概要
原作者の一人藤子・F・不二雄が『オバケのQ太郎』及び『新・オバケのQ太郎』の最終回からの後日談を描いた作品で、タイトルそのままに劇画調のタッチで描かれている。
舞台は物語から15年後。オバケ学校を卒業したQ太郎は父・X蔵のコネでオバケ銀行への就職が決まっていたが、面白い事はないかと再び人間界に降り立ったところ、ちょうどその頃脱サラをハカセから勧められ今後の将来を心配しながら家路を歩いていた大原正太(正ちゃん)と出会い、そのまま正太の新宅に招待される。
オバQはあの頃と同じく正太と遊んだりお腹いっぱいのご飯を食べたりしたかったが、だんだん自分と大人になって社会人となった正太との間に価値観のずれが生じている事を悟り、再びオバケの世界に帰ってしまうという非常に哀愁漂う作品となっている。
『オバケのQ太郎』が喜劇なら、これは「コミカルキャラがリアルにいたら」を仮定し、氏が本来得意とするひたすらリアリズムを追求した悲劇とも取れる。
正太の妻の台詞「ねえ、なんとかしてよ。毎食20杯でしょ、マンガならお笑いですむけど現実の問題となると深刻よ。」はまさにその最たる象徴といえるだろう。
このマンガはトリビアの泉でも紹介され91へぇを獲得、その放送回の金の脳を獲得した。ただし、かつてのメンバーとの同窓会や正太に子供が生まれ一児のパパになった描写の説明が省略されている。
本当の続編か否か
この劇画・オバQはオバケのQ太郎の正史としての続編なのかで議論される事が多いが、実は氏が大人向けを描く事を勧められた際に思いついた作品である。オバQ本編と設定が異なるキャラがいたり、劇画の中で登場した旗のエピソードは実際には本編にはないものである。
一言でいうならば原作者による二次創作もしくはパラレルといったものに近いと思われる。
これ以後、氏は過去に手がけた作品を題材にこの劇画・オバQのような哀愁で終わる作風のものを描く事はなかったが、これ以外で純粋に本編のその後といったオバQを描いた事もあるようだ。