘が1969年以降に発表した短編漫画の多くを一括りにして呼ぶ際に用いられる名称(1本のみ藤子・F・不二雄名義で発表)。
人間の心の奥底まで存分に扱った毒のある作品も多く、傑作の宝庫。いくつかの作品はアニメ化、ドラマ化されている。
藤本は、これらの作品群の中にサイエンス要素が薄かったり、サイエンス要素がまったく含まれていない作品が含まれていることを気にして、作品集の名前に含まれている「SF」のことを「サイエンス・フィクションではなくて、『少し不思議な物語』のSとFなのです」(1989年藤子不二雄ランド『少年SF短篇② 創世日記』)と語っている(同内容を語りはじめたのは1983年から)。
藤本がこのような言い訳をしなければならなかった理由は、出版社の都合で1983年頃から1980年代中盤以降にかけて「1969年以降に描かれたほぼすべての藤本短編が、SFの名がつく短編集に収録されるようになったが、そのうちの多くの作品は藤本が「SF作品を描こう」と思って描いた作品ではなく、好きな物語をただ描いたものであり、「SF」の文字がないままに雑誌に掲載された作品も多かったためである。
つまり、好きな話をただただ描いていたらSFっぽい話が多いから本の名前にSFが付けられただけで、SFの名が付く本にたまたま収録されただけの短編も多いから、「SFと銘打っておきながらサイエンス要素が少ないじゃないか」という批判が寄せられることを防ぐために「すこしふしぎ程度の意味ですよ」と断っているわけである。
したがって「藤本は自身のSF短編を『すこしふしぎ』と読むように提唱していた」というのはデマ(読みはあくまでも「エスエフたんぺん」)。
「自身の他の作品や、他者の同種の作品を『すこしふしぎ』というジャンル名で呼ぶよう提唱していた」というのもデマ。
「ジャンル全体の『サイエンス・フィクション』という意味を気に入っておらず、『すこしふしぎ』に変えようと提唱していた」というのもデマ。
これらのデマの拡散は、1996年の藤本の没後に、藤本作品を「すこしふしぎ」というワードでひとくくりにして広めようという戦略を藤子プロが行ったことで、勘違いするファンが生じたことによる。
もちろん藤本の短編作品群の中には、SF専門誌に発表された正真正銘のSF短編も十数作含まれている。
誕生秘話
オバケのQ太郎の大ヒットで人気作家藤子不二雄として不動の地位を得た藤本弘だったが、第2のオバQを期待されつつもそこまでのヒットを生めず、1969年には「週刊少年サンデー」の連載陣から一時撤退し苦悩していた。
そこへ、当時の小学館のビッグコミック編集部から依頼を受けて誕生したのが「ミノタウロスの皿」である。
これにより、子供向けの児童マンガをメインとしていた藤本の作品の幅が一挙に広がり、以降は児童漫画をメインとしつつも中学生を主人公とした漫画や、大人漫画も多数描くようになった。なお、「ミノタウロスの皿」の1か月後には「モジャ公」、2か月後には「ドラえもんの連載がスタートしている。
藤本本人は後に「ミノタウロスの皿」について「自分にもこんなものが書けるのかという、新しいオモチャを手に入れたような喜びがありました」とコメントしている。
主な作品
ネタバレあり!
