概要
藤子・F・不二雄原作の漫画・アニメ作品『ドラえもん』に登場するひみつ道具の一つ。初登場エピソードはTC0巻収録「机からとび出したドラえもん」。
過去や未来の、どんな場所でも見ることが出来るテレビ。それだけでなく、画面に映し出された映像を立体映像として目の前に投影することも出来る(上記の「机からとび出したドラえもん」、TC1巻収録「ドラえもんの大予言」)。
また、過去や未来に限らず、現在(リアルタイム)の様子を映し出すことも可能(TCプラス4巻収録「でんしょひこうき」)。
基本的には過去・未来の出来事を調べる為に使われるが、このタイムテレビの凄い点は大きく分けて二つある。
- 見たい場所や時間、あるいは調べたい人物がどの時代や場所にいるかが不明瞭だったとしても、自動的に使用者の目的が果たせる時代・場所を映し出してくれる
実際にTC20巻収録「雪山のロマンス」では、雪山で道に迷った未来のしずかや、風邪で寝込んでいた未来ののび太が映し出されていたが、この時点でのドラえもんや現代ののび太は、未来のしずかがどの山へ行ったのか、同時刻に未来ののび太がどこで何をしているかまでは知らなかった(作中で現代ののび太が「未来の僕はどこで何をしているんだ?」という旨の発言をしている)。それにもかかわらず、タイムテレビが自動的に未来のしずかや未来ののび太の居場所を映し出している。
TC40巻収録「恐怖のたたりチンキ」でも、飼い主に捨てられた犬に「たたりチンキ」を使用した際、この道具によって生み出された幽霊が本当に飼い主の元へ恨みを晴らしに向かうのかが気になったのび太の為にドラえもんがタイムテレビを取り出したのだが、この時点でのドラえもんは犬の幽霊がいつ、どこの家に現れるか(飼い主の家の住所)は分かっていない。しかしタイムテレビは犬の幽霊が現れた時刻及び場所を正確に映し出している。
TC41巻収録「ハメルンチャルメラ」でも、家に帰って来ないのび太(実際には「ハメルンチャルメラ」により山へ送られて帰れなくなっていた)を心配したドラえもんがタイムテレビで何があったかを調べていたが、この時点でドラえもんはのび太がいつ行方不明になったかは分かっていない。しかしタイムテレビはのび太が行方不明になる瞬間の時刻を正確に映し出している。
『恐竜』でも、ドラえもんとのび太が「タイムマシン」でピー助を1億年前の白亜紀へ送り込み、後日タイムテレビでピー助が何をしているのかを調べたのだが、この時点でドラえもん達は「ピー助を白亜紀の日本へ送った」と勘違いしていた(敵に襲われたせいでタイムマシンが故障し、実際には日本ではなくアメリカに送り込んでしまっていた)。しかしタイムテレビはドラえもん達の勘違いをそのまま反映させて白亜紀の日本を映し出すことはなく、白亜紀のアメリカにいたピー助を正確に映し出している。
このことから、タイムテレビは使用者が把握していない時代や場所の出来事だったとしても正確に映し出してくれることが分かる(TC24巻収録「ガンファイターのび太」では、過去のアメリカへ向かったのび太を探そうとしたドラえもんが「アメリカと言っても広いからな……どの町へ行ったか。何年何月何日へ行ったか、雲を掴むみたいな話だけど」と言っているが、上記の「恐怖のたたりチンキ」及び「ハメルンチャルメラ」における描写や、『恐竜』にて日本ではなくアメリカへ送り込んでしまったピー助を正確に映し出した描写と矛盾している)。
- 未来を見る際、単にそのまま時間が経過した未来(ドラえもんやのび太達が歩む正史)を映し出すだけでなく、あらゆる可能性を含んだ、ドラえもん達が歩む正史とは別の未来を映し出すことが出来る
実際にTCプラス5巻収録「いたわりロボット」及びTC15巻収録「人生やりなおし機」では、ドラえもんがタイムテレビのこの機能を利用して、のび太に「このままじゃ君は将来こんなことになっちゃうぞ!」と警告している(しかしのび太は将来的にしずかと結婚している上、このエピソード通りの未来が訪れるとすればセワシの存在が消滅してしまうはずだが、実際にセワシが消滅してしまったことはない。その為、このエピソードで映し出された未来は正史における未来ではないことが分かる)。
また、TC42巻収録「やりすぎ!のぞみ実現機」でも、のび太が「のぞみ実現機で明日のテストを受けずに済むようにしたら、どのような形で願いが叶うか」を調べる目的でタイムテレビのこの機能を利用したのだが、このままでは翌朝には町一帯が壊滅してしまうことが判明した為、のび太は急遽「のぞみ実現機」を調整し直して事なきを得た(翌朝、のび太は寝坊してテスト終了後に登校してしまうという形でテストを受けずに済むこととなり、町一帯が壊滅する未来は訪れなかった。すなわち、昨夜のび太が映し出した未来は正史における未来ではないことが分かる)。
