ひみつ道具としての解説
藤子・F・不二雄原作の漫画・アニメ作品『ドラえもん』に登場するひみつ道具の一つ。及び同作品のエピソードの一つ。TC15巻収録。
記憶や知力、体力等を保持したまま過去の時代(基本的には幼少期)に戻ることが出来るひみつ道具。ただし「タイムマシン」等のように過去へ移動しているのか、それとも「逆時計」等のように時間を巻き戻しているのかは、作中で説明されていない為不明。
また、のび太はこの道具を使用して自分が幼い頃に戻ったのだが、ドラえもんがのび太のもとに現れ、「もう気が済んだでしょ?そろそろ元の時代に戻ろう」と言っている。
その為、この道具は使用者だけでなく持ち主の記憶も保持することが分かる(ただし上記の通り、人生やりなおし機がどのような原理で使用者を過去へ戻しているかは説明されていない為、ドラえもんがどのような方法でのび太の所へ移動したのかは不明)。
エピソードとしての解説
ママはお客様の子供(4歳)ばかりを誉めて、自分を全然誉めてくれないと怒るのび太。能力が今のままで子供に戻りたいと言うのび太を見て、ドラえもんは「人生やりなおし機」を取り出し、のび太を4歳の頃に戻す。
のび太は周囲の大人達に自分が小学2年生並(偶然居合わせた天才教育委員会の人間がのび太の学力を調べた結果)の学力を持っていることを知らしめ、ママやおばあちゃんから褒められたことで気分を良くする。
のび太はこのまま新しい人生を歩もうと考えるが、そこにドラえもんが現れ、「このままだと元の人生より悪い結果になっちゃうよ」と警告する。のび太は「そんなはずない!僕はこのまま大人になる!」と言って聞かなかった為、ドラえもんは仕方なく「タイムテレビ」を取り出し、このまま新しい人生を歩んだ場合ののび太を映し出す。
映像内ののび太は小学校低学年までの間は持ち前の学力や体力でテストで100点を取ったり、運動も同年代の子供達よりこなしていたりと成功していた。しかし人生やりなおし機を使用する頃の時代(小学校中~高学年)になると、以前のようにテストで0点を取ったり運動が出来なかったりして叱られているのび太が映し出される。ドラえもん曰く「勉強習慣が付かなかったせいで勉強の仕方さえ分からなくなり、学年が上がると授業の内容がちんぷんかんぷん。今の君より酷いことになるのは当然」とのこと。
この結果を見て怖くなったのび太はすぐに元の時代へ戻ることにする。その後ドラえもんは「努力しなければ成功はあり得ない。そういうことがこの道具で理解出来たでしょ」と言い、のび太は一念発起して勉強することにする。ただしその理由はのび太曰く「勉強して発明するんだ。勉強しなくても頭が良くなる機械を」とのこと。ドラえもんはその様子を見て「どうもまだよく分かってないらしい」と苦笑いを浮かべるのだった。
余談
上記のエピソードは大山のぶ代版アニメ及び水田わさび版アニメにて映像化されている。前者は1979年と1994年、後者は2008年とほぼ15年周期で放送された。
後者はほぼ原作版通りの展開だが、前者の94年版では原作版では未登場だった現在のジャイアンとスネ夫が登場している。それだけでなく冒頭では、天才教育委員会の男性が現在ののび太が出会っており、男性はのび太に対して「どこかで会ったことがあるような」と違和感を抱いていた。
また、ドラえもんが「タイムテレビ」を取り出し、新しい人生を歩んだ場合ののび太を映し出したシーンでは、映像内で小学5年生に成長したのび太と天才教育委員会の男性が再会しており、男性はのび太に対して「かつて天才少年と言われていた君が、今はその面影もない」と失望していた。
やり直した所で成功しないどころか今以上に惨めな人生になるだけという教訓が強調されている。
大山版アニメオリジナルエピソード「人生やりなおし計画」にも同名のひみつ道具が登場する。エピソードについては項目を参照。
こちらの人生やりなおし機は、記憶や知力、体力を保持したままで使用者の肉体を過去の状態に戻すという点は上記の原作エピソードと同じだが、その後はタイムマシンで過去の時代に向かう必要があることから、実際には「タイムふろしき」に近い効果になっている。
『アメトーーク』で調査したところ、大人世代が欲しいひみつ道具で見事ベスト4位にランクインしていた。
また、『藤子・F・不二雄大全集第一期全巻予約特典~Fノート』には『「ドラえもん/人生やりなおし機」未使用原稿(『小学四年生』1977年4月号)』が存在する。
どうでもいい事だが、小学生が早くも人生をやり直そうとするとは、よく考えるとすごいエピソードである。