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概要編集

藤子・F・不二雄ビッグコミックで発表されたSF短編漫画アニメ化もされている。


型の宇宙人が人型の家畜を飼っている星に漂着した、地球人の宇宙飛行士のお話。文化倫理観など人による価値観の違いと、人類に対する強烈な皮肉が込められた作品宮沢賢治の『注文の多い料理店』の対になる内容である(もしかしたらF先生のことだから美少女捕食シーンが描きたかったのかもしれないという可能性も存在)。

直接的なグロシーンは全くないが、設定的にはかなりグロいので繊細な人は注意。


この作品が発表されたのは1969年と、ドラえもん以前の作品であるにもかかわらず、50年以上たった今でも高い評価を受けている。


製作の経緯編集

当時、藤子・F・不二雄先生は『オバケのQ太郎』や『パーマン』といった大ヒット作が立て続けに終わり、続く『21エモン』や『ウメ星デンカ』も上記2作に匹敵するほどの大ヒット作とはならず、低迷期を迎えていた。折しも当時は劇画ブームの真っただ中かつ当時は団塊の世代が大学生・20代であり、かつての子供漫画の主要顧客層であった彼らが子供漫画から劇画へと移っていったため、子供漫画界自体が大きな読者離れに苦しんでいた時期であった。

週刊少年サンデー』の連載陣から外された時に『ビッグコミック』から執筆依頼が来た。当初、藤本は「子供向け漫画ばかり描いてきたから」と断ったが、当時の同誌編集長・小西湧之助の熱意ある説得に応じて引き受けた。

実際、仕上がった本作の原稿の感想を小西は「背筋に寒気が走るほど興奮した」「怖かった」と語っている。


あらすじ編集

宇宙飛行士の主人公は、「イノックス星」に不時着し、美少女ミノアと出会う。

ところがミノアは実は人型の食肉用家畜で、彼女らを飼育しているのは牛型の宇宙人だった。

ミノアに好意を抱いていた主人公は驚愕しつつも彼女を助けようと奔走するが、「おいしく食べられること」を誉れと考えている彼女とは話が噛み合わない。

そしていよいよミノアが祭りで食べられる日が近づく……。


登場人物編集

原作では名無し。アニメ版では小笠原事件が由来だろうか「立花」という苗字がついている。ビーフステーキが好物。

宇宙船で事故に遭い、たった一人生き残ってイノックス星に不時着。助けてくれたミノアに惚れ、ズン類に食べられる事になった彼女を助けようと奔走する。

原作版は21エモンの主人公(原作版・1981年映画版デザイン)に似ているが、アニメ版はスネ夫を少し丸くした様な顔つきをしている。

主人公を助け、彼と交流を持つ人型の美少女。

イノックス星の家畜「ウス」の中でも特に最高級とされる育ちで、本人もおいしく食べられる事を誇りに思っており、逃げるよう説得しつづける主人公とはまったく会話が噛み合わない。

おそらく名前の由来はクレタ島に栄えたミノア文明からだと思われる。


本作での設定編集

  • イノックス星を支配しているのは牛のような容姿の「ズン類」で、人間のように見える「ウス」を食用、愛玩用などの用途で飼育している。
  • 「ズン類」はおおむね理性的かつ文化的だが、宇宙船を飛ばす程の文明はまだない。一方で、「ウス」をおいしく食べるための「活け造り」の技術を発達させるなど、妙なところで高いテクノロジーを持つ。
  • 地球人と酷似した「ウス」は言葉も通じ感情もあり、服なども着ているが、自分達が食べられる存在である事に疑問を持っておらず、むしろおいしく食べられることを誇りと考え同族で競い合っている。特に大祭の時に食べられる「ミノタウロスの皿」に選ばれることはウスとしての最高の誉れであり、逆に等級が落ちてハムソーセージは食べられるだけまだマシだが、食べてすらもらえず肥料にしかならないことを死以上の屈辱と考えている。
  • 全てのウスが食べられるわけではない。おおまかに「食用種」、「愛玩種」、「労働種」の3つのタイプに分かれており、5月に「ウスの愛護週間」なるものがあり、「ウスを虐待した者には重い刑事罰が下る」など、ウスの権利もしっかり尊重されている。したがって、ズン類とウスの関係は総じてきわめて良好といえる。
    • 何なら「人間そっくりの知的生命体を食べる」という、ただ一点を除いては、ズン類は極めて倫理的かつ知的な種族であり、何だったら、彼らの社会も現実の人類の社会よりも遥かにマシに見える。
  • そう考えると、相手の立場を考えていないのは立花であることになる。
  • ちなみに元ネタになったギリシャ神話のミノタウロスは肉食の怪物とされている。ただし、こちらはズン類とは異なる生贄に捧げられた子供を買う凶暴な怪物である。

関連項目編集

藤子・F・不二雄 SF短編 SF(すこし・ふしぎ)


のび太の魔界大冒険:主要キャラが人肉料理にされかけるシーンがある。


マムルーク


最後ノ審判:「食べられる」事を誇りとする人物達が登場する。しかし「人間が動物の姿を持つ怪物を家畜として育てて食す」という背景と主人公の干渉により家畜が反乱を起こし、生きる為に逃げようとする」という展開は、本作品とはある意味逆である。


食糧人類:続編である「Re:」が本作と似た設定になっている。


100日後に死ぬタブー:オチが似ている。

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