概要
「牙の記憶」を内包したガイアメモリ。MOVIE大戦2010で先行登場、本編初登場は第15話である。
ダブルドライバーおよびジョーカーメモリとの併用でWをファングジョーカーに変身させる。
端子は銀色でダブルドライバーへの装填個所もソウルサイド、作中でも「精神」と呼ばれているため本来はソウルメモリなのだが、後述する事情で使用時にボディとソウルが逆転するため実質的なボディメモリ扱いになる。
メインカラーはクリアホワイトで脚や尻尾は銀色。
ライブモードと呼ばれる恐竜を模した形態に変形して独自に活動することが可能という特殊なメモリで、詳細な経緯は不明だがフィリップを護衛するために作られた存在なため、自らの意思で行動しながらフィリップの危機に駆け付ける。
彼が生命の危機に瀕した際にはそれを察知して姿を現すが危険がなければ彼の指示で他の者を救助することもある。
推移
強力なメモリではあるが、内包した「牙の記憶」は『相手を噛み裂く鋭さ』と同時に『獣の野性や凶暴性』も強く宿しており、更にいかなる手段を用いてもフィリップを護衛するプログラムが組み込まれているため、彼に危害を与える者をその力によって徹底的に殲滅する攻撃性を有してた。
その結果(ドライバーを使っているにもかかわらず)ファングジョーカーにはそれが強烈にフィードバックされ、理性を失って荒れ狂うバーサーカーとなってしまう危険性をはらんでいた。
「知識」および「知性」をアイデンティティとするフィリップは、自分だけでは制御できないこのメモリのことを最初は恐れ、疎んじていた。
後にアームズ・ドーパント事件でこのメモリと再会し、ビギンズナイト以来久しぶりとなるファングジョーカーへの変身を敢行した際、往時のようにその凶暴性に呑まれ暴走しそうになる(このとき翔太郎はフィリップの精神世界である地球の本棚が炎上・倒壊していくのを垣間見ている)も共に変身する翔太郎の意志の強さがフィリップの精神をフォローすることで制御に成功し、以降は『頼れる用心棒』としてフィリップに信頼・重用されている。
モ-ド
ライブモード
全高 | 全長 | 全幅 | 重量 | 最高走行速度 |
---|---|---|---|---|
141mm | 221.5mm | 68mm | 380g | 80km/h |
通常の小型恐竜メカ形態。
超小型CPUを搭載した「ガイアインテリジェントヘッド」により自らの意思で行動。フィリップの危機を感知して現場に駆け、彼の安全を最優先に行動する。また学習型AIを搭載しており、直接戦闘に関与しない場合はWの戦闘状況を記録している。
頭部の黒い部分「モノセンサーファインダー」は目に相当するパーツであり、高精度で状況を感知。ファングメモリの「牙」である「ディノクラッシャー」は、直径3cm程度のスチールワイヤーを一瞬で切断可能な威力を誇る。
中枢部のマザーボードを格納している本体「マザーケース」はガイアグラスという特殊樹脂で出来ており、50口径マグナム弾が直撃しようと傷も付かない。
前脚の「ディノマニピュレータ」は大分小振りだが、重量30kg程度のものを持ち運べるパワーがあり、鋭利な先端部は武器としても十分通用する。
後脚は高出力モーターを内蔵する「ディノレッガー」と「マザーケース」と同等の防御力を誇る太もも「アーマードレッガー」の2パーツで構成されており、最高時速80km(=100mを約4.5秒)というW以上の走力を生み出す。後者には冷却パネルとしての機能もある。
小柄なボディでありながら、大人一人が縛られ吊るされたロープを口にくわえたまま苦もなく走り回り、あまつさえそのまま放り投げることすら可能。
生身の人間が受ければ死亡しかねないドーパントの攻撃を幾度となく的確にはじき飛ばしてみせるなど、耐久力や瞬発力も優れている。
尻尾部分を武器にした突撃はドーパントすら怯ませ、時には腕を斬り落とした事も。
メモリモード
ダブルドライバーに装填するためのガイアメモリ形態。
牙の記憶が内包された本体部分「メインメモリケース」が展開した状態。太もも部位が恐竜の顔を模した装甲「ディノフェイスシールド」になり、通常のメモリよりも防御力が高まっている。
ライブモードではバランサーの役割を果たしていた尻尾は、メモリモードでは角のような配置・形態になり、「タクティカルホーン」という操作箇所になる。
変身した状態で操作する事で、腕・肩・脚の順に鋭利な刃を出現させる起動スイッチになる。
運用
- 自立起動
上述の通り、メモリ自らの意思で独自に行動する事が可能。
メモリガジェットほど融通は利かないが、マスカレイド程度であれば歯牙にもかけない。
戦闘ではなく無理な減量でダウンした時や、敢えてフィリップ自ら矢面に立つ事であぶり出されたりと、当初は彼の危機を察して勝手に現れていたが、制御可能になって以降は自在に召喚できるよう手懐けている。
- 変身
メモリモードに変形させ、ジョーカーメモリと共にダブルドライバーにセットすることでファングジョーカーに変身する。
この際他のフォームとは逆にフィリップの体で変身するという点が特徴。
この点を逆手に取り、「意識はあるが翔太郎が動けない状態で、フィリップが出向く事で戦闘を行う」という逆張りが可能になっている。(ただしダブルドライバーの微妙に不便な仕様としてフィリップ側からはドライバーを召喚できないため、遠隔変身する際は翔太郎に連絡してドライバーを装着してもらう手間が発生する。)
- 武装化
ファングジョーカーの状態で「タクティカルホーン」を操作する事で発動。
操作回数に応じて右半身の異なる部位に鋭利な刃を形成・武装する事が可能。
回数 | コール | 効果 |
---|---|---|
1 | アームファング! | 右手首に三日月型の刃アームセイバーを形成する |
