「俺の剣(つるぎ)をしゃぶりな‼」
概要
『風都探偵』第二エピソード「最悪のm」編に登場するドーパント。身長205cm。
古生代に生息していた約70cmの巨大トンボ「メガネウラ」の力を宿す。巨大な複眼を持ち、背中にいくつもの巨大な翅と尻尾を生やした如何にも「トンボ怪人」然とした外見で、右腕が幼虫のヤゴを模しているのも特徴。
アニメ版では赤い体色に橙色の複眼でカラーリングされており、筋脚と射出するトゲは緑色になっているなど全体的に生理的嫌悪感を抱かせる色合いとなっている。ただ、生物感が強かった漫画版と比べるとメカニカルなデザインにリファインされている。
人気ゲームアイドル・風祭メグに対する私怨からイベントに脅迫状を送りつけ、彼女を殺害しようとする。
能力
背中の大きな翅により高い飛翔能力を発揮する他、尻尾の先端に生えた無数の巨大なトゲで戦う。このトゲは至近距離で直接突き刺すだけでなく射出して飛び道具として使用したり、充分な長さと大きさの物を尻尾から抜き、剣のように駆使して二刀流の手持ち武器として扱うことが可能。
総合して特化した能力は持たないが、遠距離や近距離だけでなく空中戦にも優れたバランスの良いスペックを秘めている。
また上述のトゲは手持ち武器にする際、尻尾から分離している……はずなのだがアニメ版6話にてわざわざ足の間に尻尾をくぐらせており、記事冒頭の台詞も相まって、どうみても悪意しか感じない場所から外しているようにしか見えないと判明した。
そしてWとの交戦の中、なんと周囲の動きを鈍らせる能力(本人曰く「神業」)へと覚醒。
後に、オーロラ・ドーパントから貰った謎のサプリを飲んだ事で右腕のヤゴを大量に分裂、増殖させる奇怪な能力にも目覚めた。
変身者
変身者はゲームライターの美原睦夫(みはらむつお)(CV.沖野晃司)。23歳。
ゲーム誌で攻略記事を手掛ける傍ら、各地で神ゲーマーとして戦績を残す凄腕のゲーマーであるが、ハンドルネーム「マーダー(殺人者)」が示す通り、その実情は意地汚いプレイを好み、改造データの使用(これ自体も著作権侵害に該当する犯罪)すら厭わない上、そんなものに頼る己の腕前を「神業」と称してはばからない所謂ダーティーゲーマーである。
記事冒頭の台詞はプレイの際の決め台詞のようなもの。
風祭メグの殺害を企てたきっかけは事件の2ヶ月前、メグが出演したゲームイベントでの一幕。
メグをからかうつもりで彼女との対戦プレイに名乗りをあげ、改造データによって通常2個持てない武器を二刀流で扱うなどのお得意の汚いプレイスタイルで痛めつけてやる腹積もりだったが、メグには敵わずあっさり敗北。
この結果に会場は「メグが悪者をやっつけた」と大盛り上がり。結果、「悪者」となってしまった美原は大勢の前で赤っ恥をかかされ、プライドを傷つけられるハメになった。
この一件から風祭メグを憎むようになった美原だが、発端がそもそも彼の方からいらぬちょっかいを引っかけた事にある。
メグにコテンパンにされたのも、そのやり口がゲーム開発者でもあったメグの怒りを買ったからで、当初は運営側らしくいわゆる接待プレイとする予定だったという。詰まるところ、何から何まで彼自身の自業自得なのである。
それを逆恨みして殺害すら企てる辺り、その行動は非常に幼稚かつ下らないと言わざるを得ない。
照井(アニメでは亜樹子)からは「最低の奴」、フィリップからも「下劣な相手」と唾棄された。
そんな美原だが、万灯雪侍はその凶行を「可愛さ余って憎さ百倍」と評しており、
彼の自室には切り裂かれたメグのポスターが大量に貼られていたりと若干ストーカーじみた描写が見られる。
深読みするならチートを用いながらも一介のゲーマーでしかない美原は、ゲーマーとしての腕もあり、アイドルとしても注目を集めるメグに対して、ある種の憧れを抱いていたのかもしれない。
活躍
