「憎しみが足りない…もっと復讐の炎を燃やすのよ!」
概要
照井竜に仮面ライダーアクセルの装備を与えた謎の女。
その後も秘密結社「ミュージアム」への対抗勢力として、左翔太郎、フィリップ、照井の前に度々現れ、助言を与える。
人物
常に黒いロングコートを着込んでいる上に、全身を包帯、帽子、サングラス、手袋で覆っており、素顔を確認することはできない。
長い髪と体つき、声から成人女性とわかるが、それ以外は謎に包まれている。『スカル』ではショートヘアーであり、黒いアクティブなスーツを着ているという違いがある。
自身は仮面ライダー及びドーパントに変身しないが、Wのトリガーマグナムおよびスカルのスカルマグナムと同型の大型拳銃「シュラウドマグナム」とボムメモリを使って戦うことがある。
生身ゆえに守勢に回ると脆いが、シュラウドマグナムとそれにボムメモリを装填してのマキシマムドライブを組み合わせたトリッキーな戦い方で、一度はアクセルを変身解除に追い込んだこともある。
「強さは憎しみから生まれる」という考えを持ち、ウェザー・ドーパントに家族を殺された照井の復讐心を煽り、戦士として強化しようとした。
だが照井の戦う動機が憎しみから「他人を守ろうとする意志」に変化すると、失望を露にしていた。
最終目的は、ミュージアムの支配者である園咲琉兵衛/テラー・ドーパントの打倒である。そのためにフィリップと照井の二人を使い、彼女が究極のWと考えるサイクロンアクセルエクストリームを生み出す計画を練っていた。
恐怖を操るテラー・ドーパントに対し、フィリップと同様に精神干渉波攻撃に先天的な耐性を持つ照井が最善の人材だからである。
だが照井は思い通りに動かず、フィリップにはダブルのコンビを解消するよう迫ったが、翔太郎との絆を引き裂くことはできなかった。
その正体
本名は園咲文音(そのざき ふみね)。
元々はミュージアムの研究員であり、当時は次世代型のガイアメモリやそれを使う新型ドライバーの研究を行っており、さらに次世代型より先のガイアメモリの構想もこの頃から練っていた。
しかし最愛の息子・来人をミュージアムの道具として利用し、それに異を唱えた自分にもテラーメモリの力をぶつけ、ぼろ雑巾のように痛めつけて捨てた琉兵衛を許すことができず、上記の次世代型メモリやドライバーの研究データと共に園咲家を離反して失踪。復讐のために、ありとあらゆる策を講じていく。
全身を布で覆い「シュラウド」と名乗ったのは、素性とテラーの力でつけられた傷を覆い隠す以上に「園咲文音は死んだ」という意識がそうさせたのかもしれない。
また、おやっさんこと鳴海荘吉の幼馴染であり、荘吉が園咲家のお膝元である風都に探偵事務所を構えてからは、ガイアメモリ絡みの事件とぶつかることの多い彼と裏で協力体制を築いており、
などのツールは全てシュラウドが製作し、荘吉に提供したものである(メモリだけは当初受け取りを拒否されていたが)。
また風都探偵にてビギンズナイトで荘吉と翔太郎が所持していたダブルドライバーと6本のメモリもシュラウドが開発し、渋る荘吉に強引に押しつけたものであり、ビギンズナイトのあの日、事務所に置き去りにされたアタッシュケースを翔太郎が荘吉の元に持っていくように誘導したのも彼女であることが判明した。
『風都探偵』では『sの肖像』にて登場。W本編に近い容姿で現れ、携帯で少年時代の翔太郎がドーパントに襲われている旨を伝えた。
また『異端児d』でのフィリップ曰く、「(地球の本棚を持つ自分でさえ)機械工学に関しては自分の才能はダブルドライバーを創り出した母さんの半分にも満たない」とのことであり、ミュージアム出奔後、単身で前述のアイテムを全て創り上げたことからもその技術力の高さがうかがえる。
運命を仕組んだ女
『仮面ライダーW』のプロローグであり、フィリップと翔太郎が出会うきっかけとなった『ビギンズナイト』で鳴海荘吉に「運命の子を救出して欲しい」という依頼を出した人物でもある。
小説『Zを継ぐ者』ではダブルドライバーは荘吉に使わせる予定だったのではとフィリップが推測しており、実際に『風都探偵』でそれが事実であり、シュラウドはフィリップの救出およびフィリップと荘吉でWを組ませるつもりで依頼を出したことが判明している(実際にダブルドライバーとメモリが入ったケースはフィリップか荘吉でなければ開けられないようになっていた)。
しかしその事件で荘吉は殉職してしまった(実は翔太郎の行動と荘吉の周囲への態度に遠因があるのだが、これは当人たち以外は知らない情報であり、シュラウドも恐らく把握していない)。
当初は翔太郎へは一貫して低い評価を下し続け、頑なにダブルの変身者と認めようとはしなかったが、これは翔太郎が荘吉や照井とは違って精神干渉波への耐性も持っておらず、自分が目指す究極のWを作れないイレギュラーな変身者だったからである。
