演:生井亜実
CV:佐藤聡美(memory_of_heroez、仮面ライダースカルの肖像)
概要
物語で重要な位置を占める園咲家の長女。年齢30歳(第45話での描写から)。
タブー・ドーパント、Rナスカ・ドーパントに変身し、仮面ライダーダブルとは幾度となく対決する。
人物
ディガル・コーポレーションの若き女社長。
表向きはIT企業であるが、実は秘密結社ミュージアムの傘下にあり、園咲冴子はその幹部である。
ガイアメモリの製造販売を担っており、物語の舞台・風都に数々の事件を引き起こす一端となっていた。
非常にプライドが高く、あくまで自身の目的に徹しており、不要とあらばたとえ夫であろうと冷酷に切り捨てる人物。
家族関係も良好とは言えず、実は彼女の真の目的はそんな園咲家や父である琉兵衛を自ら倒し、自らがその当主となることで父や妹を超えることだった。
だが園咲家の一員であること自体には強い誇りを持っており、それは最後まで貫き通した。
また、劇中で初めて園咲来人の名を呼んだ人物でもある。
人間関係と経歴
幼少期から父・園咲琉兵衛よりスパルタ教育を受けており、一方で本当は父が自分ではなく妹の若菜を目にかけていることを内心では見抜いていて、ずっと父と妹にコンプレックスと憎しみを抱えて生きてきた。
にもかかわらず妹の若菜は自分とは違いアイドル活動を行うなど比較的奔放に育てられた事にも苛立ちを隠せない。若菜もまた自身に冷たくあたる冴子を嫌っており、姉妹は不仲である。
序盤ではディガル・コーポレーションのセールスマンであった園咲霧彦を見初めて結婚するが、冴子からはいい印象を抱かれていたとはいえず、失態を犯した彼に対してDVを行っていたと思わしき描写がある。
その後、ミュージアムの実験台として踊らされていたことを知った霧彦は、園咲家を離反。一緒に逃げようと冴子を誘うが、それを承知だった冴子は霧彦を抹殺。
その後、井坂深紅郎と出会ったことが最大の転機となって、彼女の人生の歯車は少しずつ狂い始める。
ドーパントとしての強さにとことん貪欲な井坂との逢瀬を重ねるうち、「琉兵衛を倒す」という自身の真の目的を見抜かれ、それまでの男達とは違う力を彼に感じた冴子は、それまで父を絶対的な存在だと思っていた認識を揺るがされたこともあって次第に彼に惹かれていく。
だが、琉兵衛を倒してミュージアムを乗っ取るという野望を達成する前に、井坂は因縁の相手である照井竜のアクセルトライアルに敗れた。
井坂とともにクーデターをもくろんだ冴子は、当然ながら園咲家から勘当され、追われる立場となる。
その後、ミュージアムに追われていた冴子は財団Xのエージェントである加頭順に匿われる。
その中で彼からの告白を受けるが、その軽佻浮薄でどこまでも自分本位なやり方で彼女を自分の物として操ろうとする態度を、冴子は「園咲をなめている」と切り捨て、拒絶する。そして園咲の誇りを守るために憎んでいたはずの妹を助けるべく彼に反旗を翻すが、戦いの末ユートピア・ドーパントの手にかかり、冴子の生涯は幕を閉じた。
皮肉にも、憎み続けていた若菜を守るかたちとなって。
ドーパント態
詳細は当該項目を参照。
タブー・ドーパント
身長:200cm 体重:72kg
冴子が、園咲家の長女として所持するタブーメモリで変身した姿。
下半身は芋虫状で、空中浮遊により移動する。
当初は、ガイアドライバーを使ってガイアメモリの"毒"を濾過していたが、井坂と出会った後は"直挿し"で、その能力をフルに引き出した。
Rナスカ・ドーパント
身長:198cm 体重:92kg
霧彦の死後、ディガル・コーポレーションに隠されていたナスカメモリを冴子が盗み出し、変身した姿。
霧彦の行わなかった"直挿し"と、相性の良さから、元のナスカ・ドーパントよりもさらにパワーアップした「レベル3」での最速行動を可能にした。しかしこの力すらも硫兵衛にとってはあくまで若菜を焚きつける為の当て馬でしかなかった。
彼女の才能
上記の通り彼女は地球に選ばれた家族として園咲家に誇りを抱いており、そのための自身の能力にも高いプライドを持っている。
実際に彼女はゴールドメモリに適性があるのは当たり前として、適性の低い人間ならばドライバーを使っても毒素に蝕まれてやがて死に至るゴールドメモリの一本のナスカメモリを直挿しで使用して適合するばかりか、最高値のレベル3の力を引き出し完全にコントロールするなど非常に高い適性と素質を見せている。
しかしそれでも地球の記憶の全てを体に降ろし自由に操れるほどの素質を持った妹の若菜や地球の記憶と一体化してその情報を引き出せるようになったり、精神干渉波能力のガイアメモリに対して耐性を持っていた弟ほどの人外じみた素質を持っていたわけではないので、あくまでも園咲家の基準で見るならばやはり素質も適性も低い。(若菜も井坂にドライバーを改造されて直挿し同然の状態にされてもすぐにクレイドールの力に適合したため、この程度は園咲の人間なら当たり前なのかもしれない)
他にも若菜は新たな当主となってすぐにミュージアムを立て直し、経営が難航していたディガル・コーポレーションを持ち直すなど経営者や組織のトップとしての素質も実際に琉兵衛の見立て通り冴子より上だったようである。
皮肉なことに彼女自身も実は素質が低く園咲にふさわしくないとして自ら切り捨てた夫と変わらない立場だったのである。
自らの家やその使命や自身の能力に高いプライドを持ちながらも、それでも家や父親が必要とするほどの才能は持ってはいなかった。さらに妹がそれを満たすほどの絶大な才能を持っている事実を見せられ続け、父親からもあくまで妹のための当て馬やつなぎとしてしか見られていなかった事実を思い知らされた。
しかしそれでも自身の園咲としての誇りやプライドを最後まで捨てきれなかったことが彼女を歪ませ、彼女の歯車を決定的に狂わせたが、同時に彼女の終盤での最後の行動にも繋がったのだと思われる。
風都探偵
『W』の続編となる長編漫画『風都探偵』では、ビギンズナイトを描いた第6巻「sの肖像」に登場。
映画『ビギンズナイト』で描かれなかったシーンや、冴子の心情が描かれている。
更に「sの肖像」をアニメ化した『仮面ライダースカルの肖像』では、漫画版『風都探偵』にもなかったオリジナルシーンも追加。
その中で、冴子を崇拝する部下・大嶋凪という男も登場する。
冴子の男(作中のネタバレあり!)
