「誰かの力になりたくて戦ってきたんだろ!誰かを守るために立ち上がってきたんだろ!それができるのは葛城巧でも佐藤太郎でもねえ、桐生戦兎だけだろうが!!」
演:赤楚衛二
変身する仮面ライダー
概要
元格闘家。23歳。勘の鋭さと根性だけは誰にも負けない。ガーディアンを破壊したり、鎖で縛られた状態から引き千切って脱出するほどの常人離れした腕力を持っている。第2話での発言によれば出身地は横浜市。第31話では滝川紗羽の調べで、彼の両親は夫婦で警備員の仕事をしていた事が判明している。
八百長試合で永久追放され、その後東都先端物質学研究所の研究員・葛城巧殺害容疑(本人は濡れ衣と主張している)で逮捕された上、刑務所でファウストの息がかかった刑務官に拉致されて人体実験を施される。
ファウストの施設からなんとか脱走するが、今度は脱獄犯として追われる身になってしまう。
「スマッシュの反応あり」と出たことから駆け付けた桐生戦兎こと仮面ライダービルドに捕まりかけ、更に口封じのためにファウストが放ったスマッシュに襲われる。
スマッシュはビルドが倒したものの、駆けつけた東都の特殊部隊に追い詰められ、誰も自分のことを信じてくれないという過酷な現実に悲嘆するが、同じ境遇にあった龍我が自らの失われた記憶を探る鍵を握っていると考え、そして信用できる人物だと思った戦兎により助けられ、以後行動を共にすることになる。
第19話時点でのハザードレベルは4.0。スタークによると、ハザードレベルの上昇が急激に早いとの事であり、それを裏付けるかのように本編開始前からビルドとして戦ってきた戦兎のハザードレベルを既に超えている。(石動惣一曰く、ビルド=桐生戦兎が科学という文明の力で強くなる養殖ものならクローズ=万丈は戦う才能を持った天然ものらしい)。
人物像
喜怒哀楽が激しく、感情豊かで、思ったことは直ぐに行動に移す直情径行型の熱血漢。
頭はあまり良くなく語彙力が乏しい他、戦兎の説明を理解できないことが多く戦兎に度々呆れられたりからかわれている(腕力の強さも相まって若干脳筋気質に見えなくもない)。第39話で、エボルトの目的を「大金手に入れて、ウッハウハだろ!」などと推測した際には、記憶を取り戻した葛城巧からも「猿より低能」と揶揄されている(この際、アニメーションの猿の絵が動き回るというシュールな演出がなされた)。
本人も八百長に手を染めたこと込みで「バカでクズ」と自嘲している。
しかし裏表のない真っ直ぐな人間であり、自らの願いを聞き入れて香澄との別れの時間を作ってくれた戦兎には素直に感謝の言葉を述べた。また、元格闘家らしく事あるごとに筋トレやプロテインを好む描写が有りカップラーメンにプロテインを入れることや、バカ呼ばわりされた際には「バカとは何だ。筋肉をつけろ筋肉を」と少し的外れな反論を見せた。
劇場版での「仮面ライダー?いるわけねぇだろ、この寒いのに」というセリフに代表されるように、物事の理解の仕方は独特。
勘が鋭く、第3話ではベストマッチするフルボトルが分からないガトリングフルボトルを出来たばかりのタカフルボトルと組み合わせてベストマッチを発見。
第5話では完成したコミックフルボトルがどのフルボトルと合うか戦兎が考えていた中、忍者フルボトルを組み合わせて一発でベストマッチを発見した。
本人曰く第六感らしい。
というより、戦兎が手にしていたフルボトルと彼が手に取ったフルボトルがベストマッチになるとでも言った方が正しい。
上記の2例に加え、第7話ではブラッドスタークとの戦闘中ドライバーにセットしていたパンダフルボトルと彼がスタークから奪い取ったロケットフルボトルがベストマッチと判明。
第10話でもナイトローグにボトルを取られた戦兎の元に残っていたロックフルボトルと、彼が託したドラゴンフルボトルでベストマッチ。
容姿、服装
茶髪で、頭頂部の髪を三つに分けて編み込んだ髪型をしている。劇場版ではサイドにかけて編み込んだ髪型も確認できる。後述するように一海からは「エビフライ頭」と揶揄されている。OP映像の他にも、本編の後日談では編み込みのない普通の髪型でいることが多い。
本編最終回では、とある理由で黒髪姿で登場した後、Vシネマ『ビルドNEW_WORLD』にて黒髪になっている。
東都に追われる身である事から、当初は正体がばれないように何らかの恰好に変装してから外出するようにしていた。
第17話以降は(不本意ながら)東都政府と協力関係になった為、以降は変装しないで出歩いている。
私服姿ではネルシャツの腰結びスタイルが基本で、夏以外ではさらにスカジャンを着ている場面が多い。(スカジャンの詳細は後述の余談を参照)
何故かよくズボンのチャックが開いていたり、破れたりする(前者は第1話や第14話・最終話、後者はクローズの変身講座の動画より)。
実は新番組の予告動画の時点でもう既にチャックが開いていた。
運命に翻弄される男
龍我には小倉香澄という恋人がいた。病弱な彼女の治療費用を捻出する為にやむを得ず八百長試合に手を染めた事から、彼の人生の歯車は狂い始める。
八百長が発覚して永久追放され、収入を失って途方に暮れる龍我は、香澄から「東都先端物質学研究所」の葛城という科学者の助手の仕事があると紹介される。ところが部屋を訪れてみると葛城は殺されており、その直後に踏み込んだ警察によって龍我は殺人犯として逮捕され、何を言っても信じてもらえないまま有罪となって、投獄されてしまった。
そして服役中、謎の集団によって拉致されて人体実験の被験者とされ、命からがら脱獄した彼は、逃走中に戦兎と出会ったのだった。
脱走後も香澄の身を案じ続けていたが、彼女は龍我をおびき出す為の餌として利用され、再会時にはナイトローグによってバーンスマッシュに改造されてしまっていた。
元々が病弱だった香澄はたとえ成分を抜き取ってスマッシュ化を解除しても既に助からない状態になっており、当初は絶望するも、自我を失いながらも自分を傷つけまいとする姿に「せめて元の姿に戻してやって欲しい」と戦兎に懇願。その願いに体を張って応えた戦兎の奮闘で最期の瞬間を過ごすことになった。
自分もある人物に騙されて葛城を紹介したばかりに、地獄を味わわせてしまった事を詫びる香澄を龍我は抱きしめる。
「私と出会わなければもっと幸せな人生があったはずなのに…ごめんね…」
「ふざけるな! これ以上の人生があってたまるかよ! 俺は…お前に会えて…最高に幸せだった…!!」
そして息絶えた香澄の体は消滅。龍我は自暴自棄に陥るが、戦兎の叱咤によって再び立ち上がる。
その後、まるで香澄の想いが形になったようにスマッシュの成分はドラゴンフルボトルとして生成され、その意を汲んだ戦兎によって龍我の手へと託されることになる。
そして、そのドラゴンフルボトルの力でパンチ力を強化して戦えるようになった龍我は、スマッシュ及びガーディアンに対するビルド側の一定の戦力になるに至る。
戦兎と行動を共にする中で、自分に冤罪を着せた犯人がブラッドスタークである事を知り、その正体を暴く為に仮面ライダーに変身しようとする。
しかし、自分の事しか考えていない龍我ではクローズドラゴンの力を引き出す事ができないために結局変身できず、戦兎からは「力を手に入れるってのは、それ相応の覚悟が必要なんだよ!半端な気持ちでなろうなんて思うな!」と厳しく叱咤されてしまう。
その後、戦兎がどこからか手に入れた情報を元に香澄の墓に行き、その墓前に供えられた遺書を読んで、香澄が自分の死を悟っていた事と、龍我が立ち直り、そしてその力を他人の為に使ってくれるように望まれていた事から、香澄の遺志を汲んで初めて仮面ライダーに変身することに成功し、仮面ライダークローズとしての使命を背負う事になる。
本編での活躍
- 第3・4話
香澄に葛城を紹介する事で、龍我に殺人の濡れ衣を着せ、さらに刑務所内で龍我をファウストに売り渡したのが刑務官・鍋島正弘と知る。鍋島に電話で連絡を取るも「証言をすれば妻子に危害が及ぶ」と言う彼の為、密航船を運航する木根礼香の協力のもと、紗羽と共に西都へ向かい、鍋島の妻子を保護して帰還する。しかし二度スマッシュにさせられた鍋島は、副作用で全ての記憶を失っており、龍我を罠に嵌めた事どころか、妻子の顔すら忘れてしまっていた。
