概要
藤子・F・不二雄が1968年から1969年にかけて『週刊少年サンデー』に連載していたギャグマンガ。
藤子F作品の多くに共通する日常の中の非日常とは逆の非日常の中の日常が本作のテーマとなっており、外見も風俗習慣も全く異なる宇宙人の宿泊客や進歩した宇宙文明に触れて、すっかり変わった地球文明の様子なども描かれる。
基本的につづれ屋が舞台となるコメディーだが連載中、21エモンは3度、宇宙へ旅をする（1日だけの旅も含めれば5度）ことになり、物語は宇宙を巡る冒険ものへとシフトしたこともあった。
アニメ版ではテレビ版・81年の劇場版とも宇宙への夢とつづれ屋発展の夢を両立させる形で終わっている。
なお、ホテルではないがつづれ屋という店は現代の東京に呉服屋として実在する。
あらすじ
2018年の地球は宇宙人たちとの交流が進み、国際連合ならぬ星間連合にも加入、多くの惑星からの観光客がひっきりなしに訪れる一大観光惑星となっていた。
そんな中、トウキョウシティーに居を構えるホテル「つづれ屋」は、江戸幕府の成立とほぼ同時に旅館として開業して以来、初代当主の市右衛門、2代目仁右衛門、3代目参右衛門…と20代、四百数十年にわたって細々と続く老舗だが、今や訪れる客はサッパリで隣接する豪華なホテル・ギャラクシーやオリオンホテルなどに圧倒されていた。
そんな万年貧乏ホテルはエレベーターもエスカレーターも錆びつき、雨漏りも直せず、自動ドアすら付けられずに潰れる寸前。
現当主の20エモンはどうにか客を呼び込もうと必死になるが、その跡取り息子の21エモンはホテル経営に関心を持とうとせず、宇宙にあこがれパイロットになって冒険したいという夢を持っていた。
家業に専念して欲しい父親に叱咤されて21エモンはしぶしぶボーイとして働くが、コツコツとチップを貯め、いつかは自分のロケットを買いたいという夢をあたため続ける。
「つづれ屋」に居候する宇宙生物モンガーや、ボーイとして働かされている芋掘りロボットのゴンスケ、家政婦ロボのオナベといった強烈な個性を持った家人たち、さらには宇宙からのおかしな客が次々とホテルに押しかけて、21エモンと「つづれ屋」は毎日のように珍騒動に巻き込まれる。
登場キャラクター
キャストは「宇宙にいらっしゃい」/TVの順。特に記載がない場合はTVのみ
- つづれ屋21エモン（CV:井上和彦/佐々木望）
- モンガー（CV:杉山佳寿子/大谷育江）
- ゴンスケ（CV:肝付兼太/龍田直樹）
- パパ/つづれ屋20エモン（CV:二見忠男/中庸助）
- ママ（CV:栗葉子/松島みのり）
- オナベ（CV:丸山裕子/肝付兼太）
- ルナ（CV:潘恵子/冬馬由美）
- ルナのパパ（CV:塩見竜介/上田敏也）
- カメキチ（CV:はせさん治）…※「宇宙にいらっしゃい」のみの登場
- リゲル（CV:真柴摩利）…※カメキチに相当するTV版オリジナルキャラクター
- スカンレー（CV:飯塚昭三/玄田哲章）
- ホシノ・ハルカ（CV:江森浩子）…※TV版オリジナルキャラクター
- ファナ（CV:久川綾）…※「宇宙いけ! 裸足のプリンセス」に登場
- 22エモン（CV:佐々木望）
- ウキキの木
アニメ
1981年8月1日に東宝系の映画館で公開された映画『21エモン 宇宙へいらっしゃい！』で初のアニメ化を果たす。
その後、10年の時を経て、テレビアニメ版が1991年5月2日から1992年3月26日にかけて、木曜19時台後半の時間帯において全39話がテレビ朝日系列局（ただし一部系列局は放送日時差し替え）で放送され、1992年3月7日にはテレビアニメ版の2年後(第38話と第39話の間)を描いた映画『21エモン 宇宙いけ! 裸足のプリンセス』も上映された。
テレビアニメ版は2051年が舞台となっており、キャラデザインが原作や81年版とやや異なり、オリジナルキャラクターも増えた。
第27話までは基本的には地球を舞台とした話だったが第28話からはエモンとモンガーとゴンスケの3人が宇宙船で宇宙を旅する宇宙編を展開。第38話が事実上の最終回であり、第39話は大人になった21エモンがルナと結婚し、息子の22エモンに説明する形で総集編が展開され、21エモンはルナと共に宇宙船でもある宇宙ホテルで活動している。
本作が現時点で長年続いたテレビ朝日とシンエイ動画の製作するドラえもん以外の藤子アニメ最後の新作テレビアニメでもある。
というのも本作の後も藤子アニメを制作する計画があり、バケルくんと過去にアニメ化済みのウメ星デンカが候補に挙がっていたが、諸事情により、後継作品として、藤子アニメではなく、クレヨンしんちゃんを製作することになったためであり、チーフディレクターの原恵一を始めとする製作陣の多くも本作からスライドする形になる(「諸事情」の詳細はクレヨンしんちゃんの記事を参照)
主題歌
オープニングテーマ
『おーい!車屋さん』
歌：忍者
エンディングテーマ
『21世紀の恋人』（1話-12話）
歌：谷村有美
『ベートーベンだねRock'n'Roll』（13話-最終話）
歌：テンテン
各話リスト
| 話数 | サブタイトル |
|---|---|
| 第1話 | 僕ドラえもん僕の友達 エモン君の宇宙大冒険! |
