概要
『仮面ライダーW』に登場するドーパントは、生物の体に直接ガイアメモリを挿入することで変貌する怪人であり、仮面ライダー達の必殺技であるマキシマムドライブを受けて倒されると変身解除と共に排出されたガイアメモリが粉砕され、変身者は死なずにその場で倒れる(後にクレイドールエクストリームもできるようになった)。
メモリブレイクにより、仮面ライダーは犯罪者を殺害することなく無力化した上で拘束、私人逮捕に踏み切ることができる。
ただし例外として、
- マスカレイドのような、使用者ごと消滅する「証拠隠滅」用の仕組みがメモリに組み込まれている場合
- NEVERのような「マキシマムドライブの被弾に耐えられない特殊な体」の場合
- 井坂深紅郎のように「メモリや肉体を改造」「強力なメモリの過剰使用」「複数のメモリの兼用」など用法を守らなかった場合
- メモリブレイクがまともに働かない「人間や動物以外の怪人やそれらと融合した者」の場合
- バット・ドーパントのように、ダメージを負った状態でマキシマムドライブ以上の物理的な破壊にさらされた場合
- 相手が使用しているガイアメモリが、使用者へのフィードバックがより強い初期型のものである場合(改良後の仕様で撃破しても命を落とすと思われる)
これらの場合では使用者が命を落としたり消滅したりするケースがあり、その危険性が判明している場合、体内に入ったメモリを直接破壊するといった特殊な手段を取る必要がある事も。
加えてイエスタデイ・ドーパントやオウル・ドーパントなど一部のドーパントはそのメモリ特有の副作用を持っている場合もあり、メモリブレイクによる反動で何らかの特有の後遺症を背負うこともある。
『AtoZ/運命のガイアメモリ』で登場するT2ガイアメモリは、通常のマキシマムでは倒されてもメモリブレイクできないようになっている。しかし、最終的にはサイクロンジョーカーゴールドエクストリームのマキシマムによってエターナルメモリをはじめ全てのT2メモリがブレイクされた模様。
なお、相手がガイアドライバー(ベルト)を使って変身している場合は普通に倒してもドライバーによる安全装置で変身解除されるだけだが、ドライバーを狙う事でドライバーごとメモリブレイクが可能。
初期仕様のW/メモリブレイク誕生の秘密
本来この機能はデフォルトで備わっていたものではないことが『風都探偵』第123話にて明かされている。
これにより、最初のライダーである仮面ライダースカルがバット・ドーパントを見捨てたことや親友であったスパイダー・ドーパントを死なせていることも本気で戦う場合は技術的にそうするしかなかったことが明かされることとなった(バットの場合はマキシマムドライブそのものより、その直後に巻き込まれた爆発炎上が直接の死因と思われるが……なお台詞内ではメモリブレイクのことが触れられている)。
最初期のWも同様の仕様であり、変身して間もない2人はドーパントをメモリ使用者ごと倒す(殺す)しかないのだが、翔太郎の躊躇によりトドメを刺せず、犯人を取り逃してしまう結果になっていた。翔太郎曰く「メモリ犯罪は憎いし許せないが、どんなに最低な犯罪者でも“死んでしまったら罪を数えられない”」とのこと。
彼の意思と荘吉から受け継いだ「悪に対し、罪を数えるように問う」流儀を尊重したフィリップがシステムの開発にあたり、Wの変身者が2人いる点に着目し、「同威力のエネルギーを2つに分けてぶつける事で敵体内のメモリの回路のみを破壊する」方法を立案、一番わかりやすい例がWのジョーカーを主体とするマキシマムドライブが持つ体が右半身と左半身の真っ二つに分かれるという特徴である。(本編の方でもファングジョーカー初変身時に「メモリブレイクするには左右の呼吸を合わせないとな」と発言しており、風都探偵での後付けだと思われる今回の設定に説得力が増している)。
このため、本編では第1話の時点から改良された仕様であり、原則的には敵を死なせないスタイルとなっている。
一方、Wの後に開発されたアクセルの装備にはシュラウドによって最初からメモリブレイク機能が備わっている。理由についてフィリップは「シュラウドがメモリブレイクをドーパント撃破に効率的と判断したか、自分たちの流儀に合わせてくれたのかは定かではない」としている。
結果として適合者に選ばれた照井の警察官という立場にとっても、この改良は重要な意味を持つこととなった。
また、こうした改良と並行して翔太郎の感情にも変化があったのか、可能な限り敵も救うという意思はあるものの、確実に死んでしまうマスカレイドについても本編では躊躇無く戦っている。
なお、改良後の仕様でも相手が初期型のメモリだった場合はこれまで同様に死亡してしまうと思われる。
ロストドライバーの面々に関してはフィリップと翔太郎が使っていたものには少なくとも組み込まれていると思われる。
余談
- このメモリブレイクの対極とも言えるのが仮面ライダーエターナルであり、マキシマムドライブを発動すると相手の変身がその時点で解除され、変身解除された生身の相手に必殺技を叩き込むという確実に変身者まで殺すための技となっている。
- ただし、T2ガイアメモリでの使用時には変身解除範囲があまりにも広いこともあってか、解除させたところで止めており殺害していない。