「俺はアマゾンになる前から、自分で殺した物しか喰わない」
「何も傷つけず自分の手も穢さない。優しい生き方だけどなぁ…なーんの役にも立たないんだなぁ…」
「生きるっていうのは、他の誰かの命を喰らうってことだ!」
演:谷口賢志
変身する仮面ライダー
概要
『仮面ライダーアマゾンズ』の主人公の1人で、仮面ライダーアマゾンアルファに変身する壮年の男性。38歳。
かつては野座間製薬特殊研究開発本部に所属していた細胞生物学者で、アマゾン細胞の開発にも深く携わっていた。
そのため、アマゾンの危険性をかなり早い段階から認識していたようで、実用化に際して反対していたことが語られている。
裏表が全くない“豪放磊落”をそのまま人間化したかのような野性味溢れる性格の持ち主であるが、彼のパートナーである泉七羽を前にした途端に甘えん坊な人間に変貌してしまう。
また、自身が手に掛けたものしか食さないという信条の持ち主であり、自身の住み家には畑(家庭菜園)や鶏の飼育小屋が完備されている。なおこれはアマゾンになる前、生物科学者であった頃からの信条である模様。
但し、野座間製薬に捕まった時には出された食事をあっさり食べており、流石に監禁時など命が危ない時は例外の様子。
彼もまたアマゾンではあるが、他のアマゾン達とは違いアマゾン細胞が成長した人工生命体ではなく、人間にアマゾン細胞を移植した存在である。
そのためなのかアマゾンズレジスターで本能が制御されていないにもかかわらず、食人衝動に駆られる事なく人間としての理性を保っているという稀有な存在である。
しかし、アマゾンの感知能力については純粋なアマゾンに対して大きく劣ってしまうため、アマゾンの情報を集めるために、七羽に頼んで野座間製薬の情報を窃取させていた。
アマゾンの誕生に関与してしまった責任感からアマゾンを狩り尽くすことを自らの使命と語っているが、優先する対象は本能のままに食人行為を行うアマゾンであって、未だ理性を保ち食人行為を行っていないアマゾンは積極的には襲おうとしない。
また、彼が狩ろうとしているのはあくまでアマゾンだけであり、たとえ相手が殺人犯であろうと人は決して殺さないなど明確な線引きを行っている。
season1
全てのアマゾンを狩り尽くすと豪胆しているだけはあり、高ランクのアマゾンを一方的にあしらえるほどの実力を持つ。彼の生き方は水澤悠/仮面ライダーアマゾンオメガの生き方に大きな影響を与えた。
「お前ら全部殺さないと、俺もゆっくり死ねないんだよ…」
「殺したもん喰って何が悪い!」
終盤――とある海岸で、トラロックを生き延びた1000体ものアマゾンたちを1匹残らず狩るべく、未覚醒のアマゾン達を守るために立ち塞がったアマゾンオメガと激突する。
この時の仁はトラロックのガスの影響で顔の半分以上が惨たらしく溶け爛れてしまっているほか、抉り出したアマゾンの心臓を食して悠を挑発する、アマゾンオメガとの戦闘中に未覚醒のアマゾンに標的を切り替えて容赦なく殺害していくなどもはやなりふり構わぬ戦い方をしており、その姿は未覚醒のアマゾンたちや悠から見れば罪なき者を一方的に殺していく虐殺者そのものだった。
しかし、アマゾンオメガとは互角の戦いを繰り広げたものの決着は付かず、悠に対して
「最後の1匹を殺すまで、俺は何度でも狩りに来る」「人間を守るために」 と告げ、海岸から立ち去った。
そして、重傷で倒れた後、彼の意図を察して戻ってきた七羽に発見され、彼女に優しく介抱されるのだった。
「七羽さんはなんでもお見通しだ・・・」
season2
「探したよ・・・。お前が千翼だな・・・」
千翼「?」
season1最終話の後も、何度か悠たちと交戦を繰り返していたようだが、ある時を境に姿を見せなくなり、以降生死不明となっていた。黒崎や札森は存在を都市伝説のようなものだと思っていたほど。
だが、Episode7でついに姿を現し、生存が確認された。
その両目は白く濁っており(アマゾンアルファの複眼も同様)、視力が大幅に低下している。
戦闘スタイルも、悠が5年間の間にかつての自身のような理性的な格闘技術を用いるようになったのに対し、音や触覚で敵の位置を察知し、自身の負傷も顧みずに徹底的に叩き潰す、獣のような戦い方に変化していた。
視力こそ失ったものの、手負いの獣と言うべき荒々しい強さは周囲にいた者が絶句するほど。
そんな彼に対して千翼が告げた台詞は・・・。
千翼「父さん・・・?」
そう、彼こそが千翼の父親であり、千翼は彼と七羽の間に誕生した実の息子だったのだ。
Episode8で、season1最終話の後もアマゾン狩りを続け、悠と何度も交戦していたことが判明。