- 第5話
以前の戦兎を知る岸田立弥という青年が現れ、戦兎の過去が明らかになっていく中、自分の冤罪を晴らす手がかりが次々消えていく状況に焦りを感じる。「スマッシュを倒した後、成分を抜き取らずに放置すれば、ファウストのアジトに戻るかも」という可能性を考慮した龍我は、プレススマッシュにされた立弥を元に戻して連れ帰ろうとしていた戦兎を襲撃。気絶した戦兎から成分の採取されたフルボトルを奪い、立弥にばら撒いて再度スマッシュにさせてしまう…。
- 第6話
ドラゴンフルボトルの影響で龍我自身の地の身体能力・筋力・膂力が大幅に向上している事が分析される。
更に暴走することもあるのでお目付け役としてクローズドラゴンを与えられる。
ファウストに捕らえられた際に、スマッシュになる成分『ネビュラガス』を注入されたことが判明。しかし、スターク曰く、戦兎と同様にスマッシュにならなかったレアなケースらしい。
ファウストのアジトから立弥を連れて脱出した後、彼から「龍我が葛城の下へ行ったのと同じ日に佐藤太郎も葛城の所へ行っていた」ことを教えられ、さらにそれが自身が到着するちょうど1時間前のことだったため、戦兎こそが葛城を殺した犯人なのではないかと疑いを抱く。
- 第7・8話
戦兎に対する疑いが募るあまり実に300回以上も「お前がやったんだろ」と付き纏い続けていた。しかし戦兎が犯人という証拠はなく、かと言って自分の冤罪を証明できる人物もいないため手詰まりに陥りかけていたが、惣一の提案で戦兎と共に葛城のことを調べることに。
戦兎の見つけた情報から葛城の母親の京香に会うために、変装し共に北都へ向かう。道中にナイトローグ、北都に到着後ブラッドスタークに襲撃されたが何とか撃退(スターク戦でロケットフルボトルを偶然奪取)。戦兎の戦いもあり京香の信頼を得た二人は東都に戻るも、京香はローグに襲われスマッシュにされてしまう。何とか京香を助け出した二人は葛城が遺していたデータの在処を託され、USBメモリを発見するもスタークに奪われローグまで乱入。龍我はスタークと戦いハザードレベルを2.4から2.7まで急激に上昇させ、成長に興味を抱いたスタークからUSBメモリを渡される。
- 第9・10話
葛城のデータ『プロジェクト・ビルド』の内容を知り、自らが散々な境遇に陥るきっかけになった葛城に激しい怒りを募らせる。一方で戦兎は科学者としての功績を認める発言をしたためまたしても対立してしまう。その場は美空がフルボトル生成時の爆発音でうやむやにして流した。
そのことには気付いていたようで、後日美空と共に変装して彼女を街に連れ出すが、ファウストに襲撃され危うく美空を奪われかける。すんでのところでスタークの乱入とビルドが到着したため事なきを得た。目覚めた美空から戦兎がクローズドラゴンを作った真意、香澄を死なせてしまった贖罪の念を抱いていることを知り、彼に罪がないことは理解しながらも葛城の行いを許せず葛藤する。
しかし思い悩むより先に戦兎からファウストの研究所襲撃について連絡を受け現場に急行、スタークに追い付いたはいいが研究員の河合がスマッシュに変貌して行く手を阻まれてしまった。だがなんと傷付きながらも生身でスマッシュを撃破するという人間離れした戦果を挙げスタークたちに追い付き、同時に研究所に辿り着いたビルドと共にパンドラボックスを取り戻すためスタークに挑む。戦闘中にスタークに有効打を打ち込めるようになりとうとうハザードレベル3.0に到達するも、流石に本気を出したスタークには敵わなかった。ローグにボトルを奪われ窮地に陥った戦兎にドラゴンフルボトルを託しキードラゴンフォームが誕生、その力で窮地を脱した彼に「俺はお前のことなら信じられる」と自分なりの答えを伝えて送り出した。
- 第11話
しかし流石の戦兎もキードラゴンフォームをうまく制御できずにいた。そこで戦兎は打開策としてクローズドラゴンに変身機能を搭載させ、龍我を仮面ライダーに変身させることを思いつく。しかしそのためには「誰かを助けたい」という強い思いによってドラゴンとシンクロする必要があり、当初龍我にはその覚悟が足りずドラゴンとうまくシンクロできなかった。しかし戦兎に香澄の墓の場所を教えられて墓参りに向かい、そこで見つけた香澄の遺書を読み彼女の気持ちを汲んだことで、決意を新たにしてドラゴンとシンクロしたことで仮面ライダークローズへの変身が可能になった。
- 第12話
紗羽がスパイであった事を告白され、ファウストが東都政府と大企業である難波重工と繋がっている事を知らされ、第11話でナイトローグによって大半のフルボトルが奪われ変身できなくなった戦兎を助手として、難波重工総合科学研究所に忍び込む。この時、戦兎からクローズに変身するための2個目のビルドドライバーを渡されている。
研究所内でナイトローグに見つかり交戦するが、そこにブラッドスタークが現れ、突如としてブラッドスタークはナイトローグに襲いかかり、三つ巴の混戦になる。その戦闘の際にブラッドスタークが隠されていたパンドラボックスを発見した事で、戦兎は奪われたフルボトルと新たなフルボトルである電車フルボトルを発見し、海賊レッシャーへと変身するが、乱戦の中で肝心のパンドラボックスはブラッドスタークに奪われてしまう。
その後、紗羽と戦兎がファウストの情報を東都の首相である氷室泰山に伝えに行くために、龍我は美空と共に留守番をすることになり、同話終盤で今までの背信行為を悔やんで二人の下から去ろうとする紗羽を、カレーを食べながら美空と戦兎と共に引き止めた。
なお、仮面ライダークローズの名前はこの時に戦兎が初めて命名した。
- 第13・14話
記憶が戻った鍋島の証言から、龍我に濡れ衣を着せたのがブラッドスタークである事を知る。
後に氷室幻徳からの情報を得て難波重工重要保管施設にパンドラボックスがある事を知った戦兎と共に、ブラッドスタークと対決する為にクローズとビルド海賊レッシャーフォームとなって難波重工重要保管施設に正面突破を仕掛け、そこで二人でブラッドスタークと対決。ブラッドスタークの全てを見透かした様な攻撃にビルドと共に苦戦を強いられるが、密かに戦兎が美空に浄化してもらっていた奥の手のオクトパスライトで形勢逆転し、勝利を収める。しかしパンドラボックスこそ取り返したものの、肝心のブラッドスタークはあと一歩の所で取り逃がしてしまった。
その後に戦兎から、彼に殺人の罪を着せたブラッドスタークの正体は石動惣一である事が判明し愕然とするが、戦兎と共に対スターク用のパワーアップアイテムを開発し始める(この際、事実上の実験台に)。その一方で美空にはショックを与えないよう、スタークの正体を伏せておくことにし、デートと言う名目で外に連れ出す事に(この時、最初は自分がデートに行く事を渋っていたが、戦兎からプロテインで釣られる形で引き受けた)。
その後、戦兎が惣一との直接対決に敗れたところに駆けつけ、ブラッドスタークによって嵌められたことでは無く、戦兎や美空の思いを踏みにじられたことに怒るも、ブラッドスタークの強烈な一撃に変身解除してしまう。その後、戦兎の新しい力によって倒されたマスターから、パンドラボックスとフルボトルを返された上で氷室幻徳が本物のナイトローグであることを知らされ「重要なのはお前たちの成長だ」と宣言される。
- 第15・16話
ブラッドスタークの正体である石動惣一がファウストに本格的に合流したことで、今まで拠点にしていたnascitaが東都政府部隊に襲撃されるが、既に予測しており地下の秘密基地を隠して一時的に美空・戦兎と共に廃工場に拠点を移す。
東都政府とファウストの繋がりを暴くために、戦兎の策としてパンドラボックスを囮にして氷室幻徳を呼び出して、ナイトローグとの直接対決に挑む。その際に、戦兎の策では幻徳との会話を録音して証拠にしファウストと東都政府との繋がりを暴くつもりであったが、本性を現した幻徳に怒りを抑えきれずに襲い掛かり、策が失敗した上にパンドラボックスを奪われることになってしまう。しかし、奪われたパンドラボックスは立体映像で作った偽物にすぎず難を逃れた。
