概要
物語序盤から登場するビルドが使うフルボトルとは別の特殊なフルボトル。
パンドラボックス由来のフルボトルを基に作られた人工のフルボトルであり、フルボトルとは異なり茶色のキャップ部と紫のクリア素材で構成され、成分を表すエングレーブは銀色になっている。ちなみに作中では主に略して「ロストボトル」と呼ばれている。
人工物なので、当然ながらパンドラボックスを開閉する力はなく、作中ではトランスチームシステムを用いたナイトローグ、ブラッドスタークといったファウストの兵器への変身や必殺技発動などに使用されていた他、後に北都三羽ガラスがハードスマッシュ、及びその強化系のハザードスマッシュへの変身にも使用している。
通常のフルボトルのように変身に使用できるだけでなく、使用者をより好戦的にするという性質があり、それ故に「悪魔のフルボトル」とも呼称されている。
ロストフルボトルは、物語序盤から中盤では主に敵側のアイテムとして利用され、三羽ガラスの使っていたボトルはドッグタグと並んで形見として長らく猿渡一海が所持していた。しかし、特にそれ以外にスポットがあたる事はなかったのだが、終盤において完全体になったエボルトがこのボトルを何故か突然集め始め、やがてこのボトルには単なる兵器とは全く異なるある重要な力と目的が秘められていた事が明らかになる。
また、このボトルは他のファウスト関連の兵器やアイテムと異なり、葛城巧が作ったものではなく、彼の父親の葛城忍が開発して残していたものである事も明らかとなる。
ちなみに「ロストフルボトル」という名称自体は物語終盤に判明したもので、それまでは「バットフルボトル」「コブラフルボトル」と通常のフルボトルと区別せず呼称されていた。ただし、分類上では通常のフルボトルとは分けて紹介されていた。
ロストフルボトル一覧
有機物
マーク | 名称 | 初登場 | 成分 | 変身後 |
---|---|---|---|---|
B | バットフルボトル※ | 第7話 | 蝙蝠 | ナイトローグ |
C | コブラフルボトル | 第10話 | コブラ | ブラッドスターク |
K | クワガタフルボトル | 第17話 | クワガタ |
|
F | フクロウフルボトル | 第17話 | フクロウ |
|
S | シマウマフルボトル | 第38話 | シマウマ |
※フルボトルを基に作られたものなので成分が幾つか被っている。
無機物
マーク | 名称 | 初登場 | 成分 | 変身後 |
---|---|---|---|---|
C | キャッスルフルボトル | 第17話 | 城 |
|
H | ハサミフルボトル | 第38話 | ハサミ | |
C | CDフルボトル | 第43話 | CD | CDロストスマッシュ |
H | ハンマーフルボトル | 第44話 | ハンマー | |
S | スパナフルボトル | 第44話 | スパナ |
以下ネタバレ注意
ブラックロストフルボトル
ロストフルボトルをエボルトが生成した黒いパンドラパネルに装填する事で、ロストフルボトルはブラックロストフルボトルと呼ばれるものに変化する。
バット・コブラ・シマウマ・ハサミの4本は、パンドラパネルに装填された時点で変化しているが、それ以外は高濃度のネビュラガスを注入した人間の身体に取り込ませ、そこから倒されて排出された漆黒に染まった状態のロストフルボトルを装填する必要がある(上記した4本のみ最初から変化させられた理由は、後述するにVシネにて明かされている)。
そして、全10本のロストフルボトルをブラックロストフルボトルに変え、その全てを黒いパンドラパネルに装填すると、既知の物理法則を超える現象が起こるとされている。
龍我「マジやべぇ事が起きるってことか…」
エボルトとロストフルボトルの開発者である葛城忍の目的は、この既知の物理法則を超える現象を引き起こす力そのものであり、エボルトと忍は10年前のスカイウォールの惨劇の後にこの現象を発見した。そしてその研究の為、エボルトは忍と接触した直後からファウストのアジトに現れるまでの数年間行方をくらまし、忍も自殺を偽装して家族の前から姿を消す事となった。
この現象の正体とはワームホールであり、それを自在に再現できるようになる事で惑星間移動や恒星間移動をも一瞬で行えるようになる。エボルトの狙いはこの力を手に入れてより多くの星を滅ぼす事であり、エボルトが10年もの間地球に潜伏していた事や、突然地球の破壊ではなく支配に興味を示したのも、全てこの力を手に入れる為の時間稼ぎの口実だった。
ちなみにこの力の事は、エボルトと共に地球に侵入したブラッド族の3人も知らされてはおらず、エボルトの目的は彼が独占する為に完全に忍との2人だけで秘匿されていた。
そして、このブラックロストフルボトルを完成させる為に、忍はロストフルボトルを使ったスマッシュの最終形であるロストスマッシュを開発。エボルトは「人間を最強のスマッシュにして殺し合いを楽しむ為」と偽って、内海成彰にロストスマッシュの生産を急がせる。
しかし、高濃度ネビュラガスを投与する必要があるロストスマッシュは、適応する人間は極僅かであり、それ故にその基準値を満たしている仮面ライダーをロストスマッシュにするべく、終盤のエボルト達は彼等の身柄確保に向かって動く事となった。
第45話では、一度全てのボトルが揃ってエボルトは怪人態となったが、ハザードトリガーを使用したジーニアスフォームの必殺技を受けた事で、既に黒化していたキャッスル・ハンマーが通常のロストフルボトルに浄化されている。
さらに第46話以降は、忍の本当の目的が明らかにされた。