予告通りにメグを襲撃するも、翔太郎に足止めされ失敗。そのままダブルとの戦闘に入るも、歴戦の戦士である彼らに追い詰められてしまう。しかし、上記の動きを鈍らせる能力によって結果的にメインボディである翔太郎に深手を負わせることに成功。
サイクロンメタルにメモリチェンジしたダブルのマキシマムドライブ・メタルスタッグブレイカーによる手痛いカウンターを受けながらも無事に逃走した後は、様子を観察していたオーロラ・ドーパントの変身者にドーパントの上位種、「ハイドープ」の素質を見込まれて勧誘される。
実はメグの周辺人物から情報提供を受けており、警察の捜査の手から逃れた美原はついに彼女の正体と居場所を突き止める。
そのまま彼女の元に赴き、サプリを服用しながら変身するとヤゴの大群を撒き散らしつつメグを拘束。衝動のままに殺害しようとした所へときめが駆けつけ空中へ逃走を図るも、彼女は諦めることなくしがみついてくる。
「しつけぇな。なんなんだテメェはっ!?」
ときめ「私も……知らない。」
「ああッ!?」
ときめ「でも今は、探偵の助手だ。助手になるって約束した!だからお前を…逃がさないっ。
後先考えないで彼女を守る。
探偵が…翔太郎がいつもそうしているように!!」
空中でもみ合っているうちにメグを奪還され、またしても失敗。
自分を卑怯な悪党として睨む姿を見て再び身勝手な怒りを滾らせ、生やしたトゲで刺し殺そうとするもフィリップと共に現れたファングメモリにタクティカルホーン(ファングメモリの尻尾の刃)で右腕を斬り落とされてしまう(すぐに再生)。
そのままフィリップが変身したファングジョーカーと対決するが、その圧倒的なパワーとスピードにより瞬く間に追い詰められてしまう。
「ざけんなッ
俺の、俺の神業に…手も足も出なかった癖によ!」
翔太郎からも「強いのはゲームの中でだけらしいぜ?このトンボの坊や」と挑発されたことで、動きを鈍くする能力を使い逆転を測るも、ブーメランよろしく投げられたショルダーファングの一撃がメガネウラの背中に直撃。
斬り落とされたのは背に生える二枚の大きな翅。そして、その後ろから尻尾へと並ぶように生えていた、小さな無数の翅だった。
メガネウラが発揮していた『動きを鈍らせる』能力の正体は、この小翅が産み出す振動によるものであり、戦闘の最中に体節から任意のタイミングで小翅を表出させ、一斉に震わせることで特殊な振動波を発生させ、自分の周囲の者にプレッシャーをかけていたのである。
フィリップ「ダーティゲーマーの小狡い裏技も、これでネタが尽きたようだね」
W 「さぁ、お前の罪を数えろ!」
「だっ…誰がぁっ!!」
切り札を封殺されるや、捨て鉢になって攻勢に出るも、必殺のマキシマムドライブ・ファングストライザーを喰らってなす術なくメモリブレイクされた。
残っていたヤゴ達も、メモリガジェット達やアクセルに全て駆除された。(変身解除後の翔太郎の所に1匹残っていたが、描写的にメモリガジェット達に駆除されたものと思われる)
ダーティーゲーマーの最期
美原はそのまま逮捕され、警察病院に収容されたが、高い適性の影響かブレイク後も意識がはっきりしており、後遺症があまり見られなかった。そのため、照井は彼からメモリの売人の情報が聞き出せるかもしれないと期待していた。
未だに病室で身勝手な怒りを絶やさない美原の前に、万灯雪侍が再び現れる。
自身を助けにきたのかと期待した彼だが、穏やかな笑みを浮かべていながらもその目は何処までも冷たかった。
それもそのはず、万灯の目的はあくまで掃除であった。
「君は自分の実力のなさを棚に上げて対戦相手を逆恨みし、
腕を磨き直す事もせず、相手の命を奪うという復讐の道を選んだ。
…控えめに言って、クズだよね?」
期待はしていたが、所詮ハイドープの入り口をウロウロするレベルの人間で『街』には必要ない。そう結論づけたオーロラ・ドーパントに、その性根も含めて名実ともにクズと断じられた美原は、オーロラの持つ能力によって文字通り無残な骨クズにされてしまう因果応報な末路を迎えた。
余談