その後、廃工場にて戦兎に自分の所為で策が失敗してしまったことを詫びるも、そこに再び幻徳が部隊を率いて現れ何も知らない二人の隊員をスマッシュに変え、戦兎の正体について含みがあるような態度を見せて二人に向かって襲い掛かる。何とか幻徳たちを倒したところで病に倒れていた氷室泰山が現れ、幻徳とファウストの関係が暴かれ全てに結着が付いたかに見えたが、そこで幻徳は桐生戦兎の正体が殺されたはずの葛城巧であったことを明かす。
これによりスマッシュやファウストを作り自分の恋人である香澄が死んだ人体実験の開発者が戦兎であることを知り、怒りを抑えきれずに掴みかかり決闘を行う。決闘自体は戦兎も応じるものの、自分の正体を知った彼はやる気を見せずに龍我に成されるがままにやられ、本気を出すことを望んだ龍我に応じる形でラビットタンクスパークリングに変身した彼に敗北。しかし本心から戦兎を憎んでいるのではなく、彼が今まで人のために尽くしてきたことを共に戦って来た仲間として誰よりも知っているからこそ、自分の気持ちに折り合いが付けらずに彼に当たっていた事を美空に独白する。
その後、正体不明のスマッシュ2体とガーディアンの部隊が市民を襲撃しているのを相手にしながらも自分の過去との折り合いがつかずに本気を出せずにやられる戦兎を前にして、クローズに変身して戦いながら彼が作った物がスマッシュだけではないことを叫ぶ(記事冒頭の台詞)。その言葉を聞いて再び戦意を取り戻してビルドに変身した彼と共にスマッシュ達を倒したが、そこに再び東都の首相代行に返り咲いた幻徳が現れ、今戦ったのが東都に侵略を開始した北都の軍隊であり遂に東都・北都での戦争が始まったことを幻徳から告げられる。
- 第17・18話
東都と北都との戦争は激化する。北都に対抗するべく東都軍によって幻徳の所まで呼び出され、東都が仮面ライダーを軍事兵器として戦争に投入する方針を固めた事を知る。
あくまでも仮面ライダーを軍事兵器として利用することに反発する戦兎に対して、龍我は氷室が持ちかけた「戦争に参加する代わりに冤罪を晴らしてやる」という取引の間で揺れ動く中、北都三羽ガラスがハードスマッシュに変身して襲い掛かってきたことで事態は急変。
そこで先日完成したばかりのスクラッシュドライバーを使用しようと思いつくが、兵器として使用される事を危惧した戦兎に使用を止められる。あくまでも仮面ライダーを戦争の兵器として使う事に反対する戦兎に対して、幻徳の言う様に、自分が現実から目を背けているだけではないのか。と反論する。
そんな中、紗羽から美空が行方不明になったことを聞かされ、彼女を探すべく街へ出向いたところでスマッシュに襲撃される一般市民たちに遭遇するが、そこでスマッシュを一撃で倒す謎の男・猿渡一海を目撃する。
その時、龍我の元に幻徳から連絡が入り、スクラッシュドライバーを使用するように促され、スクラッシュドライバーとドラゴンスクラッシュゼリーを手にして北都三羽ガラスの襲撃を受けていたビルドに助太刀。クローズの強化形態であるクローズチャージに変身し、今までとは段違いの力を見せつけてビルドと共にハードスマッシュ達を倒し、新たに複数のフルボトルを手に入れる。
しかしそこに一海が乱入し、スクラッシュドライバーを使い第三の仮面ライダー・仮面ライダーグリスに変身した彼に圧倒されてしまうが、美空が介入してきた事でグリスが手を引き、その場の窮地は脱した。
その後、戦兎から「俺のヒーロー感が薄れる」という理由で(実際はスクラッシュドライバーの副作用から龍我を守るため)スクラッシュドライバーの使用を禁じられるが、テレビ局を占拠した一海達を相手にスクラッシュドライバーで戦おうとした戦兎が変身できなかったため、「お前が死んだら美空が悲しむ」と戦兎からドライバーを奪い返し、「俺なら死んでも誰からも文句が出ねぇ」という理由でクローズチャージに変身。仮面ライダーグリスに挑むも、激闘の末に敗北してしまう。
そのままトドメを刺されようとしたところをビルドに庇われた後、紗羽が運転する車で駆け付けた美空が戦兎にロケットパンダのボトルを投げ渡し、その場はロケットパンダフォームとなったビルドに連れられ逃走した。
- 第19話
nascitaで怪我の治療をした後、スクラッシュドライバーの使用を巡り戦兎と対立。東都政府官邸に行き内海生存を聞いた直後グリスと三羽ガラスの襲撃を受けてグリスと対峙する中、そこへ乱入してきたブラッドスタークにハザードレベルを計測される。一海達が撤退した後はnascitaに戻り、紗羽から一海達の事情を聞くが、既に東都で被害を出している彼等に同情せず戦う事を発言、再び戦兎と意見が対立してしまう。
その一方で、美空に対しては「子供が公園で遊べないのはおかしい」と戦争の虚しさを語り、最近笑顔を見せていない戦兎の為に、1日でも早く戦争を終わらせたいと独白している。
その後は再び一海達と戦闘になり、早々に撤退され追撃しようとタカフルボトルの力で飛行するも、スクラッシュドライバーの反動で墜落、気絶してしまう。しかし駆けつけた美空がバングルの付いている手で龍我に触れた途端、美空が意図せず発動した治癒能力によって回復した。
- 第20話
回復自体はしたものの、グリスに歯が立たない現状に変わりはなく、焦りを募らせる龍我。
そんな中、幻徳が龍我だけにある作戦を明かす。それは、グリスと三羽ガラスを偽の情報でガス室に誘き寄せ、彼らが罠にかかっている間に北都を奇襲するというものだった。
北都を奇襲するということは、専守防衛に徹さず、相手を積極的に攻撃するということ。
戦兎がこの作戦を絶対に支持しないということを理解していた龍我は、戦争を終わらせるためにあえて幻徳の指示に従い、戦兎にも知らせずに、東都軍と共に国境へと進む。
しかし結局、作戦の意味を察した一海が先に行かせた三羽ガラスと、幻徳から作戦のことを知った戦兎が後を追ってきて、国境付近での乱戦にもつれこんでしまう。
- 第21話
戦いを終わらせる糸口を掴むために戦兎が変身したラビットタンクハザードフォームは、戦兎の意思とは裏腹に、青羽の消滅という最悪の結末をもたらした。
そして、龍我は戦兎の暴走に対して何もできなかった。
ここまで、度重なる敗北にもかかわらず保ち続けてきた「東都を守るために戦い、戦争を終わらせる」という信念が揺らぐ龍我は、東都で活動を続ける一海・赤羽・黄羽に対して、戦兎を止められず青羽を殺してしまったことを謝ろうとするが、一海に文字通り一蹴されてしまう。
(ただし一海が後に戦兎に語った言葉からすると、この蹴りは怒りからのものではなかったようだ)
- 第22話
北都と東都の代表戦に当初出場予定だった龍我だが、スタークとの修行を終えて戦う覚悟を固めた戦兎に割って入られ、代表戦から外れることになる。
そのことに怒り、代表戦の場には行かずnascitaで観戦していたが、「戦兎が死んでしまう」という紗羽の言葉に居ても立ってもいられず戦兎の下へ向かう。そして、勝利はしたもののハザードトリガーのもたらす暴走により一海の命を奪う寸前だった戦兎に無我夢中で喰らいついていく。
戦兎を止めたい一心で戦ううちに、何とクローズチャージの力の制御に成功。ビルドとの相討ちに持ちこみ、ハザードトリガーを解除した。
実質、ハザードトリガーによる更なる惨劇を防いだ功労者となった龍我だが、意地を張っていた自分の目を覚まさせてくれた紗羽、そして戦兎本人から「暴走したら自分を消滅させてくれ」と頼まれていたにもかかわらず消滅のスイッチを押さなかった美空の決断があればこその結果だと理解していた龍我は、自分の偉業を誇るような無粋な真似はせず・・・
「いや……みんなのお陰だ」
- 第23話
西都の首相・御堂正邦が東都に宣戦布告するのみならず、一海の農場の人間を人質にし、救援に向かった黄羽をも痛めつける様子を見て憤り、一海に同行して北都に向かおうとする。
しかし、あくまで東都の軍事兵器である仮面ライダークローズが北都に行けば侵略行為になってしまう。そのことを危惧する戦兎と泰山首相に引きとめられ、しぶしぶ承諾。戦兎と共にスカイロードで一海を待つことになる。