作中で何人もの男が冴子に惹かれては最終的に儚く散って行ったそのジンクスをして、ファンの間では冴子に惹かれた男のことを「冴子の男」と称している。
園咲霧彦/ナスカ・ドーパント
冴子の配偶者で『仮面ライダーW』序盤にて、二人の結婚式が描かれている。
霧彦はディガル・コーポレーションのセールスマンであったが、ガイアメモリ販売において過去最高の成績を上げたことで冴子に見初められ、社内結婚に至った。以後は重役ポストについている。
夫婦生活はあまり描かれていないが、社内での関係や二人の性格から、冴子のかかあ天下が予想される。
その後、ミュージアムの実験台として踊らされていたことを知った霧彦は、園咲家を離反。
その"後始末"を務めたのは、冴子だった。
井坂深紅郎/ウェザー・ドーパント
ドーパント専門の闇医者であり、ドーパント研究にのめりこむ狂気のマッドサイエンティスト。当初は冴子も「突然変異の化け物」と呼び危険視していたが、本性を見抜かれた事で次第に惹かれていく。
一方で井坂も井坂でやはり琉兵衛を倒し、その力を手に入れることを目論んでいたのでタブー・ドーパント(冴子ではない)に興味を見せ、日曜朝8時とは思えない映像をお茶の間に垂れ流すことになる。
最後の戦いで、井坂自身はタブー・ドーパントではなく冴子自身に興味を持ちかけていることを漏らしていたが、最終的に井坂は戦いに敗れメモリの後遺症により死亡。
冴子に暗い影を落とすこととなった。
加頭順/ユートピア・ドーパント
財団Xのエージェントでミュージアムのスポンサーとして園咲家と関わっていた重要人物だが、その存在は冴子には知らされていなかった。(このあたりからもあくまで冴子は若菜を当主にするまでの"つなぎ"にすぎなかったことが分かる)
失脚しミュージアムに追われていた冴子を、財団Xの力でかくまう。
無表情で感情の読めない人物ではあるが、冴子に向けた異常な愛情は本物であると自称している。
だが、その軽佻浮薄でどこまでも自分本位なやり方で彼女を自分の物として操ろうとする態度を、冴子は拒絶し反旗を翻すが最終的に彼の手によってその命を終えることとなった。
手にかけた加頭自身も最終的にはダブルによって倒されてしまった。
大嶋凪/オーシャン・ドーパント
『仮面ライダースカルの肖像』に登場した冴子の側近。
普段は「冴子様」と呼んでいるが、彼女からは「局長」と呼ぶよう度々注意されている。
両耳に冴子からプレゼントされたピアスを常に付けている通り冴子に対する忠誠心は非常に高く、事あるごとに「冴子様」と口にしている辺りから狂信的とも取れる描写がある。
ミュージアムの研究施設から脱出しようとするダブルを襲撃し、オーシャンの力で彼らを追い詰めるが敗北し爆散。
その後、海岸から彼の付けていたピアスが見つかるが冴子に冷たくあしらわれるとあっさりと捨てられてしまう。
作品の登場順では4番目だが、時系列的には霧彦よりも前にいた「冴子の男」である。
物語の中で、結果として4人の男の人生を狂わせるだけでなく、自らの人生も狂ってしまった、天性の悪女といえよう。
ちなみに作中序盤では、若菜が霧彦のことを「お姉様と付き合っていて生きていられた男性ってだけでとても貴重」と発言しており、ここに記載した以外にも似たような末路を辿った人物が複数存在した可能性がある。
(なお冴子はこの発言に対して「妖怪みたいに言わないで」と発言したのみで、否定していない。)
余談
演者の生井亜実女史は、「ストレートで不器用な性質からきっと、ガイアメモリを広めることを良かれと思ってやっていた」「霧彦さんみたいな人は苦手だったんじゃないでしょうかね。愛情を求める方だから、求められてもどう接していいのかわからない、みたいな。」と、自分が演じた登場人物であるからこそある意味客観的に見ている。