TC34巻収録「ヤジウマアンテナ」では、ドラえもんとのび太がタイムテレビを使用した際、居眠り運転のトラックがガソリンスタンドへ突っ込んだことで町一帯で大火災が発生してしまう未来が映し出された。そこでドラえもんがトラックの運転手を起こし事故を未然に防いだことで、大火災が発生する未来は訪れなかった。すなわち、先程ドラえもん達が映し出した未来は正史における未来ではないことが分かる。
それだけでなく、大全集1巻収録「まんが家」では、ドラえもんが「のび太が警察官や教師等といった色々な職業を目指した場合はどうなるか」をタイムテレビで映し出している。どの未来も散々な結果(警察官になった未来なら近くを歩いていた人に「夜道が怖いからついて来て欲しい」と頼んだり、教師になった未来なら生徒に「この字はなんて読むの?」と聞く等)だったのだが、実際にのび太が歩む未来において、ドラえもんが歴史を変える前も変えた後もそれらの職業に就いていた未来は一切存在しない(前者は社長になるも失敗、後者は少なくともこのエピソードで挙げられた職業ではない)。この時点でタイムテレビはのび太が実際に歩む(歩んだ)歴史とは全く関係ない別の未来を映し出していることが分かる。
このことから、タイムテレビは実際に起こる未来の出来事だけでなく、様々な可能性の未来を映し出せることが分かる。
ただし未来の映像を映し出した際、その全てが別の可能性の未来に過ぎないという訳ではなく、上記の通り純粋に時間が経過した未来(ドラえもん達が歩む正史)を映し出すことも可能。
実際に大全集2巻収録「タイムテレビ」では、ドラえもんがタイムテレビを使用してしずか・ジャイアン・スネ夫の近未来を調べた際、ジャイアンとスネ夫はその未来を回避する為に行動したのだが、それが原因でドラえもんが調べた通りの未来に繋がっている。
上記の別の可能性の未来も含めて、TC40巻収録「しずちゃんをとりもどせ」等では、ドラえもんが「未来は変わることもある」と述べている。しかしその一方、上記の「タイムテレビ」ではドラえもんが「テレビは嘘をつかないよ」と明言しており、実際にジャイアンとスネ夫はテレビで映し出された通りの未来を歩むことになっている。
それだけでなくTC4巻収録「世界沈没」、TC10巻収録「いつでも日記」、TC36巻収録「タイムふしあな」、大全集15巻収録「タイム手ぶくろでしかえしを」では、タイムテレビと同様に未来の出来事を調べることが出来るひみつ道具「イマニ目玉」、「いつでも日記」、「タイムふしあな」、「タイム手ぶくろとめがね」が登場する。のび太はどのエピソードでも、これらの道具で見た未来を回避する為に行動したのだが、それが原因でのび太が自分で調べた通りの未来に繋がっている(いつでも日記については、ドラえもんが「この日記は嘘をつかない」と明言している)。
その為、これらのエピソードで映し出されている未来は、別の可能性の未来という訳ではなく、正史における未来(未来を知ったドラえもん達が行動を起こした結果が歴史に組み込まれている未来)であることが分かる。
派生作品
水田わさび版アニメオリジナルエピソード「ドラえもんの長い一日」や同アニメオリジナルエピソード「のび太を愛した美少女」では、ドラえもんがタイムテレビで22世紀に住むドラミと連絡を取り合っており、時にはタイムテレビでドラえもんと会話したドラミがそのままタイムマシンで現代へやって来ることもある。
水田版アニメオリジナルエピソード「しずかちゃんへのプレゼントはのび太」では、ドラえもんとのび太がタイムテレビで25年後の未来を見たところ、慌てた未来ののび太がどこかへ立ち去る様子が映し出された。
何が起こったか把握出来ていないドラえもん達だったが、間髪入れずに未来ののび太が机の引き出しから顔を出してドラえもん達を驚かせた。つまりタイムテレビで映し出されていた未来ののび太が、そのままタイムマシンで現代にやって来たことになる。
TC16巻収録「りっぱなパパになるぞ!」でも、タイムマシンで25年後に行ったのび太が未来ののび太と出会っているのだが、未来ののび太は小学生の頃にタイムマシンで未来に行き、しずかと結婚した自分自身を見に行ったことを覚えている。それに加えてTC26巻収録「タイムカプセル」でも、未来ののび太は小学生の時にタイムカプセルを裏山へ埋めたことを(うっすらとだが)覚えていた。