実はこの10本のブラックロストフルボトルと、黒と白のパンドラパネルとパンドラボックス、さらにエボルトの力、そして戦兎と巧の作ったジーニアスフルボトルを使う事で、スカイウォールやパンドラボックスが存在しない並行世界にアクセスし、ワームホールを通じて特異点を発生させる事で両世界を融合し、エボルトが存在しない新世界を創造する事が可能である。
これこそが、忍の本当人類救済計画であり、即ちロストフルボトルは人類を救済する為の鍵となるアイテムの一つだったのである。この計画の為に忍は多くの犠牲を出しながらもロストフルボトルを完成させ、10年間もエボルトを完全体にするべく協力していたのである。
そして、最終決戦では戦兎達の尽力でこの計画は完成し、ブラックロストフルボトルは新世界の創造の為に使われ、エボルトは消滅して人類は救済される事になった。
ブラックロストフルボトル一覧
公式での個々の名称としては、変化前が「○○フルボトル(○○ロストフルボトル)」、変化後が「○○ロストフルボトル」となっている。
有機物
マーク | 名称 | 初登場 | 変身後 |
---|---|---|---|
B | バットロストフルボトル | 第38話 | |
C | コブラロストフルボトル | 第38話 | 仮面ライダーブラッド |
K | クワガタロストフルボトル | 第41話 | |
F | フクロウロストフルボトル | 第41話 | |
S | シマウマロストフルボトル | 第38話 | ゼブラロストスマッシュ |
無機物
マーク | 名称 | 初登場 | 変身後 |
---|---|---|---|
C | キャッスルロストフルボトル | 第45話 | |
H | ハサミロストフルボトル | 第38話 | シザーズロストスマッシュ |
C | CDロストフルボトル | 第45話 | |
H | ハンマーロストフルボトル | 第45話 | |
S | スパナロストフルボトル | 第45話 |
立体物
2017年10月14日に発売された「変身煙銃 DXトランスチームガン」にバットフルボトル、「バルブ回転 DXスチームブレード」にコブラフルボトルが付属。
以降、SG・GPフルボトルでフクロウ・キャッスル・シマウマ・クワガタ・ハンマーフルボトルが登場している。CDフルボトルは【パンドラボックス型CDボックスセット】に付属された。
ハサミ・スパナフルボトルは未発売であったが、放送から5年となる2022年9月、DX未商品化アイテム商品化プロジェクトの一環として、カイザー版ギアやタンクメタルボトルなどと合わせて、「フルボトル FINALセット」として(キルバスパイダーと同時に)商品化が果たされた。
放送終了後、プレミアムバンダイ限定でブラックロストフルボトル全10本と、ラストパンドラパネルブラック/ホワイトのセットが販売された。
余談
ちなみにロストフルボトルの中には、TV本編では登場せずにお蔵入りになったものも存在している事が有志の解析によって判明している。一つ目は「カンガルーフルボトル」で、ネビュラスチームガンでロストマッチの音が鳴るのだが、何故かゲームフルボトルとベストマッチしエグゼイドの変身音が鳴ってしまう。十中八九バグだと思われこれが原因のお蔵入りではないかと言われている(公式から明言されてはおらずファンの推測ではあるが)。
二つ目は「恐竜フルボトル」で、こちらもネビュラスチームガンでロストマッチの音が鳴る事に加えて、ベストマッチにF1ザウルスフォームとダイナソーフォームの音声が確認されているが、何故かお蔵入りとなった。F1の商標の問題ではないかと言われているが、こちらも公式から明言されてはいないので理由は不明である。
関連タグ
ロストドライバー:名前に「ロスト」が含まれるアイテム繋がり。
ロストメモリー:三年後に登場したアイテム…ではなく主人公の執筆している小説のタイトル
Vシネマ『ビルドNEW_WORLD』で明かされた真実
本編の後日談を描いたVシネマ『ビルドNEW_WORLD 仮面ライダークローズ』にて、ロストフルボトルは元々は実験の過程で偶発的に生まれた産物である事が判明した。
即ち、最初に完成したバット、コブラ、ハサミ、シマウマの4本のロストフルボトルについては、元々は新世界創造の為に作られたボトルではなかったのである。
この4本については、偶発的に完成して以降は研究の為に人体実験が実施されており、特に人間が無理矢理変身させられたスマッシュに対して行なわれた性能テストは、被験者が死亡する事も珍しくない凄惨を極めるものだったという。TV本編でもこの4本のロストフルボトルのみ、最初からブラックロストフルボトルに変化させられたのもこの為である。
なお、そういった経緯もあってか上記の4本は特に大きな力を持っていたらしく、本編ではバットとコブラの2本がファウストのトランスチームシステムの使用に利用されていた他、劇場版でもコブラ、ハサミ、シマウマの3本を、ブラッド族の面々がエボルトから渡されて変身に使用される等、作中でも他のボトルとは異なる特異な使われ方をしている。
また、新世界創造によるスカイウォールの惨劇以降の記憶等のリセットは、10本のロストフルボトルの力で行われるシステムであったらしく、当然ながら様々な実験の影響も全てリセットされる筈だったのだが、上記した通りこの4本のボトルは元々新世界創造を想定して作られたものではなかった為に、旧世界にてこれら4本のボトルで変身させられた被験者には、新世界でもなお記憶や傷跡といった一部の影響が残ったままであった。
負傷に関しては後にこの事を知った戦兎により、ジーニアスフルボトルで普通の生活が可能な所まで治療された。
そして、キルバスによるパンドラボックス復元に伴って被験者達の記憶が戻り、これが新世界において思いもよらぬ事態を招く事となる。