しかし、トラロックの影響で既に彼の肉体は朽ちており、アマゾンを狩り続けているうちに精神すらも狂い始めていた彼はある時、付き添っていた七羽を本能のままに押し倒してしまう。
その後、七羽の必死の介護によって回復し、精神も正気に戻り無事に復活。しかし、そんな彼の目に飛び込んできたのは、お腹に新たな命を宿した七羽の姿だった(自身の子供だとわかった途端に動揺を全く隠せずにいたため、上述の正気を失っていた時期に宿らせてしまった命であることは確かである)。
そんな状態の彼女を連れ歩くわけにはいかず、大学時代の恩師である星埜始の元に彼女を預けるも……その際に赤ん坊の体内にアマゾン細胞が含まれていることが判明。
赤ん坊が生まれ次第殺すことを決意した仁だったが、彼の行動を予期していた七羽は、単独でアマゾン狩りに向かっている間に生まれた赤ん坊を連れて姿を消してしまう。既に赤ん坊を殺す決意を固めていた彼は、彼を止めようとする始の説得を聞き入れようとはせず(この時、激怒した仁が始を突き飛ばした拍子に割れたガラス管から漏れた溶原性細胞が始の指の傷口から感染し、後にハゲタカアマゾンに変貌してしまう)、いなくなった七羽と赤ん坊を探す中で再び悠と遭遇する。
七羽が生まれた赤ん坊に千翼と名付けたこと、人間とアマゾンが共存し合うための研究に始が協力してくれている事などを告げて説得しようとする悠だったが、それでも仁は人間とアマゾンが共存できる可能性を、
「すぐ目の前の物事に流される・・・。お前の癖だな。俺よりも人間らしい」
「無理だ。それは俺が一番わかってる・・・・・・!」
と否定し、アルファの姿に変身してオメガと交戦。激闘の末にオメガの腹部を貫手で貫いたが、直後にアルファの顔面にアームカッターを食い込ませたオメガによって両眼を切り裂かれ、視力を失った。
しかし、それでもアマゾン狩りをやめようとはしておらず、研ぎ澄まされた聴覚と嗅覚を頼りに七羽と千翼の行方を追い続けていた仁は、ついに千翼と対面した。
「千翼・・・。お前を殺しにきた」
クラゲアマゾンとなった七羽を、重傷を負いながらも旧駆除班との共闘の末に殺害。
死の間際に七羽から感謝を告げられると共に圧裂弾の余波から庇われ、生き延びる。
その後、彼女が残した壁画の意味を全て理解すると、自らの手で決着をつけるべく千翼の前に現れる。
全ての責任は千翼ではなく自分にあることを告げ、全てを受け入れてなお最期まで生きるために戦うことを選んだ千翼に七羽の面影を感じながら、悠と共に千翼と交戦、殺害した。
全てを終えても死ぬことは叶わず、家族の元へ逝かせてくれないとかつてのように七羽に対して不平を言いながら、どこへともなく去って行った……。
「俺は連れて行かないとか、キツいのは相変わらずだなぁ……な~な~は~さ~ん♪」
アマゾン細胞の開発に関わったことを悔い、自らアマゾン化してまで贖罪しようとした結果、意図していたわけではないにせよ、シーズン2における数々の悲劇の根源に直接・間接問わず関わり、大切に想っていた者さえ自らの手にかけた挙句、「死」という一つの救済さえ与えられず生き続けるという過酷な末路を辿った。
シーズン2の最後の登場シーンでは、それまでたどたどしかった歩行が通常に戻っており、この期に及んで視力が回復したようにも思える描写を見せている。
『仮面ライダーアマゾンズTHE MOVIE 最後ノ審判』
悠と共に続投。
髪がseason2よりもさらに伸びており、奇しくも山本大介を彷彿させる長髪になっている。
また、予告編に映ったアルファの複眼が緑目に戻っていたことから、恐らく仁の視力もseason2最終話から徐々に回復していったと思われる。
切子聖園礼拝堂の最奥部に捕えられており、食肉用アマゾンを培養するための細胞のオリジナルとして、飼い殺しになっていた。
終盤、「施し」を求めるハイチによって解放され、悠を一蹴しアマゾン達を抹殺していた御堂英之助/仮面ライダーアマゾンネオアルファとの対決に発展する。
当初、御堂は
ネオアルファ「お前がアマゾンを狩るのは、人間を守るためだと言ってたな。ならアンタは人を殺せない・・・。俺を殺せねえだろォッ!どうだ、鷹山さん!?」
と、高を括っていたが・・・。
ネオアルファ「!!? ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!? ウアアアアアアアアアアアアアア―――ッ!!」
「言ったろ・・・。お前は、アマゾンの匂いがする・・・。これが、鷹山さんだァ!」
