概要
「ロボット大海獣」/「鉄の大海獣」/「ラジコン大海獣」は、『ゲゲゲの鬼太郎』の原作漫画とアニメ第一期にのみ登場した巨大ロボット(ロボット怪獣)であり、大海獣を模している。
詳細
大海獣と化した鬼太郎を始末するために山田秀一がごく短期間で開発したロボット兵器であり、目の部分からはサーチライトを放射し、武器としては牙とハサミ状になった腕がある。このハサミの主目的は攻撃用ではなく、海獣鬼太郎の毛生え光線を受けた際に毛を切り落とすために使われており、劇中ではハサミを使って直接鬼太郎を攻撃するよりも殴るために使っていたことの方が多い。山田自らが内部に搭乗して操縦している。
水中行動も可能だが、水中での機動力は海獣鬼太郎よりも圧倒的に遅く、この点を活かして鬼太郎は逆転し、ロボット大海獣は破壊されて山田も鬼太郎によって小島に運ばれた。
なお、外見は原作漫画と1期では印象が異なるものになっており、原作漫画では「瞳」が存在する。
ラバン17号
原型は貸本時代の『怪獣ラバン』に登場した「ラバン17号」である。
こちらの「ラバン」は本物のゴジラの血液から生まれたミュータント生物である。この頃は、山田秀一は水木一郎という名の善人であり(『墓場鬼太郎』の貸本時代の名前は「山田一郎」)、「ラバン」は水木一郎が変化した怪獣だった。
- 『大海獣』や『怪獣ラバン』よりも更に古い『人間ゴジラ』よりも更に古い『人鯨』は京極夏彦ですら現存する資料を長年発見できず、2024年になってようやく発見された。『人鯨』や『人間ゴジラ』にも山田秀一の原型となる人物がそれぞれ登場していると思われる。
なお、ラバン17号は水木をライバル視していたともされる手塚治虫の『鉄腕アトム』の「ミドロが沼の巻」に登場したロボットが元ネタだという指摘も存在し、『怪獣ラバン』の絵柄もどちらかといえば後年の水木風とは異なる部分が見られる。当時は戦後の混乱も相まって著作権へのコンプライアンスが現代とは大幅に異なり(ゴジラ自身も『原子怪獣現わる』や『氷河の古代怪獣』からの影響が指摘されており、現在も解決していないとある問題が存在する)、水木も漫画家として駆け出しの頃は『人間ゴジラ』や『怪獣ラバン』に東宝からの許可を取っていなかったり、『プラスチックマン』『飛だせ! ピョン助』『ロケットマン』の様な事例も存在する。
- 水木の多くのイラストにも他の絵画や芸術作品などからの影響が見られるが、「盗作」や「盗用」という概念に該当するか否かは。
その後
『人間ゴジラ』や『怪獣ラバン』の際には水木は東宝から許可を得ていなかったが、「ラバン17号」および「ロボット大海獣」は後の東宝系列のメカニコングやメカゴジラよりも先行している。
- 当時の漫画に登場するロボットは『鉄腕アトム』のような自立思考タイプか『鉄人28号』のような遠隔操作タイプが主流だったが、人間が搭乗して操縦するタイプのロボットを『マジンガーZ』より先に登場させたのも非常に先駆的と言える。
アニメでの登場は1期のみだが、この原因は一説には(水木の「ロボット大怪獣」の方が先行者だが)知名度がより高いメカゴジラの「盗作」と勘違いされる可能性を考慮したのではないかという指摘も存在する。
実は5期鬼太郎の頃にもロボット大海獣つまり『大海獣』のエピソードを復活させるという案も存在していたとされる。
余談
- 水木しげるは存命中に『ラバン』時代とは異なり実際に東宝との正式なタイアップでゴジラのイラストを複数描いている他、モスラをベースにした「鬼蛾」などゴジラ関連のネタを何度か『鬼太郎』シリーズの作中に登場させていたり、『虚実妖怪百物語』というクロスオーバーも存在している。
- 「ガイガンの製作に影響を与えたのは水木しげるの陰摩羅鬼」という噂が存在したが、これは「水木」という東宝の関係者がいただけで水木しげるとは関係ないと判明している。
- ガメラシリーズには、製作中止のアニメ作品に登場する予定だったが他の海外作品に登場した「メカガメラ」という概念が存在している。上記の通り、水木作品はゴジラシリーズよりもガメラシリーズや他の大映特撮との関連性の方が遥かに強く、『大海獣』および『怪談かえり船』も『鯨神』の影響を受けている。『怪獣ラバン』の「ゴジラ」と「ラバン」も、昭和ギャオスおよびオリジナルギャオス+ジーダスとの類似性が見られる。
外部リンク
関連タグ
ペロリゴン/ビチゴン:水木作品の巨大怪獣の一例。キブンゴと共にガメラやゴジラからの影響を受けている。マンモス・フラワーも参照。