また、テラー・ドーパントへの闘争心を燃やしテラーの恐怖の力もその精神異常性から通用しなかった(どころかテラーの力に「感動」していた)井坂深紅郎に目をつけてウェザーメモリを渡し、彼をウェザー・ドーパントに仕立てたのもシュラウドであった。
井坂に琉兵衛を倒させるのが当初の思惑だったが、井坂が暴走し、殺人鬼と成り果ててから、そのことには内心ではずっと後悔を抱えており、照井の家族の墓には人知れず花を供えていた。
だが、全ての行動原理が息子への想いにあることを照井に指摘されると謝罪。そのことをきっかけに復讐から手を引き、またテラーと同じく精神干渉波能力を持つオールド・ドーパントの力に苦しみながらも戦いを諦めず、フィリップとの絆も失わずに最終的にはオールドを倒してみせた翔太郎のことも遂にフィリップの相棒として認めて、彼女なりの信頼を寄せるようになる。
そして翔太郎がテラーの恐怖に負け、連れ去られたフィリップと共に園咲家の最後の晩餐に参加。園咲姉妹がドーパントに変身して争う中1人席を立ち、「私はとうに負けを認めている」と宣言。フィリップにも「お前の家族はもう園咲ではない。左翔太郎よ。忘れないで、切り札は左翔太郎」というヒントと激励を送り、ダブルがテラーに逆転勝利するきっかけを作った(もっとも、それ以前から彼女なりに翔太郎の意思を尊重してはいた事も『風都探偵』第123話にて明かされている)。
その後、テラーとの決戦を終え、フィリップがあと一度変身すると消滅する事実を知って自分に会いにきた翔太郎と会話。荘吉にビギンズナイトの依頼を出したのは自分であることを明かし、「あの子を安心して消えられるようにしてあげてほしい」と最後の依頼を出し、姿を消した。
しかし、過去にテラーメモリの力を受けた影響か(テラー・ドーパントのテラーフィールドに触れた者は場合によっては衰弱死することがあるため)元々その命は尽きかけていたらしく(作中の描写を見る限り、そもそも最初から本当に幽霊かそれに近い精神体のような存在だった可能性もある)、最終回にて自分に会いにきた若菜に看取られて静かに息を引き取った。
その後は地球の記憶と一体化して琉兵衛・冴子・若菜と再会し、地球の巫女となった若菜の体で復元されたエクストリームメモリ内のガイアスペースでフィリップの前に彼らと共に現れ、自分たちの元に来ようとするフィリップを「来人……来てはだめ」と制止し、かつ息子を激励し彼を家族と共に送り出した。
究極のWの構想について
上記の通り彼女はサイクロンアクセルエクストリームを構想していたが、仮に実現していた場合テラー・ドーパント戦どころかその前に『AtoZ 運命のガイアメモリ』のエターナル戦で敗れていた可能性が高い。
エターナル、テラーを討ち倒しユートピアまでも破ることができたのは、精神干渉波への耐性を持つフィリップと適合者の感情に呼応して強化されるジョーカーメモリの適合者である、強い思いを持つ翔太郎が変身したサイクロンジョーカーエクストリームだからこそだと言える(エターナルは上記の特性を持つジョーカーメモリを取り込んだエクストリームメモリがWを応援する風都の人々の思いを乗せた風を取り込み、ジョーカーメモリの特性でフィリップ達と人々の思いが最大限までブーストされたことで誕生したゴールドエクストリームという最強の切り札の前に敗れ、ユートピアは翔太郎のみならずフィリップの「最後の想い」がジョーカーメモリの特性で増幅された結果感情や希望を吸い込みきれずショートしてしまった。)
この点に関しては、『風都探偵』にて万灯雪侍も同様の見解を示していた。
その他の作品では
ディレクターズカット版のエンディング後のラストシーンに登場。
包帯を巻き直す様子が妙にホラーチックに描かれているが、詳細は不明。
この時のシュラウドは上述のオールド・ドーパントの事件を経て翔太郎を認めた後であることなどから、一部ではロストドライバーを翔太郎に託したスカルの正体なのではないかと考察する意見もある。
物語の中盤に登場。窮地に陥ったフィリップにロストドライバーを渡し、戦闘不能になったファングとエクストリームの修理を請け負った。その際にフィリップからWのあり方を伝えられるもそれを一蹴し、その場を去った。また、先の戦いで海中に放置されていたハードボイルダーも彼女が回収した模様。
- ネット版仮面ライダーW FOREVER AtoZで爆笑26連発
「シュラウドの私が仮面ライダーアカデミーを開いたら…」というシリーズで「仮面ライダーアカデミー」なる教室の教師役を務め、亜樹子に仮面ライダーにまつわる「緊急抜き打ちテスト」を実施するという内容。
トライアルメモリの特殊効果音に触れていたりと意外とマニアックなネタが多く(「Sの選択/名探偵のオススメ」ではスカルがソフト帽の次に好きな帽子は?という視聴者がわかるわけのない問題まである)、シュラウドの言動もどこかコミカルである。もしかしたらこっちの方が素に近い性格なのかも…?