仁にとってアマゾン細胞を持つ御堂は人間ではなく、駆除の対象たる「アマゾン」であり、一瞬の隙を突いて彼の右腕をネオアルファスイーパーごと切断し、背後から胸部を貫いて殺害した。
そのまま切子聖園のアマゾン達を皆殺しにすべく動き出すが、そこに血塗れの悠が追い付いてくる。
悠「人を殺したんですか……? あなたはッ!! 人を殺したんですかァッ!?」
仁がアマゾンを殺すのは「人を守るため」。彼はアマゾンと人を絶対的に切り分け、だから第一期で凶悪犯の人間を殺そうとした悠を制した。
だが、御堂はアマゾンの能力を持つ「人間」。―――仁はこの時、自らが定めた絶対のラインを自ら踏み破ってしまっていた。
そして、それは悠も同じだった。
ネオアルファの攻撃で致命傷を負っていたはずの彼がどうしてここまで来られたのかと訝しむ仁だが、すぐにその理由に思い至る。
「・・・そういうお前こそ・・・喰ったのか・・・?お互い無様なモンだなァ・・・」
悠は共にいたアマゾンの少女・ムクの最期の願いを聞き届け、彼女の肉を食らって己を癒していた。
お互いがお互いの譲れないものを手放しての無様な対峙だった。
悠「あなたはもう…人を守るなんてどうだっていいんだ! あるのは…アマゾンに対する執念だけ!」
仁「そんなモン最初からだ!! お前が守る守るって唱えてんのだって…似たようなもんだろ」
悠「違うッ!! 僕は本当に、みんなを守りたい…!」
仁「俺が生きてる限り…お前が護りたいモノは俺が潰す。いいか……絶対だ」
そして、
悠「ウウウウアアアアアアアア!!!!!ハァ・・・!アァァァァマァァァァゾォォォォォォンッ!! ウオオオアアアアアア―――ッ!!」
「・・・アマゾン・・・!!」
レジスターを引き剥がし、オメガに変身した悠を、自身もアルファに変身して迎え撃つ。
「迷ってんじゃねェぞ悠ァ!!俺がいる限り・・・アマゾンは生まれ続けるッ!!」
アマゾンオメガ「まさか・・・ッ!」
「生き残るのはどっちか一人だァッ!」
アマゾンオメガ「仁さん・・・ッ!」
「選べェッ・・・。俺かァ、それともお前かァッ!!」
アマゾンオメガ「・・・終わりにしましょう・・・!」
行き着くところまで行き着いた、アマゾン2体の血みどろの殺し合いの末、オメガの一撃で体を貫かれ、敗北。
変身解除された仁はそのまま坂の下まで転がり落ち、眠るように横たわる。
「七羽さん・・・。これで、よかったんだよな・・・?寒くなってきた・・・。やっと言える・・・。『ただいま』・・・」
七羽『おかえり』
幻影となった七羽に看取られながら息絶え、その苛烈な闘いの日々に幕を下ろした……。
ちなみに、この時の仁は、虜囚の状態から解放された直後で、恐らく生存できるぎりぎりの栄養状態、つまりコンディションが最悪の状態で悠と対峙していた。
この状態で御堂英之助/仮面ライダーアマゾンネオアルファを殺害し、オメガと互角の激突を演じた辺りにとんでもなさが窺える。
余談
- ネオアルファを倒した一連のシーンは「これが鷹山さんだ」というセリフから「鷹山サンダー」という通称で呼ばれることがあり、谷口氏も名言の一つに挙げている。あと、間違ってもプロレス技ではない。
- season2の展開を見るに(アマゾン化した人間はともかく)皮肉にも人を殺さないという明確な線引きのせいで却って事態を悪化させてしまったのではないかと考察するファンもいる。事実、アマゾンを全て駆逐した所で野座間製薬がアマゾン細胞を使った計画を今後も実行する可能性があるからであり、母体が細胞に感染している事を見越して七羽を身籠った子供ごと狩っておけば、season2の惨劇が起こらなかった可能性が高い。人を殺さないという線引きはこの世界においてはあまりにも甘すぎる考えだったのである。
- また、この線引きから野座間製薬の上層部は自分達に決して手を出さない鷹山をあえて見逃していたと思われ実際は『実験の失敗作を駆除するための製薬上層部の私兵』も同然だったのである。
- その為「最強のヒモ」と揶揄されていた鷹山は最初から最後まで『野座間製薬のヒモ』だったのである。
- ちなみに元ネタである十面鬼も仮面ライダーSPIRITSにて魂の無い再生怪人として復活しており、この事から野座間製薬と鷹山の関係性はSPIRITSにおける大首領と十面鬼の関係のリメイク(魂の無い抜け殻ではなく自分の意思こそあるが結局は下僕同然)とも言える。
- 演者の谷口氏は、後に仮面ライダーセイバーでバハト役を演じる事となる。
関連タグ
もう一人の主人公 悲劇のヒーロー ダークヒーロー 善悪両方キャラ
仁七:カップリングタグ
レッドマン:演者である谷口氏は似ているという意見に共感を示している。