「悪魔の最も狡猾な所は、悪魔はいないとさせる事である」
ーーシャルル=ピエール・ボードレール(フランスの詩人・評論家)
概要
積極的事実の証明に対する消極的事実の証明の難解さを説いた比喩表現。
所有権帰属の証明の困難性を比喩的に表現した言葉でもある。
いわゆる全称命題立証の難解さ、及び検証と反証の非対称性を組み込んだ思考実験の一種。
一番わかりやすい説明を頼む
悪魔が実在するのかどうかは、今日でも様々な分野で議論が続いている問題であるが、理屈・理論の上では、悪魔の存在を証明するのは難しいことではない。
悪魔を実際に連れてくる、または悪魔実在の物的証拠を提示し、全ての人間に悪魔は実在すると信じさせればいいのだ。
が、これに対し、『悪魔が実在しないことの証明』となると、これは理論上でさえも困難な話になる。何故なら『悪魔が存在しない物的証拠』は直接的には存在しないためである。対象がそもそも実在しないのなら物的証拠が無いのも当然である。
ところが「悪魔は存在する」と主張する文書や証言などは大量に存在している。これらに対しては個別に『悪魔によるものではない』と証明することにより否定することは可能であるが、すべてを否定することは困難を伴う。
「我々が見つけていないだけで、今もどこかに悪魔が隠れ住んでいるのだ」という主張を誰も否定することはできない。否定したければ証拠たる『存在しないことの証明』をするしかないのだ。
つまり悪魔の証明とは、『何かが存在しないという証明は、何かが存在するという証明よりも難しい』という考え方を比喩を交えて表した概念なのである。
そんな説明で大丈夫か?
一般的にはこの理論は『そういうことを説いているだけ』のたとえ話に過ぎず、何らかの議論を解決させるための鍵として作られた訳ではない。
たとえ悪魔が存在しない証拠がないからといって、それが悪魔の実在を証明する証拠になる訳ではない。
この理論はあくまで比喩表現・ものの考え方の一つに過ぎないということを、ここに注役しておく。
また、「悪魔なんてそう簡単に連れてこれる訳でもないし、悪魔の存在を証明するのも困難なんじゃ?」という疑問もあるが、この理論は理屈の上での話であるし『ないことの証明』に重点を置いた言葉なので的外れである。
関連タグ
宇宙人:なおUFOは詳細が未確認な飛行物体と言う意味でしかない(たとえ既存の戦闘機でも所属国が未確認ならUFO)ので実在する(彼らがどこに居るのかは不明だが)。
うみねこのなく頃に:事件の犯人とされた『魔女』の有無に関する議論にて持ち出された。