…そして最後は当時最新だった仮面ライダーの授業を行った際、亜樹子に逆に緊急抜き打ちテストを出され、「仮面ライダーオーズの新情報を教えろ」という当時の誰も知る訳のない問題を出され、影から亜樹子とデンデンセンサーを奪い合いながらオーズを分析しようと試みるも、オーズはどっかに行ってしまい、亜樹子に"0点"を言い渡されてしまう。そして彼女は「仮面ライダーを探求する旅」に出ると言い出し、「ディケイドじゃないんだから」と苦笑いする亜樹子を強引に引っ張って何処かに行ってしまった。
中の人について
声を演じた幸田女史は『獣拳戦隊ゲキレンジャー』にて海の拳魔ラゲクの声を演じており、そのスーツアクターも同じく小野氏が担当している。
更に10年後の『魔進戦隊キラメイジャー』でもヌマージョと言う、これまた主要人物の運命を狂わせる敵の女幹部役を演じている。
元々声優での吹き替えの為か、TVアニメ『風都探偵』の劇場版『仮面ライダースカルの肖像』でも幸田女史が同役で続投している。
余談
- 「シュラウド(shroud)」とは「覆い」や「経帷子(いわゆる死に装束)」を意味する言葉であるが、バイクや自動車の世界ではラジエーターに走行風を導く、つまり「風を送り込む」部品のことを指す。
スレなどでの扱い
上述した最期を迎えているのだが、その場所が屋外だったのと服装が服装だったので「死因は熱中症?」と当時から言われていたりもする(ただし、テラーメモリの能力を踏まえるとおそらく上記で述べた通りである可能性が有力)。
また本人としては真摯に旦那を止める方法を模索していたのだが、それがWの組み合わせに拘るというものであり、「翔太郎は解釈違い」とも受け取れる言動をしていた為にいつしか「照フィリ過激派おばさん」といった具合にカプ厨キャラとしてスレなどで(お盆の時期でなくとも)出没するようになる。その証拠としてGoogleの検索欄に「シュラウド_か」と入力すると「シュラウド カプ厨」、「サイクロンアクセル」と入力すると「サイクロンアクセルおばさん」と出て来てしまう。
本編では翔太郎を認めて逝っている為、「翔フィリも良いわね…」と賞賛する場合(なので、亡霊というより残留思念という方が正しいような…)もあれば、中には照井×フィリップ以外のマイナーな組み合わせを提示してくるアナザーワールドの個体までいるらしい。そしてそれら同士が争う展開も……。
この流れからかウィザードラゴンが『ハルコヨ過激派』、葛城忍が『戦万東都いおじさん』だのとネタにされるように…どうしてこうなった。
動機は先述の通りなのでネタ扱いは程々に。
時は流れ2022年。
アニメ版風都探偵のエンディング後のミニコーナーのひとつ「ときめのヒーリングプリンセス 教えて!照井さん」にてサイクロンアクセルの事がリスナーからの質問という形で「フィリップと照井さんが相棒同士だった場合、Wの基本形態は緑と赤のサイクロンアクセルになると思いますが」と取り上げられ、ネットでは「おいシュラウドが送ってないか?」「この質問したやつ絶対包帯グルグル女だろ」「照フィリ過激派おばさんの怨念かよ」と再びネタにされてしまった。