メガネウラのスペルは「MEGANEURA」だが雑誌掲載の際「MEGANYURA」と誤表記している。後に風都探偵2巻で修正された。
記事冒頭の台詞は美原の口癖(彼からしたら決め台詞のつもりか)だが、どうにも若干下ネタじみた発言だと視聴者の間で話題になった。
前述の飛翔能力や周囲の動きを鈍らせる能力、サプリで得た「ヤゴを大量に増殖させる能力」の他、全方位を見渡せる複眼を持つなど多芸なドーパントであったが、美原自身、その能力をどうにも扱いきれていなかった節がある。
動きを鈍らせる能力は2回とも追い詰められた局面でしか使っておらず、その様子は自分が優位にいようと必死なようにも見えなくない。
巨大な複眼についても人間の時の癖で正面しか見ておらず、その死角を突かれてブーメランよろしく投げられたショルダーファングで翅を切り落とされ、飛行能力と動きを鈍らせる能力を同時に失うハメになった(もっとも、生物の脳は各生物の肉体の行使に最適化している以上、持ち得ない身体機能を扱い切れないのは当然であるが)。
事件の発端である対戦イベントでも改造で二刀流にした武器が原因で負けており(メグ側が武器を攻撃してダメージを与える技を使い、不正に二個所持しているぶんダメージも2倍になってしまった)、全体として「元々持っていないもの」に頼った結果、敗北を喫している。
またメガネウラの余談では無くなってしまうが、第4話では製作会社繋がりの小ネタが多く、主要ゲスト(もな子、小泉、ドーパント)の声優達が有名ソーシャルゲームのキャラクター達(ついでに言えば真島ともな子の声もゲーム関連)と、そのアイドル要素から連想されるゲームファンがゾクゾクしそうなネタばかりだった上モブがみなみとますおにそっくりなキャラ(下記サムネ)が出てきたのもあり、「風都探偵」ファンと「ウマ娘」ファンの間で話題になった。
メグが複眼に写り込む寄りのシーン等での目の複眼の描写は、スタッフの間ではかなりの人気があり、監督の椛島洋介は「自身が集合体恐怖症」と前置きをしたものの太鼓判を押している。
関連項目
アイスエイジ・ドーパント、ピクシス・ゾディアーツ:同じく、身勝手極まりない害意で怪人の力を利用した殺人に手を出した若者。ただしこの二人は美原と違い生き延び、更生を受ける事になった。
重加速:「神業」に『見ためだけは』似た能力。ただしその原理上、美原の自称「神業」が遅くする作用が効力範囲内の『生物にのみ』有効なのに対し、重加速の作用対象は効力範囲内にて発生する『加速度の働く物理現象全て(生物のみならず、走る自動車、高所から転落する人体(骨折級以上の重傷不可避なはずの高度からの落下さえも無傷の軟着陸になってしまう)、空から降る雨雫に至るまで)』であるなど、中身自体は完全な別物である。
宝生永夢/仮面ライダーエグゼイド:平成仮面ライダーシリーズにおけるWの後発作品における、『M』を名乗る凄腕のゲーマー。ただし「違法改造や迷惑ダーティープレイにも躊躇がない」上に「身勝手な動機で人殺しすら行おうとした」「邪悪な怪人」の美原に比して、永夢は医者という職業や本人の気質・生い立ちもあって「人の命を非常に大切にしている」上、「ゲーマーとしても違法プレイ等の悪評は皆無(違法プレイに頼らない本物の凄腕)」で、「人の命を脅かす怪人と戦う仮面ライダー」であるなど、その人となりは美原とはあまりにも対照的である。
風見志郎/仮面ライダーV3:仮面ライダーシリーズで赤いトンボモチーフのキャラクターといえば真っ先に出てくるであろう人物。
メガギラス:同じく、メガネウラをベースとする怪獣。
鉄哲徹鐵&ガンヘッド&凡戸固次郎:中の人つながり。立場と性格が真逆だが、美原/メガネウラは鉄哲の「単細胞と口の悪さ」、ガンヘッドの「モノを連射する能力」、凡戸の「相手の動きを封じる能力」という共通点が合わさっているともいえる。
沖野トレーナー(ウマ娘):アニメの共演者、制作会社、担当声優が一致しているキャラクター
ジャン=ピエール・ポルナレフ:冒頭のセリフの元ネタ?