概要
『仮面ライダーW』に登場する造語。
「冷徹なまでに1人で信念を貫き通す鋼の男」の生き方である「ハードボイルド」の対義語として、「情にもろくその場の感情に流されやすい未熟者」である主人公・左翔太郎を揶揄する言葉として、もうひとりの主人公・フィリップにより生み出された。
転じて、翔太郎自身の通称としても使われる。
翔太郎には「幼い頃謎の怪物相手に臆することなく立ち向かい人々を守った探偵・鳴海荘吉に憧れ、ハードボイルドな探偵を志すようになった」という背景があり、荘吉の死後フィリップと2人でコンビを組んで探偵業を営むようになってからもハードボイルド探偵を気取っていた。
が、その割に憧れの感情を空回りさせてむしろ三枚目になってしまったり、情に流されて甘い判断を下したりしがちな翔太郎の人となりを目の当たりにしてきたフィリップがハードボイルド(=固ゆで卵)になりきれない『煮え切らない半熟卵』と評したのが始まり。
だが、そんな翔太郎の熱くも甘い(=情のある)やりかただったからこそ救われた依頼人や解決した事件、果ては心から更生を誓ったドーパントの力に手を出した者も少なからずおり、話が進むにつれフィリップも亜樹子も良くも悪くも翔太郎の愛すべき点のひとつとして親愛の情を込めたからかい言葉として使うようになっている(そのたびに翔太郎は「ハードボイルドだ!」「ハーフじゃねえって!」と否定するが)。
亜樹子は作中において「翔太郎くんは完成されたハーフボイルド」と評しており、フィリップもやがてハーフボイルドこそが翔太郎という人間の、探偵ひいては仮面ライダーとしての完成形であると認識するようになる(翔太郎としては不本意かもしれないが)。
実際、当初は「ガイアメモリ犯罪者に対しては私刑による断罪もやむなし」という方針を掲げていた照井も、翔太郎のそんな信念やそれを受け入れ尊重する周囲の様子を見て「ハーフボイルドこそが風都の仮面ライダーの流儀」と認識し、「ドーパントは殺さずメモリブレイクに留め、裁きは司法の手に委ねる」という指針に切り替えている。
そんな半熟者で誰よりも熱く、優しさを持つ翔太郎。つまりは弱さを持ち得た完璧じゃない彼だったからこそ、最終的にフィリップは究極への構想者の意に反して、相棒を支える事を選んだ。
こうして仮面ライダーWは構想者が目論んだ『憎しみを根幹とする冷酷非情な究極のW』ではなく、『強さの中に優しさを秘めた究極のW』に辿り着いたのだった。
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泊進ノ介:5年後の脚本が同じライダー作品の主人公ライダー。クールさが変身する条件の形態に変身する条件を満たすため、クールっぽい振る舞いをする彼にこれを想起した視聴者もいた模様。