概要
学名はSomniosus microcephalus、英名はGreenland shark。
日本近海には生息していない。大西洋の温帯から寒帯の海域、表層から深海にかけて生息。
2022年には中米ベリーズ沖のカリブ海でニシオンデンザメまたはニシオンデンザメとオンデンザメの雑種と見られる個体が捕獲され、これに関してフロリダ国際大学は世界の熱帯域の深海にニシオンデンザメが生息している可能性を指摘している。
近縁種にオンデンザメ、カエルザメ、ミナミオンデンザメ、リトルスリーパーシャークがいる。
全長は少なくとも640cmまで成長することが知られており、最大756cmまで成長するのではないかと見積もられている。
サメの中ではジンベエザメ、ウバザメに次いで3番目に大きいと言われることもある。
(3番目の候補としては740cmの個体が記録されたといわれているイタチザメ、820cmまで成長する可能性が考えられているメガマウスも挙げられる。)
生態
基本的に深海性だが、高緯度地域にいけばいくほど浅瀬に現れる特徴を持つ。目にはオマトコイタなどの寄生性カイアシ類が付いてることが多く、視力はあまりよくない。
泳ぎも遅く、最高速度は時速2km程度と言われ、世界一のろまな魚という不名誉な烙印を押されている。ただし、獲物を捕らえる時は突然俊敏な動きをすることもある。
非常に貪欲な肉食性で、サケ等の硬骨魚類、同種を含めた軟骨魚類、アザラシやイルカといった海性哺乳類など何でも食べ、胃の中からトナカイ、ヘラジカ、ホッキョクグマ、果ては人の遺体が出てきたという話もある。ただし、動作が非常に鈍く、積極的に獲物を追うことはできない。カレイやメバル等を吸引するよう捕食すると言われており、アザラシや人を含む大型動物については漂流していた死体を口に入れたとみられる。
人の泳げない低温海水域に分布しているので、直接人間に危害を加えることは無い。
寿命
近年、同じくグリーンランド周辺に生息するホッキョククジラを抜いて脊椎動物最長の寿命を持つことが判った。
現在判明している最高年齢は512歳で、これは室町時代に産まれた個体が現在になってもまだ生きていたということになるのだからとんでもなく長生きである。
ただ、これに伴い成熟年齢も150歳と、サメの仲間で言えばジンベエザメの寿命約150歳よりも長く、保護の観点から重大な懸念になっている。
食用として
イヌイットは本種を重要な食料としており、ハカールの材料として使う。
イヌイットはこのサメを木の板で釣り上げるという話もある。
ただし、ニシオンデンザメには微弱な毒があり、処理をしないと手先が痺れる等の症状が現れる。毒自体は火を通すと無くなる。
見分け方
全体的にずんぐりした形で鰭もあまり大きくない。
大きなサメなので見間違えることはあまりないが、近縁のオンデンザメとは大きさも見た目もそっくりである。
見分け方は、頭の先から第一鰓孔までの長さと第一背鰭と第二背鰭の間の長さである。ニシオンデンザメはそれら二つの長さが等しいことが特徴。