だがそこにやって来たのは、一海たちを追ってきた西都の刺客エンジンブロス・リモコンブロス、そして仮面ライダーローグ。
エンジンとリモコンの兄弟相手には劣勢を強いられつつも、何とか戦えていたクローズチャージだったが、ローグの圧倒的な防御能力にはかなわず、ネビュラスチームガンの一撃を叩きこまれ変身解除に追いこまれることになった。
- 第24話・第25話
第24話では何と、冒頭のあらすじ紹介で「影が薄いのは最近じゃなくて元から」「こんな筋肉バカがいなくても問題ない」と戦兎にからかわれてしまう。
第24話では実際、話の中心が幻徳と美空だったためあまり目立たず、戦闘でもグリスと一緒にブロスたちに挑むが歯が立たないという状態で、あまり笑えない冗談になってしまった。
第25話では戦兎の作戦により、難波重工の忠実な部下である難波チルドレンのスパイを炙り出すために、関係各所に偽のパンドラボックスの所在を教え、そこにやって来たこれまで散々な目にあわされて来たリモコンブロス(鷲尾風)と戦うことになり、スクラッシュドライバーの力でハザードレベルを上昇させ、これまで散々な目に遭わされてきたリモコンブロス(鷲尾風)を一方的に叩き伏せた。
情報漏洩を行っていた難波チルドレンも突き止めようやく攻勢に転じられるかと思われたが、なぜかローグに本物のパンドラボックスの所在が漏れてしまい、赤羽を殺害したローグとの戦いに突入。ローグの攻撃から美空を守るための盾になる。
だがそこでダメージを受けてしまったために、パンドラボックスを奪い逃走するローグや、ハザードトリガーの副作用で暴走し美空に襲いかかる戦兎を制止することはできなかった。
- 第26話
第25話の終盤に、美空のつけているバングルの力で戦兎のハザードフォームの暴走が止まり、事態は事なきを得るが、一海に「この中に裏切り者がいる」と指摘され困惑する。
そんな中、西都が「仮面ライダーによる三対三の代表戦」を提案し、戦力で劣る東都はこれを承諾。龍我は戦兎・美空と共に代表戦に備えた新アイテムの開発に参加する。
新アイテムの開発に、戦兎はハザードフォームの暴走を止めた美空のバングルの力を利用するために、美空にビルドとクローズの仮面ライダーとしての活躍を再生し、一時的に過去の活躍の総集編の様な有様になりながら、本編内で前回のあらすじのようなコント染みたやり取りを交わす。
その際に龍我は「フルボトルのベストマッチとは何か?」という根本的な疑問をぶつけるが、その質問に戦兎は答えることができず誤魔化すだけだった。
一方で、仮面ライダークローズに変身するクローズドラゴンが、ドラゴンフルボトルの成分を二本分に倍加する機能を持つことを知り、今まで有機物と無機物との組み合わせでしか変身しなかったライダーシステムに、有機物同士の組み合わせができるのかという疑問をぶつけ、戦兎の新アイテム開発のヒントを与える。
龍我のヒントを元に戦兎が新アイテムの開発に没頭する一方で、龍我は赤羽・青羽・黄羽の死体の代わりに、ドッグタグを埋めて三人の墓を作っていた一海の元に行き、そこで初めて一海に自身も大切な人をスマッシュとされて失った事と、その事に関する心境を語った。
「ズルいよな……。死体も残らねえなんて。死んだ実感が湧かねえって言うか。本当はまだどっかで生きてんじゃねえのかって……」
そうして、初めてお互いに腹を割って話し合った二人は、そこで代表戦に備えての特訓として、お互いのハザードレベルを上げる為に戦うことになる……が、その直前にボトルを振った龍我はその音に違和感を覚える。ボトルを開けて中を覗いてみると、そこには盗聴器が仕掛けられていた。
龍我が盗聴器を発見したことで、視聴者の間には以前盗聴をしていたあの人こそが裏切り者ではないかという疑惑が一気に広がることとなった。
余談であるが、特訓開始の際に龍我は、戦兎の決め台詞である「さあ、実験を始めようか」という言葉を使い、一海もエンジンブロスに対峙するとき、龍我の決め台詞である「今の俺は、負ける気がしねえ!」を言い放っており、お互いにいい影響を与えあっていることが伝わる回となった。
- 第27話
代表選では第二戦を務める龍我だが、上記の一件で因縁のできたリモコンブロスが強化形態・ヘルブロスとなり初見殺しをしてくるという逆境に見舞われる。ヘルブロスの防御力はリモコンブロスを遥かに超え、攻撃が通らないという危うい状況の龍我だったが、無我夢中で戦ううちにハザードレベルが急上昇し一気に試合の流れを引き寄せる。
だが対戦中に囁かれた「弟が人質に取られている」という言葉を信じてしまい、戦兎の為にも戦争を終わらせるという思いと相手への同情の葛藤で、それ以上の攻撃ができなくなってしまいそのまま押し負けてしまう。
代表戦の決着後、風の言葉が嘘であったことを知るも騙されたことに怒ることは無く「信じた俺が悪い」と潔くその場を後にし「俺の代わりにきっとあいつがやってくれる」と戦兎の勝利の確信を二人に向かって言い切った。
- 第28・29話
戦兎が幻徳に勝利し、東都は2勝1敗で代表戦に勝利。
だが、代表戦の結果は西都の勝利と捻じ曲げられ、東都は難波重工のハードガーディアンの更なる侵攻にさらされる。
彼は北都へ戻り農場の仲間たちを救い出そうとする一海に協力しようとするが、寒空の下ずっと彼を待っていたことで心変わりし、計算のない行動と言葉は一海の考えを変える一因になる。そこへ襲来したスタークらと交戦、彼の火星の力による火炎放射を食らってしまう。そこに普段とは様子の違う美空が現れた。
- 第30話
ベルナージュが憑依した美空に向けて惣一が放った炎から彼女を身を挺して庇い、ドラゴンスクラッシュゼリーが燃やされてしまうが、ベルナージュの力でnascitaへテレポートし事なきを得る。
そこで彼女から「お前、自分が何者なのか分かっていないのか?」と意味深な問いかけをされ彼が何者なのかを生い立ちから探ることになり、戦兎に両親のことを聞かれた彼は「10年前に交通事故で死んだ」と答える。その時、手にしていた燃えたスクラッシュゼリーが突然発熱し始め、謎の黒いフルボトルへと変化。戦兎と共にクローズの強化アイテムの開発に付き合うが、アイテム完成時の爆発に巻き込まれて暫く気を失ってしまう。
翌日、政府との関係を断って単身パンドラタワーへ向かった戦兎の元へ、泰山から命令を受けて一海と共に向かい三人でタワーへ侵入。中で鷲尾兄弟とハードガーディアンと交戦し、戦兎から受け取ったクローズマグマナックルを手に、クローズのままでエンジンブロスを圧倒するという異常なまでの強さを発揮するが、美空に憑依したベルナージュの口から「万丈、お前が希望になる」と言われ、その後は戦兎が紗羽に龍我の事を調べるようと依頼する。そしてnascitaに戻ってきた紗羽は美空に「万丈は人間ではないかもしれない」と語った。
- 第31話
実は23年前、無人探査機が火星に降り立ったことがあった。地球に帰還した探査機を自身の母である万丈優里が難波重工総合科学研究所で警備担当していた頃、仕事中に突然倒れているところを発見され、検査の結果、妊娠1か月と判明。当初は妊娠が原因で倒れたものと思われていたが、それから僅か1ヶ月後に出産というありえないことが起こった(通常、人間の妊娠期間は約10カ月前後だと考えるとあまりにも早すぎる出産である。さらに、早産の子どもは体が弱かったり、成長後も後遺症が残るなど、健康に恵まれない体となることも多いが、龍我は非常に健康な状態で生まれてきた)。
その後、彼は定期的に難波重工総合科学研究所で検査を受けていた過去があったのだが、そのことは一切記憶に無く、その検査データには、龍我の体に地球外生命体の遺伝子が組み込まれているという衝撃的な事実が記載されていた。
これに関して紗羽は『23年前、無人探査機に異星人が潜んで地球にやって来た後、母親の体に入り込み、お腹の龍我に乗り移ったのではないか』という憶測を述べている。
さらに、龍我の検査を担当していたのは葛城巧の父・葛城忍だった事も判明しているが……?
