概要
クジラ目イッカク科のハクジラの1種。北極海やベーリング海、オホーツク海等の寒冷な海に棲息する。淡水にも適応性があるので、夏季は川や湖に入ってくつろぐこともある。日本でも稀に発見されることがあり、網走市の能取湖に漂着した個体が住み着いていた事例も報告されている。
別名ベルーガ。ロシア語で「白い者」を意味する。名前の通り全身が白い(ただし生まれたての子供は灰色っぽい)。柔軟な頸、弾力のある膨らんだ額、歯の無い嘴が特徴。小魚やエビ等を吸い込むようにして食べる。
天敵はシャチ、サメ、セイウチ、ホッキョクグマ。捕食者に対して無防備であり、ホッキョクグマ等の攻撃によってつけられた傷を持つ個体も少なくない。
温厚で社会的な動物であり、多彩な鳴き声で仲間と意思疎通する事で知られ、その澄んだ鳴き声から「海のカナリア」と呼ばれることも。
また、「腹錐体」という珍しい筋肉を持ち、お腹の脂肪が流線形に浮かび上がる様が人の足のように見えることから、船乗りから人魚に見間違えられたという。
通常のイルカよりやや怖がりで慎重だが、野生であっても良くヒトに馴れ、水族館の人気者。
一方で、海洋汚染や捕鯨により近年個体数が激減している。絶滅間近の個体群も。