2 | ショルダーファング! | 右肩に着脱可能なショルダーセイバーを形成、ブーメランのように使用する |
3 | ファング!マキシマムドライブ! | 右足首にマキシマムセイバーを形成し、必殺技「ファングストライザー」を発動する |
本編後
後年発売された公式小説『Zを継ぐ者』はフィリップ主体という物語上、中盤までファングジョーカーの出番が多くファングメモリの扱いもそれなりに良かった。
だが活動に支障を及ぼすレベルの大ダメージを負い、そのまま仮面ライダーサイクロンに出番を取られ微妙に残念な活躍になってしまった。
公式続編「風都探偵」ではドーパントとの戦闘で深手を負った翔太郎に代わり、フィリップがメガネウラ・ドーパント戦で使用。その野獣性とフィリップの知性、そして翔太郎のサポートも合わさり、鮮やかにドーパントを撃破しメモリをブレイクしてみせた。
過去に映像化されているビギンズナイトにおいても使用しているため、当時の事を翔太郎がときめに語る中でも登場。
敵ドーパントへの迎撃の他、アルコール・ドーパントの雪山の豪邸での一件ではフィリップに急造の通信増幅器を貼り付けられ、照井に連絡を取る手伝いをしていた事が語られた。
ファング系フォームを使用しない回にも登場することがあり、戦闘中に同行者の護衛や敵拠点に乗り込むときのドア破壊等を担っているコマがある。
また、状況によってはフィリップの命令で貸した相手の指示に一時的に従う場面もある。
後に彼らの成長に伴い、TV本編では不可能だった新形態ファングトリガー。さらに記念すべき第100話のラストでは、もう一つのハーフチェンジ形態ファングメタルへの変身が可能になった。
使用形態
ダブルドライバー
ロストドライバー
立体物
- 2009年版
- 「変形ガイア恐竜 ファングメモリ」が2009年12月26日一般販売。
初回生産版には左翔太郎の音声が収録されたジョーカーメモリが同梱している他、CMで何故かフィリップが「ゾクゾクするねぇ」を3度も発言していた(CMの台詞半分近くを占めている)。
- CSM版
2013年9月に「COMPLETE SELECTION MODIFICATION FANGMEMORY(CSMファングメモリ)」がプレミアムバンダイ限定で予約開始。
DX版と同じ金型を流用しつつ一部新規造形となっており、成形色が変更されているが劇中同様のギミックが再現されている。
- SUPER BEST版
2023年7月12日に「SUPER BEST 変形ガイア恐竜 DXファングメモリ」がプレミアムバンダイ限定で予約開始。同年に海外で「ダブルドライバー Ver.20th」の発売が決定したのに合わせて、エクストリームメモリと共に再販が決定した。成型色はCSMに近い色になっている。
- この時にエクストリーム共々当時の金型が破棄されていた事が明かされており、新規造形の金型での発売となった(CSM版のファングメモリが再販されていなかったのも、金型破棄の影響と思われる)。
余談
- 咆哮はエレキギター調でかなり特徴的。この咆哮音はメモリモードで「タクティカルホーン」を操作した際のSEであり、ファングジョーカー変身音の一部でもある。
- サイズ感が一緒なためメモリガジェットに混ざっている事もあるが、ファングは「独自に活動するメモリ」であってメモリガジェットではない。だだし動物形態はどちらもライブモードであるため、近しい技術は使われている様だ。
- 中間フォーム変身アイテムの常として最強フォーム登場以降は扱いが微妙である。最終形態・サイクロンジョーカーエクストリームへの変身に必要な後輩・エクストリームメモリは同様にライブモードを搭載した上飛行能力持ち、暴走などのような『変身することでのリスク』も特にない、フィリップをデータ化して格納する事で安全を担保できると言った上位互換に近い能力を持っていた。
- とは言えドーパントでも無視できないレベルの攻撃力や機動力や、ファング自体が壊れでもしていない限りどこにいても駆けつけるなど、フィリップが単独行動する際の「護衛メカ」としては間違いなく超優秀である。また数値上のスペックもエクストリームよりファングジョーカーの方が高く、変身への敷居も低い。
- エクストリームはフィリップと翔太郎の心身が十全である必要があるが、ファングジョーカーはフィリップの身体が無事で翔太郎がドライバーとジョーカーメモリを使えればどうにかなる。
- 『ネット版仮面ライダーW FOREVER AtoZで爆笑26連発」では疾風・切り札のような木製の「牙メモリ』が登場している。なお「牙の記憶」といっても、当然2代前の仮面ライダーとは関係ない。3代前の列車でもない。
- 二次創作ではロストドライバーに挿入した変身例「仮面ライダーファング」が投稿されているが、ファングメモリはハーフチェンジでなければ制御不能なため、流石に現実的ではないと思われる。
- 仮面ライダー図鑑で「意思がある」の条件で絞り込むと何故か除外されてしまう(「意思がない」扱いされる)。
T2版
『劇場版 仮面ライダーW AtoZ/運命のガイアメモリ』に登場。
他のT2ガイアメモリと同形状で、仮面ライダーWや仮面ライダーアクセルの使用するメモリとも色以外は同じ形であり、形状故にライブモードもない。
他のメモリと同じく仮面ライダーエターナルが持つマキシマムスロットに挿し込まれてマキシマムドライブが発動されている。
実は、第43話にも一瞬だけ登場しているらしい。
関連動画
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クローズドラゴン:主人公の相棒の身を守る小型自立行動メカ兼変身アイテム。ただし、こちらは2号ライダーの基本形態用。