本人が“第六感”と言っていたベストマッチを見つけ出す能力も、自分の体に宿っている異星人の力が関係していると考えれば一応辻褄は合う。
後にスタークの正体にして火星人本人・エボルト自身の口からもこのことが語られ、龍我の体に乗り移った異星人の正体は、何らかの原因で分裂したエボルトの片割れであったことが判明する。
エボルトが龍我の成長に対して異常なまでの固執を見せていたのも、分裂した自分の片割れと再び1つになることで本来の姿と力を取り戻すためであり、その事に気付いた葛城巧はエボルドライバーを隠した後、エボルトの存在を滅ぼすためにスタークと龍我を自室に呼んで抹殺しようとしたのである。
第35話では戦兎と相対した龍我(エボルト)の口から、龍我に取り憑いたのは分身だったことが語られる。
実はその分身で新しい星=地球を侵略しようとして万丈優里に憑依したのだが、その時赤子を身ごもっていたため、いつのまにかそちらに入ってしまい、失敗していた事を明かした。
そしてパンドラタワー内での戦いは続く。彼は参戦したローグと戦い香澄を殺された怒りを拳に込めて振るうが、その怒りこそが彼のハザードレベルを上げるためのスタークの策略だったと幻徳から告げられ、動揺した龍我はカウンターを食らい変身解除してしまう。
戦兎たちと共にパンドラボックスを持つスタークの元へ向かい怒りのままに戦うが、火星の力とパンドラボックスの力を自在に操るスタークには敵わず、再び変身解除させられてしまった。生身の彼に向けてスタークはパンドラボックスの力を向けるが、ビルドが身を挺して庇う。スタークは戦兎を締め上げ殺そうとするが、そんな戦兎を何としても助けたいという強い思いを力に再び立ち上がった龍我にスタークは嬉々としてパンドラボックスの力を注ぎ、その力がドラゴンマグマフルボトルを覚醒させ龍我はクローズマグマへの変身を遂げた。
クローンスマッシュを一蹴しスタークも叩きのめし、パンドラボックスの回収に成功。するとパンドラタワーが変形、戦兎は龍我もパンドラボックスを扱えることに気付く。
- 第32話
政府官邸にパンドラボックスを預けnascitaに戻ってきた龍我はプロテイン入りカップ麺を作りつつ、戦兎にも食うかと問いかけたところ戦兎からあっさりと「お前人間じゃねえって」と告げられる。思いつく限り反論を試みるが全て根拠に基づいて否定されてしまい、逆に自分が地球外生命体であるという事実をより明確に突き付けられてしまうことに。突然明かされた真相を受け入れられずにnascitaを出て行ってしまう。
香澄の墓前で心情を吐露し戦意も失っていたが、応援の要請を聞かなかったことにもできず、結局また変身し政府官邸に駆け付けた。だがスタークと戦闘中に自分が「人間でない化け物で、スタークと同じ力を持っている」という受け入れがたい事実を改めて突き付けられ、失意のどん底に落とされたかのように見えた。
しかし龍我は自分が"仮面ライダー"だという意志をこれまでの戦いで培っていた。
「たとえ人じゃなくても……あんたと同じ力を持っていても……俺とあんたは違う!
あんたがこの世界を壊すっていうのなら……俺はこの力を、愛と平和のために使う!
それが俺の信じた仮面ライダーだ!」
決意を新たにクローズマグマに変身しスタークを叩きのめす。しかし彼は去り際に「運命には逆らえない」という不穏な一言を告げて消えた。
- 第34話
仮面ライダーエボルに毒を打ち込まれた戦兎を助けるため、毒を消す取引条件のパンドラボックスと東都のフルボトル全てを渡すことを呑む。
取引の場で、エボルトから自分とエボルトの関係と葛城巧殺害冤罪事件の真相を聞かされ愕然とするが、それでも戦兎を救うために一海と共にエボルと対決。
一度は変身解除に追い込まれるも再度変身し、エボルと激しい戦いを繰り広げる中で遂に彼のハザードレベルが5.0に到達。それを見たエボルはクローズマグマと必殺技同士で真正面からぶつかり合い、大爆発とともに閃光が二人を包んだ。
光が収まった後、そこにエボルの姿はなく、龍我1人が静かに佇んでいる姿があった。龍我が勝ったのかと喜びかける一海や紗羽達だったが、その龍我が手をかざした途端、なんと戦兎の体内に盛られていた毒が消失した。
龍我は先程の戦闘の果てに、エボルトによって肉体を乗っ取られてしまっていたのだ。エボルトの声を発する龍我はエボルドライバーを装着し、ドラゴンエボルボトルとライダーエボルボトルの2つを装填。仮面ライダーエボル・ドラゴンフォーム(フェーズ2)への変身を完了する。
- 第36話
戦兎の作戦によってエボルトの支配から解放された。だが意識を取り戻した彼の隣にいた白髪の戦兎は、エボルトに身体を乗っ取られてしまった姿だった。
- 第37話
エボルトが分離した際、自らの体内にあったエボルトの遺伝子を全て吸収され、クローズへの変身能力を失ってしまった。その後はグリスとローグがエボルと戦うのを見守る事しかできなかったが、隙を突いてエボルからドラゴンエボルボトルを奪い取り、生身のままエボルに殴りかかるうちに自らの体内に新たなエボルトの(あるいはそれに似た)遺伝子を創造し、仮面ライダーグレートクローズへの変身能力を会得。エボルと互角以上の戦いを繰り広げ、その最中にクローズマグマへと変身しエボルを圧倒する。そしてグリスやローグと共にトリプルライダーキックをエボルに放つも、エボルが突き出したエボルトリガーにそのエネルギーを吸収され、エボルトの完全体への覚醒を許してしまう。それでも何とか戦兎を取り戻す事はできたが、目覚めた戦兎は桐生戦兎としての記憶を失い、葛城巧としての記憶が戻っていたのだった。
- 第38話
戦兎に葛城巧の記憶が戻ったことを理解した直後、脳裏にエボルトの記憶の断片がよぎり戸惑いを露わにする。その後は再変身の負担を覚悟で再度エボルに立ち向かうも、完全体となったエボルには太刀打ちできず撤退を余儀なくされた。
その後、エボルトを倒すため難波重工と一時的に手を組んだ幻徳に協力する形で難波重工によるエボルト抹殺作戦に参加。しかし難波重工の戦力はことごとく返り討ちに合い、援護に駆け付けた龍我もエボルの凄まじい戦闘力を前に変身を解除されてしまう。既に自身の一部としての遺伝子を奪い用済みとなった龍我を始末せんとするエボル。しかし寸前でヘルブロスに変身した鷲尾風に庇われ、龍我の代わりに彼が致命傷を負ってしまう。
「誰かのために戦うのも…悪くない……。…弟にも…、教えてあげよう……。」
この遺言を遺し、風は龍我の腕の中で消えた。
- 第39話
nasitaに撤退後、地球を滅ぼさずに支配しようと動きだしたエボルの行動に葛城が疑問を持った直後、再びエボルトの記憶の一部がよみがえり、その後の一海との特訓で「もし俺が暴走するようなことがあったら、その時は容赦なく俺を消してくれ」と、冗談と直後にはぐらかしつつ告げる。
そんな中、東都政府が内海率いる西都の軍勢の襲撃を受け、龍我は一海とともに迎撃に向かう。特訓のかいあってハードガーディアン数体を破壊するも、マッドローグにはかなわず、遅れてやってきた葛城も精神攻撃の前に苦戦を強いられる。ならばとジーニアスフルボトルを取り出す葛城だったが、なぜかボトルが起動せず、隙を突かれマッドローグに追い詰められてしまう。