その為、ファンの間では「原作版及び水田版アニメの作中において、しずかと結婚した未来における大人ののび太は別の可能性の未来ののび太ではなく、ドラえもんと交流したり色々な冒険を経て成長した後ののび太では?」という意見も存在する。
『グランブルーファンタジー』とのコラボイベント『ドラえもん のび太の空飛ぶ船』では、ラムレッダのおつまみ(ゴッド・アルバコアの干物)を食べた犯人を捜す為に使われており、異世界でも正常に機能する様子が描かれている。
関連道具
- 使いすてタイムテレビ
TC33巻「必中けん賞ハガキ」にて、ドラえもんがのび太を捕まえた人にあげるとポスターに書いていたひみつ道具。
使用回数や形状などは一切不明。
- きりかえ式タイムスコープ
小さな望遠鏡型のひみつ道具。下記の「コースチェッカー」の完全上位互換。
このスコープを覗くと、過去や未来の光景を見ることが出来る。また、音声も聞こえる。それだけでなく、過去を見る場合は当時の自分が現在とは違う選択をしていたらどのような結果になっていたかを、未来を見る場合は自分がどの選択をするかでその後の結果がどうなるかを確かめることが出来る。
更に、コースチェッカーとは違いこの道具で未来を見る場合、最低でも数時間以上先の未来を見ることが可能。また、派生作品を含めれば、学習漫画『ドラえもん ふしぎのサイエンス 3』では20年以上先の未来を見ている。
- 万能グラス
眼鏡型のひみつ道具。
これをかけると、あらゆる場所の光景を見ることが出来る。どれほど遠い場所だろうと壁に囲まれた部屋の中だろうと、見られない場所はない。
- コースチェッカー
杖型のひみつ道具。
道を歩いていて分かれ道や分岐点等に差し掛かった時、この杖を突き立てると、その道を進んだ結果どうなるかの予想が映像で表示される。ただし上記の「タイムテレビ」及び「きりかえ式タイムスコープ」とは違い、こちらは最大で15分先の未来までしか映し出すことが出来ない。
また、ドラえもん曰く「予想は絶対に当たる」とのことで、実際に作中ではのび太がこの道具で映し出された予想を回避しようとするも失敗してしまった。
- ○×うらない
『竜の騎士』に登場したひみつ道具。
○と×を模した道具で、何か質問をすると○か×で答えを出してくれる。的中率は100%。作中でドラえもんが「たった今、この地球上に恐竜は生き残っているか?」と質問しているように、この道具を使用すれば普通の証明はもちろん、悪魔の証明さえ簡単に出来てしまう。
ただし質問の仕方が悪かった場合、使用者の意図しない答えが返ってくることもある(上記のドラえもんの質問は「×」という答えが出ており、確かに地球上の恐竜は絶滅しているのだが、実際には地下=地球の中で生き残っていた)。
- タイム虫メガネ
『アニマル惑星』に登場したひみつ道具。
虫眼鏡型の道具で、このレンズで物を見ると、その物の過去及び未来の様子を確認することが出来る。
端末型のひみつ道具。
過去から未来の、宇宙のありとあらゆる情報が保存された「宇宙完全大百科」にアクセスすることが出来る。知りたい情報をマイクに入力すると、その情報を画面に映し出したり、紙に印刷することが出来る。
その気になればあらゆる時代の、あらゆる場所の出来事・情報を隅々まで調べることが出来る為、この道具は「タイムテレビ」の辞書版と言える。詳細は項目を参照。
余談
『小学四年生』1972年3月号に掲載された最終回「ドラえもんがいなくなっちゃう?」(日本テレビ版アニメにおける最終回の原作版)では、最後に登場したひみつ道具となっている。
※その後、急遽打ち切りが無かったことにされた為、そのまま戻ってきたことが『小学五年生』1973年4月号で明かされた。
同作者が描いた漫画作品『T・Pぼん』に登場するタイムボートにはビジプレートというタイムテレビに似たモニターが内蔵されている。こちらもタイムテレビ同様、通信機のテレビ画面(言わばテレビ電話)としても利用出来る。
同作者が描いた漫画作品『タイムマシンは絶対に…』でも似たアイテムが登場している。一人の科学者が貧乏暮らしの中、タイムマシンの一歩手前である「タイムトラベルテレビ」を開発し、友人にタイムテレビの秘密を打ち明けた。その後、科学者が友人と共にテレビを使用すると、妻と友人が不倫している様子が映し出されてしまった。