概要
仮面ライダーWおよび仮面ライダージョーカーの専用バイク。
ベース車はホンダのCBR1000RRで、特徴的なフロントカウルの角以外は殆どベース車を活かした造形となっている。名付け親は翔太郎で、自身がなろうと目指しているハードボイルドの探偵が由来となっている。
当初はミュージアムから奪取したものと言う説があったが超全集によると仮面ライダースカルの専用バイク・スカルボイルダーを元に、シュラウドによって強化改造を施されWに受け継がれたものであり、正当続編漫画の『風都探偵』ではビギンズナイトの際に裏で既に改造を施されていたことが明らかになっている。
TCG『バトルスピリッツ』ではこれを反映し、カード名に「W」/「スカル」を含むスピリットが合体できるようになっている(これによってスカルグレイモンも乗れてしまうように…)。
動力機関にW型6気筒の「Wエクストリムエンジン」を採用しており、一般のバイクと同様に無鉛ガソリンを燃料としているが、内部構造により排気ガスはほぼゼロまで抑えられている。エコロジーの街・風都にふさわしいマシンと言えるだろう。
ヘッドライトの「クリアフラッシャー」は前方1000mを照らし、タイヤはパネリ社製の「ウィンドロードBX」を採用している。なお、パネリ社は作中世界に存在する架空の企業である。
大きな特徴として、変身後のWと同様に前後斜めに別れた大胆なカラーリングが挙げられる。
同時にこの色の境界線は、このマシンを構成する2つのユニットの分割線ともなっており、目的に応じて前部ユニットである黒色の「ハードボイルダー・フロントセクション」に、後部の各ユニットをリボルギャリー内部で換装する事により、陸・海・空の様々な局面に対応可能となっている。
後部ユニットはW専用の3つが存在し、いずれも変身後のソウルサイドに対応したカラーリングが施されている。また後述の通りアクセル用のものとも互換性がある他、本来互換性を有さないはずの敵のメカを、強制的に接続・ハッキングする事で使用したケースもある。
3000mまでの距離であればWの脳波とリンクし、自動走行させることが可能(「バトライド・ウォー」シリーズでバイクが召喚されるように出現するのは設定に適っていると言える)。
主武装は前輪脇に装備された一対二門の「ユニバーサルランチャー」で、マガジンの換装により攻撃だけでなく煙幕弾や追跡用ビーコンも発射する事が出来る他、メインフレームは「ガイアメタル」という作中世界で史上最強とされる合金で作られており、劇場版で翔太郎が風都タワーに殴り込みをかけた際にハードボイルダーを乗り捨ててマスカレイド・ドーパントにぶつけるシーンがあるが、特に破損は見られない。まさに"ハード"ボイルダー。
ボディサイドに相当する「ハードボイルダー・フロントセクション」は見た目こそ「ジョーカーメモリ」の特徴を有しながら、実際は「メタルメモリ」や「トリガーメモリ」の要素も補完していると言える。
仮面ライダー、とりわけ平成ライダーの殆どは、飛行能力を得たりデザインがごつくなったりする強化フォームではライダーマシンに乗らない傾向にあるが、後述の通りこのハードボイルダーは換装形態も含めると、強化フォームで運転した事もある珍しいマシンだったりする。
この為、平成仮面ライダー第2期シリーズの中ではダントツで登場回数が多い。
初登場作は「劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー」で、Wはこのマシンに乗って「仮面ライダーW(ダブル)登場」(作曲:鳴瀬シュウヘイ・中川幸太郎)をバックに衝撃的なデビューを飾る。
なお、どうやってディケイドの世界に来たのかは今でも説明がない。
平成ジェネレーションズFOREVERでのアナザーアルティメットクウガ最終決戦におけるオール平成ライダーのバイクシーンで登場した際、何故かハードボイルダーだけライトが点いており妙な存在感を放っていた(翌年がW10周年ということで目立たせたのだろうか?)