しかしそこに龍我が割って入り、「気持ちが足りねえんだよ!!」と一喝。すでにまともに戦えぬ状態にもかかわらず、マッドローグに応戦しつつ龍我はこう続ける。
「誰かの力になりたい…誰かを守りたい!!…それが、あいつの戦う理由だ…」
「お前には、そんな気持ち、これっぽっちも、無えだろ!!」
「桐生戦兎はなぁ…正義のヒーローなんだよ!!」
なおもマッドローグと戦う龍我だったが、ドライバーの種類による力の差は歴然。ついに変身解除に追い込まれてしまう。そこに現れたのは記憶を取り戻した桐生戦兎その人であった。ジーニアスフルボトルを起動させ、戦兎はついに最強の姿であるジーニアスフォームへの変身を遂げる。
- 第40話
自分を苦しめたマッドローグすら瞬殺するジーニアスフォームの圧倒的な力に驚愕し、あらすじで戦兎に予言された通りに「マジ強え…マジ最強」と語彙力ゼロの感想を呟いた。
nascitaに戻った後、あんまりにもあんまりな幻徳の私服センスに戦兎たちとともにドン引きしていた。
一段落した後、エボルトに奪われた北都三羽ガラスのロストフルボトルを奪還しに行こうとする一海を止めようとするも、戦兎に「俺も一緒に行く」と言われ、ドラゴンスクラッシュゼリー(前述の通りオリジナルはすでに無いため複製と思われる)を一海に渡して立ち去った。
その後、北都の実家で父・葛城忍の遺品を確認していた戦兎がその中から偶然、礼香やガーディアンが写った写真を見つける。時系列の辻褄が合わないことを不審に思った戦兎は龍我に連絡し、龍我は紗羽共々、西都密航時以来久々に礼香と再会する。そこで彼女から思いもよらない事実を聞かされ、驚愕するのだった。
「戦兎の親父が…生きている…?」
- 第41話
エボルトの行動を振り返るシーンでエボル完全体にまつわる記憶のない戦兎にその強さを聞かれ、「マジ強え」「半端ねえ」と自分たちがやられるシーンとともに解説(?)していた(この時幻徳はなぜかマッドローグにやられた時の自分の写真をバックに「俺は負けてない!」とツッコミを入れている)。
- 第42話
マッドローグ率いるハードガーディアン軍団に対し、クローズマグマとなって、グリスと共に迎撃。最初はマッドローグとほぼ互角だったが、エボルブラックホールフォームの作り出したブラックホールを目にすると、突如、再びエボルトの記憶が頭に浮かぶのと同時に破壊衝動と戦闘衝動に駆られて暴走。まるでエボルのような高速移動とドス黒いエネルギーを纏った打撃で先ほどとは打って変わってマッドローグを圧倒し、彼が退却した後も、衝動が収まらず、すでに機能停止しているハードガーディアンに馬乗りになって執拗に攻撃した。
グリスの制止も聞かず、攻撃をやめなかったが、突如現れたとある人物によって力づくで制止させられた。
なお、この時の戦いでマッドローグから取り戻したドラゴンフルボトルが何故か青色から銀色に変化しており……?
- 第43話
戦兎の前に姿を現した忍に一海・幻徳とともに立ち向かうも歯が立たず、二人が戦線離脱した直後にまたも暴走。その力で忍が変身するビルドを圧倒し、そのままとどめを刺そうとするが、とっさに戦兎がジーニアスフォームに変身し止めにかかったことで吹き飛ばされ、重傷を負ってしまう。
なお、上記の暴走の原因について、前話でエボルトが自身の力を最大限に引き出したことで、龍我に宿るエボルトの遺伝子もシンクロして活性化した結果であることが忍の口から語られている。忍曰く、「スクラッシュドライバーを使っていた時とは比にならないほど戦いに飢えているはず」とのこと。同話のOPにもう変身していないはずのクローズチャージが登場していたのはこの伏線だった可能性が高い。
また、同時にこの世界のライダーシステムが忍とエボルトによる「新世界を創る」目的のための存在であることも明らかとなり、この事実は人類の未来のためにライダーシステムがあると信じてきた戦兎に大きなショックをもたらしてしまう。
その後、戦う理由を見失い、美空をCDロストスマッシュに変えられ元に戻す方法も見つからず、忍とロストスマッシュに追い詰められ絶体絶命となる戦兎の前に、重傷を押して駆けつける。
「造られたヒーロー…上等じゃねえかよ」
ロストスマッシュを戦兎に任せ忍のビルドと戦うも、やはり暴走。遺伝子の影響はさらに増大し、エボル完全体そっくりの疑似ブラックホールらしきものまで生み出し始めるが、戦兎のアイデアにより美空(ベルナージュ)もろともジーニアスフォームの一撃を受け、暴走を克服。戦兎とともに忍を退けることに成功する。この時、前話でボトルの色が変化したことが、ハザードレベル7.0に到達したことを意味することが判明した。
- 第44話
暴走の心配がもうないことを戦兎に調べてもらった矢先、一海と幻徳が北都のファウスト施設に向かったことを紗羽から伝えられ、戦兎とともに救出。nascita帰還後、強大なエボルトの力を前に焦る戦兎に促されつつブリザードナックルの変身のテスト使用を試みるも、強すぎる負荷により倒れてしまう。
どうにか復活し、幻徳が作ったパスタを食していた…のだが、このパスタ、美空や紗羽が口に入れたとたん悶絶、レシピを教えた一海によって幻徳がnascitaの外に締め出されてしまうほどの凄まじい出来だった。
その後、一人エボルトとの戦いに出向いた戦兎を紗羽が仕掛けた発信機を頼りに一海・幻徳とともに追いかけ、4人でエボルトと対峙。激戦の末、ブリザードナックルの負荷を受けつつも使いこなし、ブラックホールフォームの弱点を突いて弱体化させることに成功、戦兎がとどめを刺し、3本のロストフルボトルを残し、遂にエボルトは倒れた。
- 第45話
忍の真の目的を戦兎らとともに伝えられたが、何が何やらさっぱり理解できないまま成り行きでパンドラボックスを持ち運ぶ羽目になり困惑していた。
しかし内海に憑依していたエボルトが直後に忍を殺害、さらに黒いパンドラパネルを奪われてしまうが、どうにかパンドラボックスをnascitaに持ち込むことに成功する。
その後、東都に現れた大量のクローンスマッシュの迎撃に向かうが、怪人と化したエボルトにはなすすべなく一撃で吹き飛ばされてしまう。それでも戦兎らと合流し、4人がかりでエボルトを怪人態から戻すのに貢献した。
- 第46話
冒頭でハザードトリガーを用い、白いパンドラパネルを取り出してみせた(戦兎曰く、『エボルトの遺伝子を持つ龍我だからできたこと』らしい)。その存在意義、忍の行動の真の目的について続けて聞かされたが、やっぱりわけがわからず困惑している。その後のBBQでは焼き加減がわからないまま食べようとしており、一海から「こういうのは食べ時ってものがある」と静止されていた。
翌日、エボルトの要求通り戦兎らとともにパンドラタワー前に現れ、エボルトの指示通りタワーを登るが…。
- 第47話
一海が禁断の姿に変身した事実を知り愕然とする戦兎の態度からすべてを察し、思わず彼に詰め寄ってしまう。
エボルトを倒して世界を救う為、他に手の打ちようがなかったと分かっていても、今目の前で消えようとしている仲間を前に何もできない自分たちへの悔しさや怒りを、龍我は戦兎にぶつけるしかなかったのである。
その後どうにかタワーの頂上に到達するが、そこで一海の死を美空から聞かされ、誰よりも悔しさを露わにして泣き叫んでいた。
悲嘆に暮れる彼らの心を引き裂くかのように、惣一に擬態したエボルトが現れ…。