| 第2話 | トウキョウシティ!21代目エモンvsモンガー? |
| 第3話 | あっと驚くゴンスケ!不思議な客タイロック? |
| 第4話 | 星雲間亜光速ロケット!ミリオネヤ星人の秘密 |
| 第5話 | ハッピーレポート!超人スカンレーの伝説秘話 |
| 第6話 | ハッピー昭和村?ワントナック公爵はレトロ好き |
| 第7話 | フラッシュポイント!!コイケラス星人怒りの攻撃 |
| 第8話 | 不思議ズタ袋?ハッピー商事の陰謀！ |
| 第9話 | アルバイトで200万!スペーススーツ獲得大作戦 |
| 第10話 | 危機一髪!!火災地獄から脱出 謎の暗黒へワープ |
| 第11話 | 大気圏離脱もう戻れない!!エモン未知の世界へ? |
| 第12話 | マジカルプラネット!!観光用ロボットの反乱? |
| 第13話 | オーチンが消えた!まるごとサスペンスパニック |
| 第14話 | ワクワク冒険大活劇?東京ベイブリッジ物語!! |
| 第15話 | お江戸5エモンモーニング?謎のジュゲム星人!! |
| 第16話 | だるまさんがころんだ?ゴリダルマの五ツ星 |
| 第17話 | ウッキッキー?ウキキの木のチャネリング!! |
| 第18話 | ウハウハ3億円!おぼっちゃまの忘れ物 |
| 第19話 | 誘惑ワンダーランド?ホンキートンクホッパー!! |
| 第20話 | 奇人変人悪人か!不思議宇宙船から奇跡の生還? |
| 第21話 | 木星異常接近!!衝撃度99%のソーラーヨット? |
| 第22話 | ガニメデ到着!出逢いはすてきな恋の始まりか？ |
| 第23話 | 地球消滅!超人エモン異次元ポケットに迷う? |
| 第24話 | 突然変異か!新能力か!モコラの世にも奇妙瞬間 |
| 第25話 | スーパー超能力!レストアロボのどっきり恩返し |
| 第26話 | 謎のサルガッソー!ロマンチックサルベージ? |
| 第27話 | 魔物伝説!マグネットパワーで正体をあばけ |
| 第28話 | マルチ星雲ツインツイン?パパたちの少年時代 |
| 第29話 | 無限トランクで大変身!!マジカルパワーモンガー |
| 第30話 | キャプテンは俺だ!冷暖星・超空間ゴースト戦 |
| 第31話 | 目玉と口が散歩する?エモン・ゼロ次元の恐怖! |
| 第32話 | モンガー大解剖!不思議工場の発明実験室 |
| 第33話 | 7627番目の客 幸福の星はパッピーだらけ |
| 第34話 | 太陽が復活する モアモア伝説モンガーの予言 |
| 第35話 | 決闘ナイナイ星!エモン親の仇と狙われる!! |
| 第36話 | 惑星爆破!エモン絶体絶命!!クエ星人の敵討ち |
| 第37話 | エモンの遭難!シード星50億人の地球侵略!! |
| 第38話 | 異星人の宇宙センター 移動惑星が地球を救う!! |
| 第39話 | 大冒険秘録!!誘われてセンチュリーボーイ? |
他作品との関連
モジャ公
21エモンの続きを描きたいという作者の希望から開始した作品。
地球人の少年、一頭身の宇宙人、ロボットの主役三人組が宇宙を冒険する点が共通している。
21エモンのアニメ終盤のエピソードはモジャ公からの流用である。また、モジャ公のアニメ版ではゴンスケが宇宙船のコンピューターの擬似人格として登場。
ウメ星デンカ
デンカの家臣ベニショーガがお手伝いロボットとしてゴンスケ（本作での正式名称は「スーパーゴンスケS」）を購入する。
エスパー魔美
第46話につづれ屋と十八エモン（後述）が登場する。
ドラえもん
「オンボロ旅館をたて直せ」（てんとう虫コミックス32巻収録）というエピソードで、十八えもん時代の20世紀のつづれ屋が登場。家出したのび太が成り行きで泊まる事になる。
シャワーを浴びようとすれば水が出ない、食事は近くのラーメン屋からの出前（電話も止められているので支配人が直接店へ行って注文する）という苦しい経営状態だった。
ドラえもんの協力でなんとか経営を立て直し、家出していた息子の十九エモンも客を引き寄せるカムカムキャットの効果でホテルに戻ってきた。
アニメ版21エモン放送前の番宣ではドラえもんが21エモンを紹介し、第一話にも少しだけドラえもんが登場。
他にもドラえもんのTVSP版や劇場版にエキストラ役としてエモンらが登場し、特に新ドラのSP・劇場版では高確率でゴンスケが登場する。
スネ夫の部屋の本棚に、41エモンなるマンガが4冊並んでいた。
ドラベース
1巻で登場する江戸川モンガースの選手が、全員21エモンのキャラをモデルに作られている。
ミノタウロスの皿
漫画版の主人公のキャラデザインが漫画版の21エモンそっくりで、ファンの間では大人になって宇宙パイロットの道に進んだ21エモン本人なのではないかと考察もある。なお、藤子・F・不二雄ミュージアムのチラシにて藤子・F・不二雄作品のキャラが集まって食事をしているイラストがあるが、そこで21エモンはステーキを頬張っている。
外部リンク
関連項目
どろろ：同時期にサンデーで連載されていた師匠の漫画。過去と近未来で大局的な舞台設定だが人間離れしたキャラがわんさか出てくるということでコラボした2ページ漫画が掲載されたこともある。