各種形態
ハードボイルダー
基本形態である特殊モーターサイクル。
後部には緑色の「ボイルダーユニット」が接続されている。
車が入り乱れる車道においては隙間を縫うように走行できるほどの小回りの良さ(#02)、ダミー・ドーパントやロード・ドーパントのような高機動型に変化した怪人相手でも追跡できるほどのスピードは陸上の戦力として申し分のない性能であると言えよう。
車体から後方の敵に向けてキックを放つなどのハイレベルなアクションにも耐えうる(劇場版ではその描写が顕著)。
後部ユニットの両側面には、さらに六基の大型ジェットノズル「ダッシュブーストユニット」(重量は片側25kg)を追加で接続可能で、この状態をスタートダッシュモードと呼称する事もある。ダッシュブーストユニットは爆発的な推進力と超加速をハードボイルダーにもたらす他、燃料を使い切った後のユニットを走行途中で車体から切り離す事により、追跡してきた敵への足止めや攻撃にも活用され、幹部格であるナスカ・ドーパントでさえも怯むほどの威力。
変身前の左翔太郎も日常の足として愛用しており、稀にではあるがフィリップや鳴海亜樹子が搭乗した事もある(それにしてもフィリップはいつ免許を取ったのだろうか…)。
これについて、正体バレないのかといったツッコミはお約束であるが、「翔太郎だから仮面ライダーに憧れているんだろうとスルーされている」、また元々風都は仮面ライダーが人気で関連グッズ等も存在するような街なので「仮面ライダーのバイクを模したバイクも実在し、翔太郎が乗っているものもあくまでそういうバイクの一つとして認識されている」という二つの解釈がファンの間ではなされている。
フィリップと翔太郎共に変身前には白ベースに赤いラインの走ったヘルメットと黒いグローブを着用して運転しているが、専ら運転するのは翔太郎。
ナンバープレートは「風都 ふ 79-55」となっているが(アニメ版『風都探偵』でも採用)、撮影用のものは練馬ナンバーが使われている(東映撮影所の所在地が練馬区であるため)。
ハードタービュラー
車体後部を赤色の「タービュラーユニット」に換装した飛行形態。この形態では、前輪がマシントルネイダーのように90度回転、地面と水平になるよう変形する(スプラッシャーも同様)。
この形態では超音速での飛行を可能とし、また安定性や急速旋回にも優れた性能を備える。主武装として主翼に装備された「エナジーバルカン」の他、主翼の前縁部も超振動により触れたものを切り裂く「スクランブルカッター」として運用される。
『仮面ライダーW』で登場するライダーは基本的に空を飛べない為、これに頼る場面が多かった。
戦闘以外でも高所への移動や高所から落下した人々の救助にも利用された。
その機動性・汎用性の高さ故か、作中ではハードボイルダーに次いで多く登場しており、物語終盤ではアクセルがタービュラーユニットと合体し、テラードラゴンと交戦した事もある。
劇場版では風都タワー上層までWを運び、奇襲からのハーフチェンジラッシュで仮面ライダーエターナルを追い詰める展開に繋ぐ大活躍を見せた。
ゲーム『memory of heroez』でも登場。
名前の由来は「turbulence」(英:乱気流)より。
ハードスプラッシャー
車体後部を黄色の「スプラッシャーユニット」に換装した水上形態。水中・水上でのドーパントの撃墜の他、海難事故発生時の救出活動にも用いられる。武装として魚雷を装備している。
左右に張り出したユニット内部にはフローティングマテリアルが封入され、電気信号による浮力の変化によって水上だけでなく、水中での自在な移動をも可能とする。実際にテレビシリーズでも水中移動を行っている他、小説版でも水中戦用のユニットとも説明されている。
『仮面ライダーW』の制作経緯(風都を参照)からもわかるように出番は少なめである。
また『風都探偵』では、ビギンズナイトの際にハードスプラッシャーの状態でシュラウドから翔太郎たちの元に送り込まれた事が明かされており、最終的に翔太郎とフィリップはこれを使ってミュージアムのアジトから脱出した。つまりこのユニットが、Wの初めて用いた形態だったという事になる。
『スカルの肖像』では、映画オリジナル敵との戦いの最中に駆けつける描写へと改変が行われている。
ゲーム『memory of heroez』でも登場。
名前の由来は「splash」(英:飛沫)より。
その他
ハードガンナー
車体後部を、アクセルの専用ユニットである「ガンナーA」に換装した砲撃形態。ケツァルコアトルス・ドーパント(試験体)との戦いで使用され、後部の主砲からの砲撃でサイクロンジョーカーエクストリームを上空へ撃ち出し、必殺技をアシストした。
ハードマンモシャー
『MOVIE大戦2010』に登場した特殊形態。スーパーショッカーの繰り出した巨大兵器「マンモスメカ」を、戦闘中に乗り捨てられたものをハードタービュラーの状態からWが強制的にドッキングする形で完成した。
頑強な装甲やチェーンソーとしての機能も備えた鼻など、元来の機能もそのまま使用可能な他、ヒートメモリの力によってカラーリングが白から赤へと変化し、マキシマムドライブを発動させることで高熱の放出などメモリの特性も発揮する。
スーパークライス要塞との激戦の末、高熱を帯びた状態で要塞へと突撃しこれを内部から爆散せしめた。
スペック
表内に収まりきらない項目は脚注にて。
なお、下記のSDモードは「スタートダッシュモード」の意味となります。
ハードボイルダー | SDモード | タービュラー | スプラッシャー | |
---|---|---|---|---|
全長 | 2.080m | 2.520m | 2.710m | 2.478m |
全幅 | 0.680m | 1.290m | 2.524m | 1.325m |
全高 | 1.130m | 1.250m | 1.416m | 1.0m |
シート高 | 0.820m | " | " | " |
乾燥重量 | 165.0kg | 215.0kg | 227.0kg | 201.0kg |
最高出力 | 262.5kw | 450.0kw | - | - |
定地最高時速/最高速度 | 580.0km/h | 870.0km/h | マッハ1.2 | (※) |
0→400m加速 | 3.5sec | 1.2sec | - | - |
乗車定員 | 2名 | " | " | " |
(※)0→400m加速はいずれもテストコース内。
(※)最高出力の馬力換算は左から約350馬力、約600馬力。
(※)ハードタービュラーの最高到達高度は50000m。
(※)ハードスプラッシャーの最高速度は水上で135.0ノット(時速約250.0km)、水中では64.0ノット(時速120.0km)。
参考資料
- 「仮面ライダー図鑑」『ハードボイルダー』
- 「仮面ライダー図鑑」『ハードボイルダー スタートダッシュモード』
- 「仮面ライダー図鑑」『ハードタービュラー』
- 「仮面ライダー図鑑」『ハードスプラッシャー』