- 第48話
エボルトとの最終決戦が始まり、龍我もクローズマグマに変身し立ち向かう。苦戦を強いられるさなか、戦兎が落としたハザードトリガーを目にした彼の脳裏に、決戦前夜の戦兎の言葉がよみがえる。
「お前は何があっても最後まで生き残るんだ…。たとえ仲間を失っても」
新世界の扉を開くにはエボルトが持つ黒いパンドラパネルに、白いパンドラパネルを合体させる必要がある。それができるのはエボルトと同じ遺伝子を持つ龍我だけ。故に龍我は最後まで生き残らなければならないという。
エボルトを倒すため、世界を守るため、龍我はトリガーを使用。オーバーフロー+ボルケニックモードを発動してさらにハザードレベルを上昇させ、一時的にエボル完全体すら圧倒するほどの戦闘力を発揮する。
だが直後に戦兎がロストフルボトルを奪われてしまい、エボルトは怪人態へと変貌。月の一部を吸収しその力までも取り込んだエボルトに戦兎ともども一撃で変身を解除させられてしまう。
エボルトがついに地球を飲み込み始め、このまま万事休すかに思われたが、ここで先の戦いで瀕死の状態だった幻徳の捨て身の行動を目の当たりにし、彼の死を悲しみつつも奮起、再変身を遂げる。
直後、幻徳の最後の攻撃によりエボルトが行動不能となると、戦兎とともにエボルトの体内から取り出されたロストフルボトルを白いパンドラパネルに合体させ、パネルを起動させることに成功。
戦兎はエボルトを時空の裂け目に放り込もうとするが、そんな彼を龍我は止め、突如彼の変身を解除させて突き飛ばしてしまう。
愕然とする戦兎らに構わず、エボルトを捕らえ連れて行こうとする龍我。必死に止めようとする戦兎に、龍我は一言口にする。
「俺にも、エボルトの遺伝子が入っている。一緒に消えるなら、俺のほうが都合がいい」
「戦兎、ありがとな」
エボルトを抱えて飛び立ち、時空の裂け目へ一直線に飛んでゆく龍我。エボルトの必死の抵抗、そして戦兎の思いもむなしく、龍我はエボルトもろとも時空のはざまに消えてゆく。
主のいなくなったパンドラタワーの頂上に、戦兎の悲痛な叫びがこだました…。
- 最終話
龍我を救うべく、時空の狭間に飛び込んだ戦兎の前に現れたのは龍我を吸収しパワーアップしたエボルトだった。
戦兎をも吸収し再びエボルトリガーを復活させようとするエボルトにラビットラビットフォームで立ち向かう戦兎だったが、むなしく変身解除されてしまう。
エボルトがとどめを刺そうとした瞬間、彼の動きが止まる。それは吸収されてなお、エボルトと共に消滅し、戦兎を逃がそうとする龍我の最後の抵抗だった。
「なあ、戦兎。今どんな顔してるかわかるか? クシャッとしてんだよ…俺の顔…」
満身創痍の戦兎にかける言葉は、かつて戦兎が共に戦う覚悟を決めた龍我に語った言葉そのものだった。
「一度しか言わねえぞ。誰がなんと言おうと、お前は俺たちのヒーローだ。だから…生きてくれ。」
「最悪だ…お前のその顔…見たくなっちまったじゃねぇか…」
脳裏に浮かぶラブアンドピースのため戦ってきた仲間達の姿と、龍我の最後の抵抗によってエボルトから放出されたシルバードラゴンフルボトルと共に戦兎は再び立ち上がる。
「みんなが、桐生戦兎を……仮面ライダービルドを創ってくれたんだ!」
戦兎と龍我の思いから生まれた、奇跡のベストマッチな友情フォーム・ラビットドラゴンのボルテックアタックによってエボルトを撃破、遂に10年前の悲劇がなかった、エボルトのいない新しい世界を創ることに成功する。
新世界創造の衝撃で巻き起こる旋風の中必死に龍我を救うべく手を伸ばすも、新世界で戦兎を待っていたのは『10年前の悲劇がなかったことで、『仮面ライダービルド』が無かったことにされた、平和な世界』という皮肉な現実だった。即ち、誰も戦兎を知る者はいないのである(nascitaで働いていた顔をよく知る2人からは佐藤太郎であると勘違いされてしまった)。
本来であればこの世界に存在しない、イレギュラーな存在である「桐生戦兎」が存在しているため自分の中の葛城も消滅し、一人立ちつくす戦兎に聞きなじみのある声が聞こえる。
「万丈!?無事だったのか!!」
「……あんた誰だ?」
だがそれは万丈龍我でも、『平行世界で恋人の香澄と平和な日々を送る黒髪の格闘家の万丈龍我』だった。当然戦兎を知るはずもない龍我は彼を「格闘技のファン」と勘違い。
「生きててくれるだけで十分だ…」
そうつぶやいて、人知れず世界を救った英雄は孤独に去って行った…
物語の初めとは真逆になった世界、複雑な思いで一人座り込む戦兎。
その背中に、この世界では知られるはずのない名を呼ぶ声が掛けられる。
「戦兎!」
振り向く戦兎の目の前には、今度こそ戦兎が知っている『万丈龍我』が立っていた。体内にエボルトの遺伝子を持つ龍我も戦兎と同じく、イレギュラーな存在……『この世界に存在してはいけない人間』として生き残っていたのだ(同姓同名、同じ体で遺伝子が異なる人間が存在することになる)。
思いがけない再会に戦兎の顔はクシャッとなる。
「最高だ!」
こうして、二人は自分達の戦いの日々を記録し伝えていくために、出会った頃と同じように、馬鹿騒ぎしながらバイクで走り去っていくのだった。
『仮面ライダージオウ』での活躍
- EP01「キングダム2068」
2017年11月30日の龍我が登場。
スカイウォールが存在する世界線に生きており、本編通り仮面ライダークローズとしてスマッシュと戦っている。
ちなみに本編の2017年11月30日はビルド第13話(スタークの正体が判明する回)の3日前。
ストロングスマッシュ(色が黒いのでハザード?)を倒して常磐ソウゴを助け出した後、戦兎と共に彼をnascitaに案内し、彼が未来からやってきた人物と知る。
その直後、ソウゴを追いかけてnascitaにやって来たツクヨミによって「(ソウゴに)必要以上に過去に干渉させる訳にはいかない」という理由から戦兎共々ファイズフォンⅩで撃たれて意識を失ってしまった。
- EP02「ベストマッチ2017」
2017年のアナザービルドの誕生により、戦兎(の姿をした葛城巧)共々仮面ライダーとしての記憶を1年ほど失い、何故か2人揃ってツナ義ーズのファンになっていた。(nascitaもツナ義ーズグッズに溢れたツナ義ーズファンカフェになっていた。)
しかし、同時刻に仮面ライダーゲイツによってアナザービルドが一度倒されたためライダーとしての記憶を取り戻し、2017年での戦いのために戦兎と共にビルドライドウォッチとクローズライドウォッチをソウゴに託した。
その後、2017年の世界では戦兎と共にアナザービルドと戦うが、アナザービルドの影響で変身が維持できなくなり、ソウゴと明光院ゲイツが現れた後に変身が解除されてしまった。
アナザービルド撃破後は再びライダーとしての記憶を失ってしまうが、ソウゴは戦兎と龍我がいずれ再びライダーになる事を信じ、ブランクウォッチを2人に託すのだった。
ちなみに龍我が戦兎のはずの相棒を「巧」と呼んでいること、「アナザービルド誕生(2017年)」→「戦兎と龍我がアナザービルドと交戦(2017年)」→「ソウゴが生きている2018年」が同じ世界線で、スカイウォールの惨劇やエボルトの野望がなかったことになっているような描き方がされていることから、この龍我はエボルトによる寄生を免れている可能性がある。