猿の惑星ならぬ牛の惑星に流れ着いた宇宙飛行士、美女ミノアの正体に愕然する。
人類が衰退し植物が進化した世界でどう過ごす。
突如現れたウサギの宇宙人の要求する「ヒョンヒョロ」とはなんなのか。「 誘拐ヲ実行スル!! 」
SF短編で唯一ノベライズされた。「 これが、火事場の馬鹿力…… 」
同じSF短編である『カイケツ小池さん』のリメイク。正義の悪魔。
全人類吸血鬼化エンド。
児童版ウルトラスーパーデラックスマン。スーパーマンごっこ。
藤本版『スーパーガール』。笑撃のラスト、本家公認の「シェー」。
地球の動物を思うままにしていた人類が宇宙人に狩られる立場となる絶望と皮肉。宇宙言語版と日本語訳版の2種類が存在する。
1976年作品。「 ミート・キューブの作り方はね… 」 後に1998年のゲーム「ゼノギアス」において類似した施設(『ソイレントシステム』)が描かれる。
1981年作品。後年「ジョジョの奇妙な冒険」の『メイド・イン・ヘブン』において類似した概念が描かれる。
ヒトコロスイッチ、夫にDV・モラハラを受ける妻の長い時間をかけた復讐。
ダムに沈んだはずの故郷の村へとタイムトラベル。「 抱けーっ!抱けーっ! 」
目が覚めると食欲と性欲が真逆の世界にいた?
- 赤毛のアン子(改題後:アン子、大いに怒る)
『エスパー魔美』のプロトタイプ。ドジっ子アン子、エスパーに目覚める!
4編のショートストーリー「記録映像」「世界を駆ける男」「スターウォーク」そして衝撃のラスト。
『ドラえもんだらけ』をシリアスにしたような話。ラストは「そして誰もいなくなった」
こっちもドラえもんだらけっぽい作品。
超高齢化社会への風刺&未来予見?主人公はのび太に似ている。
人口増加への風刺&未来予見?「 だって、おなかがすいてしようがなかったんだもの 」
『オバケのQ太郎』の完結編(?)
受験の道を経たれ将来を悲観した少年は、大金と引き換えに若さを売る契約書にサインをする。『世にも奇妙な物語』にてTVドラマ化された。
肉体入れ替わり騒動。
父と息子の心と身体が入れかわった?→肉体交換
- 「ヨドバ氏」シリーズ…未来のセールスマンが提供するカメラをめぐるストーリー。
- タイムカメラ…タイトルそのまま。過去を写すカメラ。
- ミニチュア製造カメラ…タイトルそのまま。未亡人の家を盗み撮りしたら…?
- 値ぶみカメラ…売れないカメラマン女性と本当価値はなんなのか確かめる話。
- 同録スチール
- 夢カメラ…睡眠中における脳内のイメージを写真に写してくれるカメラ。
- コラージュカメラ…現代のコンピュータによる合成映像、CG技術を予見した作品。
- 懐古の客…現代のボロアパートにホームステイしに来た未来人の結末とは?
- 四海鏡
- 丑の刻禍冥羅(うしのこくカメラ)…恋人を取られた男の復讐(ドラえもんの「のろいのカメラ」のリメイク)。
彗星は本当に地球に衝突するのか。後年、映画『アルマゲドン』でも描かれた地球滅亡もの。
細胞が全て置き換わってしまえば、それはもう別人なのでは? 藤本版TSFストーリー。
各パラレルワールドの自分たちとの同窓会。
1978年作品。漫画『テラフォーマーズ』の33年前にゴキブリをメインした漫画を描く藤本の先見性。1年後の1979年には『ドラえもん』「ゴキブリカバー」を発表。
少年と少女が迷い込んだハイテクタウンには人の姿がまったくなかった。その驚愕の理由とは。
人間にだまされた悪魔の物語!?
少年が好きな女の子のクローンを生み出すものの…飼育プレイ?
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家に帰ったら俺がいた?クローン人間騒動。
人生の分かれ道。右へ進むか左へ進むか。 人生のやり直し。パラレルワールド転移。
突然変異の脳みそ第2号?
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過去を写すタイムテレビを開発した博士。「 そうだ、この家の夕べを見よう! 」
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未来の自分がタイムマシンでやって来るのを待っている主人公!?「 これじゃ堂々回りだよ? 」
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る。
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ドラマ
2023年BSP/BS4KにてSF短編ドラマが放送された(4月9日放送開始。毎週日曜夜10時50分から)。