そうなると佐藤太郎顔の巧のインパクトに隠れてはいるが、こちらも姿が変わらないのは大人の事情…もとい、第3のルールが適用されているためであり、本来の姿はビルド最終回に登場した黒髪万丈龍我なのかもしれない。
その他、劇場版等での活躍
こちらでは戦兎ともども本編終了後、新世界の2018年12月3日の彼が登場。
ソウゴから「おこがましい未来人の…」と声をかけられたものの、分かっていないにもかかわらず話を合わせていた様子から、『ジオウ』EP01、EP02での一件の記憶はない様子。ややこしいが、本作に登場するのは『ビルド』本編の時間軸の延長線上にいる龍我であり、アナザービルドが誕生したことにより『ビルド』本編から分岐した時間軸の龍我(すなわち前述の『ジオウ』EP01、EP02に登場した龍我)とは別個の存在だと思われる。
なぜ戦兎と同じくライダーとしての記憶が最後まで消えなかったのかは不明だが、「世界の融合という特殊かつ不可逆的な出来事の際、彼と戦兎だけが元の世界からそのまま新世界に移ったため、歴史改変の影響を受けない存在、すなわち『電王』における特異点のような存在になってしまった」という可能性が考えられる。ただし、二人とも一度は消滅しているので、完全なものではないことが窺える。
本作では戦兎、そしてソウゴとともに、謎の少年・久永シンゴを守るべく奮闘するが…。
『仮面ライダークローズ』
舞台が新世界に移る本作では主役を務める。…が、あらすじ紹介の時点で例によって戦兎に筋肉バカ呼ばわりされ、代わりの呼び名を考えた末「プロテインの貴公子」を名乗りだす珍妙なネーミングセンスを披露した(よほど気に入ったらしく以降も度々使っているが、まるで相手にしてもらえていない)。
戦兎ともどもとある工場を家代わりに生活しており、顔が佐藤太郎そのものである戦兎に比べて活動しやすいためか、戦兎の発明品を売りに出す役目を担っているらしい。
そんなある日、いつもの通り発明品を売りに出していると、なぜかそれらに見覚えがあるらしい女性・馬渕由衣が現れ…。
なお、両親は事故で死んだのではなく、エボルトによって始末されていたことが明らかとなった。
『仮面ライダーグリス』
本作にも引き続き登場。
突如テロ組織・ダウンフォールの襲撃を受け、戦兎ともども変身能力を奪われてしまう。その後は戦兎とともにある人物のもとを訪ねる。そこにいたのは、自身と浅からぬ因縁を持つ意外な人物で…。
その後、彼の助力により無事変身能力を取り戻し、ダウンフォールとの決戦に参戦、一海に戦兎の開発したグリス強化アイテムを届けた。
余談
演じる赤楚氏は『仮面ライダーアマゾンズ season2』に登場する長瀬裕樹を演じていた。
長瀬は様々な人物から追われる主人公の千翼が逃げるのを助けようとした役どころだが、今作では一転して彼が追われる立場となる。
上記の理由からかアマゾンズ視聴者から「アマゾンズの世界から脱獄」と言われてしまい「ニチアサの世界に来たのにハードでシリアスな目に遭ってて可哀そうだ」等と同情されている(むしろ龍我は上記の通り長瀬よりもハードな目に遭っている)。
なお、アマゾンズにも高額な金を払ってでも助けたかった女性が怪人化した挙句、自身の手で殺害する羽目になった人物が登場する。
ちなみに万丈が脱獄したのはエリアC4の刑務所。アマゾンズseason2に登場する対アマゾンの国家機関が通称4C、前後を入れ替えただけ。狙ったのか偶然なのかは定かでない。
アマゾンズでは天然と養殖と呼ばれるライダーが登場するが、本作でも20話にてブラッドスタークに龍我は天然もの、戦兎は養殖ものの強さを持つとも言われた。
これ以外にも中の人ネタを度々公式がいじっており、仮面ライダーバトルラッシュのアマゾンズイベント『Fusion_of_Threats』ではアマゾンズ特有の暗い彩度のメインビジュアルに自然とクローズが溶け込むどころか、イユと一緒にガシャにピックアップされるなど破格の待遇を受けていた。ちなみに千翼ォ!はエネミーキャラクターとして登場する。
また、アマゾンズで千翼役だった前嶋氏からは作中の用語を捩って「溶岩性単細胞」なる愛称を付けられている。
たびたび飛び出す「バカな」発言には、赤楚氏のアドリブで考案されたものもいくつか存在している。
第24話で一海が「このエビフライ頭」(万丈の髪の結い方がエビフライっぽい)という罵倒を考えた際には、赤楚氏が「エビフライのどこが悪りぃんだよ?」という見事な返しを考えついたことで、採用になったと言われている。
更に第49話で飛び出した「あっちにめっちゃ涼しかった場所あるから。めっちゃ涼しいよ」というあまりにもボキャ貧らしいアドリブは、あまりのIQの低さに「自分にはあんな台詞は書けない」と武藤将吾氏が悔しがるほど。(なお、赤楚氏曰く何テイクか録った末「もう言うことねーよ!」っていう苦しいタイミングで捻り出した一言だったとのこと)
また、おバカキャラでネタにされがちの万丈だが、演じる赤楚氏もタメを張れるレベルの天然であり、エピソードも下手したら戦兎役の犬飼氏の伝説よりも多い(詳しくはこちら)。
第29話~のOPにて戦兎・美空・紗羽・一海と一緒にnascitaのロゴをカメラに向けるシーンがあるのだが、彼の持っている一文字目のAが逆さに持ってるせいで∀になっていた。
味方側に属する主要キャラのなかで唯一、ほとんどの場面において「万丈」と名字で呼ばれる。紗羽や美空といった女性キャラも彼を「万丈」と名字呼び捨てにしており、劇中で「龍我」と名前呼びしたことがあるのは亡き恋人の香澄と一海しかいない。公式ページのあらすじ紹介などでは「龍我」と表現されることもあるが、次回予告映像のテロップでは「万丈」となっている。
第46話での最後の晩餐では、全員ジュースを飲む中万丈のコップだけお茶であった。その理由は万丈演じる赤楚氏がジュースに含まれる成分のアレルギーを持っていたためである。のちのバラエティ番組で果実全般ほか多数のアレルギーがあることが明かされた。
ベルナージュのことについて考察するシーンで、戦兎との人形のやり取りの最中「俺に告白してる?」「してねえよ!」というやり取りがあったが、後年戦兎と龍我の演者は揃ってガチでBLものに出演することになった。
彼が劇中でずっと着用しているスカジャンは戦兎のトレンチコートとは違い、特注ではなく市販品であるためプレミアムバンダイで商品化されておらず「万丈龍我 スカジャン」等と検索するとすぐにヒットする。一方1話でゴミ捨て場で回収したダメージシャツや、龍があしらわれたシャツはアパレルコラボ品であり、プレミアムバンダイから購入可能だった。
また、昨今の東映作品では前者のスカジャンが使われることが多く、5年後に放映された『仮面ライダーリバイス』第9話では過去にカジキイエローを演じた榊原徹士氏が演じる詐欺グループのメンバーが、『グッドモーニング、眠れる獅子』では過去に仮面ライダーディケイドを演じた井上正大氏が演じるグリムリーパーの幹部・平賀ユウが着用している。
『仮面ライダーゼロワン』の世界では彼をモチーフとしたアニメ『波乱バンジョー』が放映されている様子。よく見るとウサギのマスコットが描かれている。
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